第八十六話 仲間想い
ダンジョンが通常の状態に戻って暫く、僕たちはギルドからの追加依頼を受けてダンジョンへ潜っていた。色欲のダンジョンになる以前の状態に戻ったのか調査して欲しいとギルドマスターであるガイに頼まれてしまったのだ。
「全く…いくら報酬が良いからって…」
「あははは…仕方ないだろ?全部じゃないにしろ、上層部分だけでも調査して欲しいって頼まれちゃったんだからさ。それにたっぷりお金も魔石も用意してくれるって言うんだし、やらない手は無いだろ?」
「ん、守銭奴…」
「ほんとフィズさんって、そういう所はちゃっかりというか、しっかりしてますよね…」
「確かに…でも、ダンジョンでもこうやって魔物から魔石も素材も採れるからね。沢山お土産に持って帰れるよ」
お金は大事なんだぞ!?食費に宿泊費、アイテムにだってお金が必要だし、うちのパーティーは女性が多いんだ。普段から使う服や下着や化粧品にいったい幾ら掛かると思っているんだ!
「つべこべ言わずにもっと魔物をたおしてよね?調査すればするだけ報酬アップなんだぞ?ほらセシリアも!」
「はいはい…で、あとどれくらい潜るのかしら?」
大剣を振り、せっせと魔物を切り倒しながら進むセシリアの尻を眺めつつ、僕は周囲を見渡すと、
「お、5つめのポータルだ。今までのダンジョンだとこの奥で終わりだったようだが…」
「という事は、ボスが居るのね。楽しみだわ♪」
「途中のボスは呆気なかったですもんね…」
「ん…私達が強いだけ」
「もう、みんな!ボスなんだよ!?気合を入れてよね!あと怪我しないように!!分かった?」
ライオ君の忠告に素直に頷くと、扉の先へと進んで行った。大きなホールの様な場所に立派な角の生えた牛の魔物ミノタウロスが居た。
ブモッ?!
巨大な斧を持った以前戦ったあのミノタウロスとは違う様だが、こっちを見て一瞬怯えたような声を上げたが、
ブ、ブモオオオォォォッ!
意を決したのか、斧を構えながらこちらに突っ込んで来たミノタウロスだったがライオ君の盾にあっさり受け止められると、
「前の貴方の方が本能むき出しで強かったわよ…」
ザシュ…とセシリアの一撃で首を撥ねられ呆気なく討伐されてしまった。
「流石ですねセシリアさん」
「ん、綺麗な一撃だった」
「手応えが無いわね…これで終わりかしら?」
「いや。奥を見てみろよ。まだ扉があるぞ。前の資料にはあんな扉の情報は無かったけど…行ってみるか…」
不気味に開いた未知の扉を潜り、僕たちはダンジョンの奥へと進んで行ったのだった。
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僕たちはギルドに戻るとガイに途中まで進めたダンジョンの様子を伝えに戻った。その報告を聴いた彼は、
「何!?色欲ダンジョンに続いていただと?どういう事だ?」
「さあ?僕にもそればっかりは分かりません。ですが、途中までは前のダンジョンと殆ど一緒でした。元々のボスがミノタウロスに変更になっているのと、そいつを倒した先に、さらにダンジョンが続いている件以外はですが…」
「うむ…その色欲ダンジョンの方も大きな変わりは無いのか?」
「ええ、2,3部屋を見てきましたが、僕達が報告したのと同じトラップ部屋でした。多分その奥も変わってないと思いますよ」
「そうか…因みにポータルは使えたのか?」
「はい。一応僕たちは使えましたが、前回も使用出来たので、それが反映されている可能性もありますよ?」
「ふむ…そこから先は検証が必要か…分かった。今回はこれで十分だ。協力感謝する」
「いいんですか?」
「ああ、君達には十分に活躍して貰った。あとは私の仕事だ。そうそう、これが今回の報酬だ。受け取ってくれ」
「おお!ありがとうございます」
「うむ!また機会があれば是非寄ってくれ。歓迎するからな!」
僕たちは報酬を受け取るとギルドを後にした。拠点としていた家に帰ると、
「と言う訳で、魔石も確保出来たし、明日には町に帰ろうかと思うんだが?」
「そうね。随分家を空けちゃったし、そろそろ潮時かしらね」
「やったぁ!これで掃除洗濯をしなくて済みます!」
「ん。サキュはいつもサボってたくせに…」
「ははは…サキュちゃんらしいよね…」
「ちょっと!今言わなくても良いでしょ!?」
サキュはサボりをバラされて、今日一日は自宅謹慎となった。
「ああああ…酷いですよ~…」
「自業自得だよ。手伝うから早く終わらせちゃおう」
「あ、ライオ君…うん、ありがとう」
「///そしたらさ。夜中にちょっと二人っきりになりたいんだけど…だめかな?///」
「///え、分かった…///」
食べ終えた食器を仲良く並んで片付けるライオ君に、サキュは尻尾を絡ませると嬉しそうに笑うのであった。
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日付が変わり静まり返った深夜。スーは窓から二人が出掛けて行くのを人知れず見送っていた。
「はァ…」
「お前は行かなくて良いのか?」
「んわぁ!?もう驚かさないでよ…」
「ごめんごめん…ちょっと気になってな」
僕はライオ君とサキュだけで出かけたのに気が付くと、一人残されたスーが気がかりになり、後ろから声を掛けた。最初は驚いて居た彼女だったが、再び外を見ると、
「ん。今日だけ。どうしても二人で話したいんだってさ。私は2番目だから、我慢出来るもん」
「ふーん、そっか…スー。じゃあ今日は僕とお話しようか?」
「え?セシリアさんは?」
「ああ、まだ僕と寝てるよ」
「あ、分身体…」
「そうかもしれない。でも本物でも分身体でも想いは同じだよ。僕はみんなの事が大好きだし愛してる。この気持ちだけは嘘偽りないよ。スーだってライオ君の事を愛しているんだろ?」
僕に向けていた顔を再び外に向け、二人が消えた方を見ながらスーは、
「ん、愛してる。ライオ君もサキュちゃんも、それにフィズさんやセシリアさんも、シャナやルルも皆が好き」
「ああ、みんなも同じ気持ちいだよ。だから、スーも我慢しなくていいんだよ…」
「うん…ありがとうフィズさん…でもね…」
「ん?」
大粒の涙をボロボロとこぼしながら笑うスーは、服を脱ぐと本来の魔物の姿に戻った。妖艶な青い素肌を触手で強く抱きしめる様に震えながら、
「今日だけは、全部忘れさせてくださいッ」
震えながらそう言い放ったスーを抱きしめると、彼女の不安をかき消すようにスーの体を貪った。
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家の中で、そんな事が起こっているなんて知らないライオ君とサキュは、月の照らす夜空の元、二人っきりで肌を重ねながら思い出に耽っていた。
「そう言えば、最初もこうやってサキュちゃんに上に跨られたんだよね…」
「えへへッ♡覚えてるの?そうだよ♡ライオ君お童貞をサキちゃんになった私が奪ったんだよ」
「ああ、まるで夢でも見てたような気分だったけどね」
「あの時は何だか可哀そうって言うのと、心配でさ」
「だからって人に魅了を掛けて良い訳じゃ無いよね」
「ライオ君♡私の事好き?♡」
「なんだよ急に♡もちろん大好きだよ♡」
「うれしいッ♡もっと頑張っちゃうからね」
僕の上で跳びはねる彼女に見下ろされながら、俺はサキュちゃんに気持ちを伝えた。
「…大好きだよサキュちゃん!そんな強引な所も♡僕を振り回す悪戯な君も♡しおらしい君も♡エッチな君も♡全部、全部愛してるよ♡」
「うれしいッ♡私もライオ君がだいしゅきだよ」
スーと僕は肌を重ね合い。魔力を補充すると落ち着いたスーを抱き寄せた。
「ありがとう♡気持ち良かったよ♡おいで♡」
「ん♡ぎゅってされるの好き♡もっと抱きしめて♡お願い♡」
「ああ♡」
彼女を抱きしめながら窓から覗く月を眺めるのであった。




