1・22こ?い?
ダンデに本命チョコをあげてから、5日後、
ダンデの様子がおかしい。
いや、あれから食中毒で寝たきりになってた事じゃなくてね?
それに気がついたのは、どうやらあたしだけのようだった。
「ふわあ~ ぁぁ。。。あー良く寝たー。」
伸びをして欠伸をして、眠気をとばしながら窓へと向かう。
バタンッと開けてまばゆい朝日を浴びながら、そうッと下に視線を移した。
「・・・なんだよ、今日もいないじゃん。。。」
ムッとして、主のいないハンモックを睨んだ。
ここ5日、いや、暫く救護室にいたから、、、3日。
ダンデは何故かこのハンモックで寝ていない。
「まあ、病み上がりだしね。普通は入院ものなのに2日で直したから
寒いハンモックで寝るのはまだ無理なのかも。。。」
そんな風にひとりごちて居たら、ノックがして扉が開いた。
「嬢ちゃーん?起きてるかー?届けもんだ・ぜ!・・・うお!?起きてる!?早!」
おでこさんだ。
完全無表情のくせにやたらと声は明るいんだなー
「嬢ちゃん?なんか酷いこと思ったっしょ?どう?切ってやったぞ?」
しかも心まで読めるんだなー。あ、というか切った?
ううう!
ちくしょう、今日もキラキラおでこしやがって!朝日にも勝るだとう!?
でも ・・・なんか・・・はーぁぁ。
「ん?どうした嬢ちゃん。なんか嫌な事でもあったのかい?」
え?なんでそんな事聞くんだろう?
「んー?ははっんな顔してりゃあ一発で気づくだろ?で、どうした?」
ふっと柔らかい顔つきになるハイド。
ポンッと頭を撫でられるけど、そんなに落ち込んでいるのかなあ?
「あの、別にあたしは落ち込んでないよ?なんも、、、あ、ダンデ元気?」
あれから5日、ダンデに会って居ないから流石に気掛かりになる。
「んー?馬鹿王子の事か?ああ、ま、元気じゃない?」
何その曖昧表現。気になるなあ。
「て、いうか良いの?一国の王子様を馬鹿呼ばわりして。」
「嬢ちゃんだってよく、ダンデノバカ!!って言ってるじゃねえか?」
何今の、突然、九官鳥が鳴いたよ!!
・・・・え、あたしの真似?
「あたしはそんな声じゃないよ!それにあたしはここの国民じゃないし!
うん、異世界人なんだもの!」
ここに住む決心はしたけどね?
「あっそう?なら俺だって異世界人だな。しかも王子様だし。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
「ふはっかなり驚いてるみたいだな?そうだろうそうだろう。
あのな、俺は隣星の王子で郵便配達人になりたくてこの星に亡命したんだよ。
そんときにローズが手助けしてくれてな、名前も、捨てて、、、俺はここに居るんだ。」
ぽっかーん・・・・
「・・・あの、今日ってエイプリルフール??」
「馬鹿、エイリアンなんか関係ねえよ。」
いや、違う違う違う!!
え?嘘、嘘、王子様?うわああああ!どうしよう!
夢にまで見た。頭部輝く王子様!?うっひゃあああ!
「なあ、嬢ちゃん?独り言は小さく頼むよ。俺泣きそう。。。」
そんなにハゲか??俺。
「え?声でてた?え?でも、うう、わああぁ。。。」
顔を赤らめながら後ずさりする喜代に苦笑しながら一歩ずつハイドは
近づいてく、
「何?照れてるの?・・・そうだ、嫁にでも来るか?夢にまでみたんだろ?」
ピシリッと喜代は固まってしまった。
「・・・おい?嬢ちゃん?お返事は?」
・・・・・よ・め??
え?あれだよね?妻だよね?ワイフだよね?
そ、そりゃあ、嬉しい・・・よね?
【喜代殿!恋人になってくれ!】
ああ、もうダンデの馬鹿。なんでこんな時に出てくるのさ。。。
あたしの夢は神々(光光)しい位の頭の人のお嫁さんなの!
・・・・・そうなんだよ。
【・・・本命にしてくれるか?】
したけど、、、あんなのお詫びだし!全然気持ちなんか入ってないし!!
入ってないし!!・・・ああっもうダンデ五月蝿いよ!忘れろ忘れろぉお!
「嬢ちゃん。今、ダンデの事考えただろ?」
心臓が跳ね返った。
「ぴいいいぃぃぃえええええええええ!?」
ズザザザザーーーーーッと、喜代は部屋の壁に後ずさり、
ドオオンッと背中でぶつかり、
チーンとなった。
「おお!動揺してる。動揺してる!考えたんだなこりゃあ。」
身動きを取らず、ばったりとしている少女に
ニヤニヤしながら近づいて行く。(変態!)
「悪いな。嬢ちゃん。冗談だよ。もし、嬢ちゃんが奴のこと考え無かったら、
俺も乗り気だったけどな?人の告白の最中に他の男の事を考えるなんてなあー。
なあ、嬢ちゃん、何でダンデの事考えたのか教えてやろうか。」
喜代の耳に囁きながらハイドは次の言葉を一息に紡ぐ。
「嬢ちゃんそれは恋だ。」
その言葉を聞いた瞬間、少女の指がピクリと動いた。
ため息をはああっと吐き出したハイドは
「たく、まだまだお子ちゃまなんだよ。君は。いや、馬鹿王子もな?
この言葉がお届け物。ローズからのな?心配してたんだぞ?
あいつも、皆も、・・・頑張んな。」
そう言い残すと、気を失った喜代をベットに横たえ
静かにその場を後にした。
・・・・こい?
恋?これが?いやいや嘘だろこんなの違う。
佐々山先生の時と全然違うよ。。。
ダンデの馬鹿。
佐々山先生は考えるだけでドキドキしたもん。。。
だってさ、ダンデ、ダンデ、ダンデ、、、
考えるのがあたりまえになって居るんだから。
何をするにしても、ダンデが居たからかなあ。
ダンデが心に深く根付いて・・・
心臓が、大きく一回高鳴った
そして、全てにあたしは気がつく。
・・・・・あ、そうか、そうなのかも。
これも恋の一つ・・・なんだ。
頭を撫でる温もり。
・・・ダンデだ。
目を閉じていても分かる。・・・起きなきゃ、で、ちゃんと言わなきゃ。
「・・・ダ、ンデ。」
「喜代殿?大丈夫か?話があるんだ。起きてくれないか。」
話?
「んんっあたしもあるから・・・ちょいと待って。」
もそもそとお布団から這い出して、ダンデの目を見る。
たった5日なのにすごい久し振りな気がする。。。
「喜代殿。」
「なぁに?」やべ、ちょっとブリっ子入った。あちゃーキモい!キモいぞあたし!
「その、すまなかった。弱味につけ込んで喜代殿に本命にさせるなんて、
外道のやる事だ。本当に、ごめんなさい。」
床に土下座して許しを請うけど、、、そんなに重罪じゃないよ!??
外道!?今外道って言ったこの人!
日常生活で外道なんてそうそう耳にしないぜ!?
「ダダダダダンデ!お、落ち着いて?全然怒ってないし、そ、それに
そのぅ、あ、あたし、、、」
くそう!最後の言葉出せよ!あたし!たった二文字じゃん!
魔術師が美術室で手術中より数倍言いやすいぞ!??
「喜代殿、ここからが本題なんだ聞いてくれ、喜代殿にあんな事を
言わせたけど、、、俺、この街を出て行く事になった。
もう、二度と会えない可能性があるから。
・・・・元気でな。」
ほらいえ!今すぐ!好きって!好きって・・・え?
「なん・・・で?」
「南の方で戦争が起きたらしい。それに俺が行って鎮めてくるんだ。」
「いつ?なんで?なんでダンデが行くの!?」
「俺が呪いを受けた人間だからだ。」
・・・そういえば、会ったばかりの頃そんな事を。。。
・・・・・って!!
はあ!?何それ!?
「そんなの、わっかんないよ!!ダンデは人間じゃん!植物が生えてても、
人間じゃんか!!」
「喜代殿・・・。」
気がついたら、ダンデが抱きすくめていたけどそんなのどうでもいい。
「喜代殿!」
「何なのさ!その呪いって!!なんでさ!なんで・・・何なんだよ!
あたしは、ダンデが!ダンデが好っむうう!!」
背中が軋む位抱きしめられ、言いたい言葉が出なくなった。
「だ、ダンデ、、、ぐるぢ、、、」
しかし、そんな事お構いなしにダンデがさらに抱きしめてくる。
何なんだ・・・???
その思ったら耳元から声が聞こえた。
「・・・喜代殿、ありがとう。俺を人間と言ってくれて、ありがとう・・・!!」
微かに聞こえる嗚咽に、頭に上った血がさあっと降りて行く。
何で・・・ナイテルノ?
「何があったのか。ちゃんと教えて。泣いてる理由も、呪いについても。ちゃんと。」
「・・・分かった。。。喜代殿、すまない。やはり、愛している。すまない。」
「・・・・あたしもだよ。」