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エピローグ(2):再起動の日
──しばらく後。
街角の小さなカフェが、開店準備を終えようとしていた。
看板はまだ新しく、手書き風のロゴが柔らかく風に揺れる。
ガラスの向こうにはカナが立ち、慣れないエプロンを直している。
その奥で、吉田は黙々とコーヒーを淹れ、
春日はパソコン片手に、シフト表の入力に苦戦していた。
そして開店から数分。
カフェの目の前にある大型ビジョンが、
突然明るく光を放ち、無機質な音声で放送を開始する。
《お知らせします。本年より「無労働日」は、全国一律制度として──》
春日が顔をしかめ、
カナはカウンターの中からビジョンを睨む。
吉田は半笑いで「またか……」と呟く。
そこに映し出されたのは──
親指を立て、にこやかに笑う首相。
その隣で、硬い表情ながらも微かに笑みを浮かべるトーコの姿だった。
「……あんた、出世してんじゃないの」
カナの皮肉混じりの一言に、店内の3人が苦笑する。
それでも、
「ま、いいか」と、春日が言った。
「このカフェもあるしな。
次の無労働日が来ても、たぶん──もう少しうまくやれる気がする」
外では、開店を待つ客の気配が増えていた。
「──さ、働こっか」
カナのその一言が、静かに店の一日を始めた。




