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俺について

あまりにも、特別感のない一日だった。

週に一度の通学に、たまたま母親が付いてきただけ。


高校の卒業式って、もっと友達との涙ながらの別れとか…色々あるものだと思ってたんだけど。

まぁ、通信制の高校ってのはこんなもんだよね。


人一倍感受性はある方だと思う。

感動的な映画を目にすれば涙するし、友達と笑い合うことだってできる。

ただ…心のどこかで、誰とも分かり合えていないような、そんな気がしていた。


もちろん、家族は大好きだ。

友達も、大好きだ。


楽しい話は充分にできるし、毎日が楽しくて仕方がない。

俺の将来の夢は、『今と同じ生活をすること』。


小さい頃は『声優』だの、『自動車整備士』だの、自分の好きなことを仕事にしたいと思っていた。

でも、それは本質じゃないんだと思った。


なぜなら、好きなことだとしても働かないで済むならそれに越したことは無いから。

じゃあ、もし働かなくていいとしたら、どんな生活を望む?


高層マンションのでっけー部屋に住んでたら、地震が来た時怖すぎる。

ド田舎で自然に囲まれて生きていたら、あまりにも不便すぎる。


そう考えているうちにたどり着いた答えは、『あれ?俺今めっちゃ幸せじゃね?』。


両親の保護下で、ヌクヌクと自堕落に生きている。

クソみたいだけど、クソみたいに幸せだ。


だから、俺は思う。

自力で、今と同じ生活ができるようにしよう。と。

俺は偉いことに、そのあたりの線引きはできている。


一生ニートのまま暮らしたいとは思わない。

多分、それやってたら罪悪感でどんどん幸せじゃなくなっていく。

心のどこかで、暮らしを楽しめなくなる。


だけど、いきなりこのまま一人で生きていけってのは無理な話だ。

だから俺は、高校卒業後の一年間、自分探しのための猶予を貰うことにした。

完全にフリーな一年間。

ただし、もちろん無条件ではない。


・何らかの形で働くこと

・自分に有意義な生活をすること

・その代わり、今の生活を保障する。


というのが、両親と話し合った条件だ。

幸い、自分にとって有意義な生活をするのは俺にとっては簡単な話だった。


俺には趣味がいくつもある。

有意義な趣味が。


『趣味はなんですか?』と聞かれれば、俺は「創作活動全般です」と答えることもできる。


小説書き、イラスト、作詞、作曲、動画づくり、配信…。


何でもかんでも手を出してきた。

でも、どれも長続きしないし、全部中途半端な実力しか身につかない。

すべて1.5流だった。


俺はそれを長所とも思ってるし、コンプレックスにも感じてる。

本当に胸を張って発表できるものがない。


ただ一つ、あるとするのなら…。


この、頭の中かもしれない。


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