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試合開始

「歩きながらで悪いが、今からお前には三対三の団体戦をしてもらう。」



屈強そうな男が、コンクリートで囲まれた通路を歩きながら口を開いた。三対三?ちょっと待て、俺一人しか居ないんだが。俺は混乱しながらも、男の説明に耳を傾けた。



「相手はサンペドロで集った強者達だ。一対一を三回繰り返し、その内二回勝利すれば次のステージに進める。チームで三回勝利すれば、見事優勝だ。ま、あんたらみたいに外部の者は、痛ぶられる要員として毎回連れてこられるんだ。精々死なないように逃げ回るんだな。といっても、勝つ以外に生き残る方法なんてないが。」



男は淡々と続けた。俺の焦りなど気にも留めていないようだ。一回ならまだしも、三回も勝たないとダメなのかよ。敵もPSが使えないのであれば、まだ勝機はありそうだけども。狼狽えてもしょうがないし、俺は不安を感じながらも、冷静に状況を分析しようとした。



「ちなみに、あんたらって言ってるが、後の二人はちゃんと居るのか?」



「あぁ。先にもう案内されてる。可哀想に、あんたより細い男と、その妹らしき女の子だよ。」



男?という事は、トキとシエンが逃げた事はバレてないのか。俺は一瞬安堵したが、すぐに次の行動を考え始めた。三対三で二本先取の団体戦だし、万が一俺が勝てたとしても、味方が負ければどうしようも無い。つまり勝ち残るのはほぼ無理だ。

じゃあどう逃げるかだが、・・自分だけ逃げるわけにもいかないよなぁ。目の前で後の二人が痛ぶられてるのも見たくないし。そこまで欲張るのであれば、入った瞬間、味方に作戦を伝え、煙玉と閃光玉を駆使して逃げる作戦で固めとこう。無理ならその時はその時だ。ただ、本当にやばい時は、味方が助けてくれると信じている。多分。



「さぁ、この扉の先だ。頑張れよ。」



なんて考えてると、扉の前にたどり着く。この先に闘技場があるらしい。道具の位置を確認するよう、ポンポンと各ポケットを叩く。煙玉とかは没収されてないらしい。腹を括るか。大きく深呼吸をした後、ドアノブを捻り、ゆっくりと体重を前にかけた。するとギギギと音が鳴り、光が差し込む。



「おいおい、まじかよ。」



入った途端、そこは喧騒に包まれた。着いた先は、外から見たドームの形、そのまんまだった。中央の広さは体育館より少し広い程度だが、周りを囲う様に観客席が、何列もずらりと並んでいる。下手すりゃあ千人いそうだ。砂で固められた地面、ここで俺らは戦うらしい。



「さぁ!最後の入場者が登場して参りました!!中央までお越しください!」



中央のあたりで、マイクを持った男がそう叫ぶ。とりあえず指示に従い、ゆっくりと向かった。歩きながら周囲を観察する。その男以外には、全部で五人。こちらを向くように三名と、それに向かい合うように、二人の人間が対峙していた。三人の方はゴロツキのような風貌、コイツらはサンペドロの参加者だろう。となると後の二人が外部から来た味方になる。一人はニット帽を被った金髪ショートの少女で、もう一人は黒いコートを羽織った黒髪の青年か。・・ちょっと待て。コイツらはまさか・・。



「あれ?勇くん!会いたかった!」



場所を弁えず、少女が正面から抱きついてきた。ドスンと、胸で彼女を受け止めた。衝撃で一歩後ろへと下がる。驚いたな。こいつは、最強の転移者の陰だ。そしてもう一人は、その兄、陽になる。



「こんなとこで会うとはな。二人もクエストで来たのか?」



周りにバレないように、小声で話す。



「うん、そんな感じ。一瞬で制圧しても良かったんだけど、敵の尻尾を掴む前に逃げられる可能性があったの。丁度お兄ちゃんが腕試ししたいって言ってたし、眠ったフリをして、ここに連れて来てもらったわけ。」



腕試しって、随分と余裕だな。彼女の手首を掴み、腕輪を触って確認する。これじゃあPS使えんだろうに。



「ん、待て。眠ったフリってことは、眠りの魔法が効かなかったという事か。つまり、PSも問題なく使えるのか?」



そうだとしたら、余裕なのも頷ける。それならここから逃げなくとも良さそうだ。この二人が全部倒してくれるだろう。



「それが、PSは使えないの。」



「使えんのかい!大丈夫か?最悪、殺される可能性もあるぞ。」



急に不安になる。転移者なんて、PSがほぼ全てと言っても過言では無いだろう。



「それは・・。」



「それでは早速始めましょう!!最初の一戦は、黒のコートの男性と、力自慢のアースだ!!」



陰の声をかき消すように、レフェリー的な立場の男が叫ぶ。それを聞いて、相手の中の一人と、陽が前に出た。



「まずい!もう勝負が始まってしまう。どうする?取り敢えず煙玉で周りの視界を奪ってから・・。」



「ん?勇くん、何を慌ててるの?」



「何って、PS使えないんだろ?」



「別に大丈夫だよ。だって、お兄ちゃんはPSなんて無くったって・・。」



「試合開始!」



カーンと、試合開始のゴングを鳴らすレフェリー。刹那、鈍い音と共に、相手のアースと呼ばれた男が、宙を舞った。



「最強だから。」



そのまま重力に従い、地面に突き刺さるアース。そのままピタリと動かなくなった。・・本当、転移者ってずるいよな。

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