1・20お料理!?教室
次に起きた時はちょうどお昼どきだった。
「・・・お腹減ったなー。ねえダンデ、なんか食べ・・・あれ?」
隣を見るとそこにいたはずなのに毛布の中はもぬけの殻であった。
?あれ?もうどっか行ったのかなぁ?
ヒョウと胸にさみしさがよぎった気がした。
「あたし、どうやって部屋に入ったらいいんだよ。」
とりあえず一番の問題を口にしてみる。
しかし、呟いたところで解決はしてくれないので、
やっぱり頭を悩ませた。
ダンデはどうやって入ってんだろう?
瞬間移動?いやいやそんなファンタジーな事はないっしょ。
じゃあ、なんだろう。ツルにつかまって・・・無理。
なんだよこのツル、ヒョロヒョロやん。
ダンデはそこそこの体重だと思うよ?
じゃあ、、、、、、、どーしよ。どーしよ。
少し頭痛がして来たので気分を変えてもう一度考えるため、街を見てみる事にした。
鬱蒼とした木々の隙間にちらほらとテントが見える。
あれが市かな?
いいなー行ってみたい。
そう思っていた瞬間。
顔に何かが覆いかぶさった。
「わぷ!!!なに!?なにこれ!?」
よくみると何かのポスターらしい、何々、えーと、
【突然!お料理大会!参加者募集中!貴方の腕前を披露してみませんか?
一等の方には今話題の魔法の箒をプレゼント!]
な、、、に?
ぐるぐると賞品の文字がループする。
魔法の箒魔法の箒魔法の箒魔法の箒…………
「なにいいいいいいいい!!ちょ、急がなきゃ!だ、ダンデ!ダンデエエ!!」
魔法の箒ってきっとあれだよ!
大きなゴミとかを瞬時に集めてくれたりするんだよ!
ああもう!早く何か作らなきゃいけないのに!ええい、もういいツルをつたって行こう!
ガシッとツルを掴んだとき、いきなり頑丈そうなロープがあたしの部屋から
垂れ下がってきた。
不思議に思って上を見上げるとチラリと赤い影がよぎった。
あれは、キャ、キャクタス?だっけ?・・・助けてくれたんだよ、、、ね?
厚意に甘えて、登ったらもう部屋には誰にも居なかった。
・・・ありがとうぐらい言いたかったなあ。子どもは苦手だけど、
あの子は少し好きになれそう。
「あ、しまった!おおい!ダンデー!お台所って何処ーー?」
てろてろとダンデを探しながら歩いていると、
クレマティスに会った。
「あ、クレマティスー!突然だけどお台所って何処?」
「?お台所ッスか?そっすね~。確か向こうに会った気がスルッス。一緒に行きますか!」
「あ、いいね。お願い!」
しばらく歩いていると、小さな扉にたどり着いた。
「ここッスから。ではごゆっくりッス!」プクーとガムを膨らましながら彼女は去って行った。
ふーん、ここか~・・・よーし!!やるかあ!!!
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「ダンデ様。この書類はどうしたらいいでしょうか?」
「奥の棚にいれとけ。」ガリガリガリガリ…
「ところで、陛下の女性化計画はどうなってらっしゃるのですか?」
「研究員がもうすぐで帰る頃だ。こちらで研究施設を設け、持ち帰ってきた資料を
応用しながらやる。・・・なあ、さっきから異臭がするのは気のせいか?」
「え?何かおっしゃいまし…」
彼が言い終わらない内に、爆音がした。
「!!」なんだ?奇襲か?いや、厨房で聞こえたな。。。
嫌な予感がする。火災などしていたら大変だ。
「ウッド、様子を見てくる。消防器具を用意しておけ。」
「え!?あ、はいすみません!今すぐ!」
ツカツカツカツカ……勢いよく扉の前に立つと慎重に中を覗く。
無残に色んなものが辺りに散らばり、最早形をなして居ない。
異臭がしているし、足元には何かの臓器がベチョリと落ちていて、
そして、
誰かが倒れていた。
「・・・おい!無事か!?何があっ・・・喜代殿!!」
急いで抱き上げた人はまごうことなき喜代殿である。
「喜代殿!しっかりしろ!返事を!くそっ一体なにが………!!」
すると、彼の腕の中で喜代が身じろいだ。
「ううっ、ダ、ダンデ?・・・りょ、料理してたら、、、いきなり具が、、、爆発した。」
なんだと?喜代殿は料理をしていたのか!?
・・・何を作っていたんだ?
「と、トリュフを作ろうと、したら………」
トリュフとは、喜代殿の世界の甘い菓子の事ではないか。
ぐるりと辺りの食材であったもの達をみる。
ふむ、トリュフには魚の目玉を入れるのか。
「か、隠し味。。。早く、、、完成させなきゃ、いけ、ないの。」
それを言った後に喜代殿はふっと気を失ってしまった。
喜代殿を救護室に連れていったあと、もう一度厨房に戻ったダンデは
おもむろに腕まくりをすると、キッと顔を引き締める。
喜代殿、大丈夫だ。俺が何とかしてこの食材からウマいトリュフを
作ってみせるからな!!!
グッと握りこぶしをして、ずんずんと大量の食材に近づいて行く。
・・・本日二度目の爆音は、それから間もなくであった。