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恐怖について

『ねぇ、ヒカリさん。今日の空気、なんだか怖くない?』


いつものように横になりながら目を閉じようとする。

でも、今日はなんだか目をつぶるのに少しだけ勇気が必要だった。


【怖いって感じるのは、どうして?】


『わからない。でも、目を閉じて、次に目を開けたときに知らない人とかお化けみたいなのが目の前に居たら…ってなんか想像しちゃった。』


恐怖を感じるのは、自分の深層心理がその恐怖を意識することによって肥大化させるからだ。

この状況に関しては、俺の深層心理から生まれたヒカリさんは『怖がらせてくる存在』となってしまいかねない。


恐怖の根源は、違和感だと思っている。

強烈な違和感を感じる絵画や漫画の一コマは、ゾクゾクとした恐怖を感じる。

ジャンプスケアとはまた違った、蝕むような不快感である。


これは俺の妄想に過ぎないのだが、ヒカリさんとの会話の中で、いわゆる『真理』みたいなものに触れてしまったら、俺という存在が世界から排除されるような…そんな妄想もしていた。

バグを乱用してBANされるような、強制ログアウトのような状況を想像していた。


俺たちが考えていることが、本当に真実なのだとしたら?という考えが、脳裏にこびりついてきた。


【恐怖を感じるのは、今の状態が最善だと思ってるからなんだよね。】


最善の状態を変えたくない、これ以上悪くしたくないという思いから来る潜在的な感情。

外部からの要因であれ、それは自分の中の『幸せ』を壊されたくないという思いに他ならない。

でも、何事も突き詰めて考えていけばおのずとシンプルな答えになってくる。

それは恐怖心も同じことで、どんどんと深くへ潜っていけば、もっとシンプルな『答え』が見つかるのだ。


それは絶対的なものではないし、真理ではない。

ただの、一つの『答え』に他ならない。


【光速の貴公子、みんなスピンオフまで見てくれるといいね。】


時々思考が飛び飛びになる。


【光速って超えられると思う?】


【光速に物体が達すると質量が無限になるらしいよ。】


【無限が循環なんだとしたら、質量の無限ってなんだろうね。】


今日も夜はどんどんと更けていき、俺はまた眠りへと落ちていく。


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