巣穴調査
先日マッピングした地図を参考に俺たちは鉱山へと入って行った。
「じゃあ、カズマ。サーチをお願いできる?」
「ああ、任せろ。」
サーチを詠唱しディグアントを探したところ、かなりの数が固まっている場所があるところを見つけることができた。
「ここからだと少し奥まったところにいるみたいだな。」
「どっちの方向になるんだ?地図で判断は出来るか?」
「ああ。この地図でいうとだいたいこの辺だな。」
俺は地図で場所を示し、道順を全員で確認したのちその場所へと移動を始めた。
俺が示した場所に付いてみて解ったことは、見る限り巣穴というものが見当たらないということ。
壁にもそれらしい穴はないし、地面にもないのだ。
「ホントにここなの?穴なんてないじゃない。」
「そうですね。おそらくなんですが、巣が広がっているんじゃないでしょうか?」
「なら、別の場所に巣穴があるということになるな。」
「うわぁ~。駆除なんて簡単に考えていたけど、これって結構面倒な依頼よね。」
「まあ、地面の下なんて邪魔者のない果てしない大地そのものですからね。」
「これじゃあ、巣穴を探すだけでも一苦労だな。」
「カズマ、苦労するのは依頼だと普通のことなんだぞ?討伐する魔物を探し森の中などを移動していくんだからな。1日で終わることなぞ滅多にないんだぞ?」
「カズマさんは薬草採取しかしたことありませんから、こういうことも学んでくださいね。」
「あとは、今回は宿の手配はギルドがしてくれたけど、普通は自分たちでするんだからね?報酬をあてにせず、必要経費を算出したり結構大変なのよ?」
「俺、恒常依頼だけでいいかも・・・。」
「駄目よ!ギルマスからも言われてるでしょ?しばらくは恒常依頼受けられないんだから、必要最低限は覚えなさい。」
「話はそこまでにしよう。今は駆除が優先だ。まずは、巣穴を見つけなければ話にならないからな。」
「そうだったわね。おしゃべりはここまでにして、探しましょうか。」
「はい。隊列は昨日と一緒で構いませんか?」
「問題ないだろう。カズマ、次にディグアントが多いのはどこか解るか?」
「さっき見た感じだと他は1~3匹が固まって移動していただけだったぞ?」
「ふむ。それは餌を探しに出た兵隊蟻だろうな。餌さえ見つけてもらえたら巣穴に戻るときに付いていけるんだが・・・。」
「なあなあ。ディグアントって肉も食うのか?」
「おそらく雑食だと思いますが、どうしてですか?」
「いや、アイテムボックスに入れている肉を餌として使えないかと思ってさ。」
「!!ナイスです。カズマさん。確かに餌さえ用意できれば、上手くいけばディグアントの巣穴を突き止められますね。」
「なら、その作戦でいきましょうか。でも隠れる場所はどうするの?」
「俺のルームでいいんじゃないか?あそこなら見つかる心配もないだろうし。」
「でも、中に入っちゃったら外が見れないじゃない。その間に餌を持っていかれたらどうするのよ。」
「んなもん俺のサーチでいいじゃないか。サーチ対象をディグアントと肉にしとけばいいんだし。」
「そういえば、サーチの対象は2種類までいけるんでしたね。」
「では、その作戦でいこう。カズマ、ルームで過ごすということは訓練もするのか?」
「いや、今回は訓練しないからルームの中の時間もこっちと同じにする。訓練をして疲れ切ったうえでの戦闘なんてしたくないだろ?」
「当たり前じゃない。そんな死にに行くような真似したくないわよ。」
「そうですね。訓練時間が惜しいのは確かですが、今回ばかりは魔物が相手になりますからね。」
「では、ルームでの訓練は無しで10分間隔での餌の確認という形でいいか?」
「ええ。」
「はい。」
「ああ。それじゃあ、ここから一番近いディグアントの近くに餌を置きに行くとしよう。」
そこからの行動は早かった。
俺がサーチを使い一番近くにいるディグアントを把握する。
そこが地図上でも行ける位置であれば移動し餌を置く。
もし、近いようで遠いなら別のディグアントを探す。
これの繰り返しだった。
3ヶ所ほどに餌を置き、俺たちは最後に餌を置いた場所から少し離れた場所にルームを開き、中に入って経過を観察した。
20分ほどたっただろうか。
最後に置いた餌にディグアントが食いついたのだ。
ディグアントが十分距離を開けたのを確認した俺たちはルームから出て、ディグアントの動きを注視した。
と言っても俺のサーチで確認しただけなんだが・・・。
「3ヶ所ともの肉が移動しているな。向かっている方向は全て一緒のようだ。」
「巣穴の大体の位置はわかるか?」
「今のままだと難しいな。合流してくれたら早いんだが、そう上手くはいかないようだしな。」
「それなら、あたし達もそっちへ移動したほうがいいんじゃない?」
「それもそうだな。カズマ、方角を示してもらっても構わないか?」
「ああ。地図でならこっちへ移動しているな。」
「なら、そちらへ向かって移動を始めよう。ほかのディグアントに出会うかもしれないから全員警戒は怠らないように。では出発しよう。」
俺たちは移動しているディグアントを追いかけるように移動を開始した。
幸いなことに移動している最中は他のディグアントに出会うことはなく、スムーズに移動ができた。
そして、
「3人ともちょっと止まってくれ。」
「どうした、カズマ?」
「どうやら、巣穴にディグアントが到着したようだ。餌が1ヶ所に集まっている。」
「とうとう見つけたのね。これで駆除も早まるといいんだけど。」
「巣穴を見つけられたのは大きいな。女王を駆除しないと兵隊や騎士を駆除するだけでは終わらないからな。」
「カズマさん。場所はどこになりますか?」
「ここからそこそこ離れているな。方向としてはこっちだ。」
俺は巣穴と思われる場所を地図で示し、3人とともに移動していった。
どうやらその場所はビンゴだったようで、地面が円形に盛り上がっている場所を遠目からでも発見出来た。
「おそらく、あれだろうな。」
「でしょうね。で、どうするの?さっきのカズマの作戦でいくの?」
「ああ。だから3人には周囲を警戒しておいてもらいたい。巣の大きさにもよるだろうけど、結構な時間がかかると思うしな。」
「巣はかなりの大きさだと思いますが、ほんとうに大丈夫ですか?さっきの場所よりかなり離れてますよ?」
「まあ、最悪の場合はルームで休んでMPを回復させるから問題ないだろう。」
「カズマさんが、大丈夫なら構わないんですが、これ以上は危険と判断したら撤退しますからね?」
「ああ。それよりこの場所を地図に記しておかなくてもいいのか?」
「あっ!忘れるところでした。ちょっと待ってくださいね。今書き込みますんで。」
エレナは地図に巣穴の場所を記し、アンナとアイナとともに周りへの警戒へと出向いて行った。
「さて、じゃあやりますか。」
俺は1人ごちると、魔力を込めて冷たい水をイメージした水の詠唱とともに、巣穴に水が流れ込み始めた。
水の幅は巣穴の直径丁度であり、勢いはそこそこ。
この流れに逆らって巣穴から出てくるのはまず不可能だろう。
俺は水の勢いに気を付けながら、巣穴攻略がこれで終わったら楽だなぁなどと考えていたのであった。




