プロローグ
プロローグは短いので1話も同時投稿しています。
趣味全開のお話を書いたら一次選考落ちました。さすがに似すぎてたか……?
何にせよ一次選考落ちなら他の投稿した応募作品より伸びないのは目に見えているので、今回は未だ使ってなかった予約投稿の機能を使っています。カクヨムの方は一分単位で設定できたんだけどなぁ……。
茜色から漆黒へ移り変わる美しい夕焼けの空を、一条の瞬く光が斬り裂いていく。
光の正体は遥か彼方の遠い宇宙から飛来し、大気圏で燃え尽きる定めの儚い石くれ。すなわち流れ星だ。鮮やかな赤銅色の空を駆けている事もあり、放たれる金色の輝きは儚く朧げ。空を見上げ注視していなければ、目の錯覚と判断してしまうほどに弱々しい。
「何だアレ……流れ星、なのか?」
だが偶然寂れた公園で空を見上げ黄昏ていた少年――結城光斗は、燃える星屑が放つ最期の輝きに気が付いていた。流れ星が見せる、途轍もなく奇妙な挙動にも。
「何か、めっちゃ動き回ってないか……?」
大きく螺旋を描いたかと思えば、時には直角にコースを変えている。まるで落下に抗うかのように、流れ星にあるまじき複雑な軌道を描いていたのだ。
推力も何も無く重力に引かれ落下しているだけなのだから、常識的に考えれば真っすぐ進むのが自然である。形状によっては複雑な空気抵抗を受けて多少軌道が変化する事はあるだろうが、あそこまで愉快な動きをするなどありえない。
これは明らかなミステリー。もしや流れ星に偽装したUFOの類では無いか。若干胸を高鳴らせつつ、謎の流れ星の行く末を見守っていると――
「……ん? あれ? 何か、大きくなってきてるような……?」
不意に動きが大人しくなり、砂粒大に見えていた流れ星の大きさが変化し始めた。砂粒大から米粒大へと移り変わり、なおも大きさが増大していく。比例するように金色の輝きを増しながら。
そこで光斗はふと思い至った。物体が突然巨大化するなどあり得ない。距離が近付いたから相対的に大きさを増したように見えたのではないか、という事に。
つまり、流れ星は光斗に向かって落下してきているという衝撃の事実に。
「あっ、ちょっ!? 嘘だろ!? マジでこっちに向かって落ちてきてる!?」
命の危機を認識した事で脳が極限の集中力を働かせているのか、時間が停止したような感覚の中で流れ星の様子が鮮烈に映ってしまう。
すでにゴルフボール大の大きさとなった流れ星は、目も眩むほどの美しい黄金色の輝きを放っていた。まるで小さな太陽が目の前で燃えているかの如き、力強い輝きを。
ただし眼前の物体は宇宙で光輝く恒星ではない。大気を引き裂き衝撃波を発生させ、青白いプラズマのスパークを纏いながら超音速で落下してくる災害だ。公転や自転の影響を受けて多少速度は上下するが、流星の速度は平均して時速十四万四千キロメートル。マッハに換算すれば約百二十弱という、ライフル弾の四十倍の速度。幾ら死に際の集中力で脳が極限まで高速で働いていようが、躱す事など不可能だった。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
人が隕石に当たる確率はどれくらいだろう。そんな確率が低そうなものに当たるくらいなら、宝くじに当たりたかった――などと下らない思考が脳裏を過るのを最期に、光斗の意識は黄金色の光に塗り潰されていった。




