マヨラー爆誕!
(さて、まずはマヨネーズを作るとしますか。卵は2つでいいな。油は大匙1か2だったような。酢は小匙1くらいだったよな。ってか匙ないから目分量でいくしかないんだけどな。
卵は黄身しか使わないから、白身は別容器に移してアイテムボックスへ。黄身を良く溶いて油を少しずつ投入。分離しないように気を付けながら混ぜ合わせて乳化させる。んでもって、また油を投入。
これを繰り返して油を半分ほど入れ終わったところで、酢を投入。液体化するから、また最初と同じように少しづつ油を投入。最後は塩と胡椒を少量入れて混ぜ合わせたら完成。
これはまだ見せたくないからアイテムボックスへしまっておこう。)
「アイナ、竈はどんな感じだ?」
「な、なんとか形には出来たんだけど、ちょっと見てくれる?」
「どれどれ?」
俺はアイナの作り上げた竈を見つめた。
「うん。大きさはちょっと小さいけど、強度的には問題なさそうだな。見た感じ穴が開いているわけでもなさそうだから、問題ないと思うぞ。」
「ほんと?よかったぁ~。これ作るだけでも結構しんどかったから、駄目って言われたら凹むとこだったわ。」
「まあ、あくまで見た感じだがな。実際に使えるかは火を入れてみないとわからんからな。」
「た、確かにそうね。それじゃあ、火を入れても構わないかしら?」
「ああ、薪はあそこにおいてあるから、頼んでいいか?」
「ええ。薪を入れたらアンナに頼んで、火で点火してもらうわ。」
「それじゃあ、頼んだ。」
「わかったわ。アンナ~、ちょっとお願いがあるんだけど~。」
俺は竈をアイナに任せて、食事の準備へと戻った。
(さて、竈もできたことだし、今回はちょっと深めの鍋に水を3分の1くらい入れて、卵を3つ入れて竹笊を被せる。次は、皮をむいたポッテ(=ジャガイモ)2つを8等分ずつにして、鍋の上に置いた竹笊の中へ。1本を4等分にし、皮をむいたキャロ(=ニンジン)も同じように竹笊へ。これは蓋をして後は竈に置くだけ。
キューカ(=きゅうり)、オニーオ(=玉ねぎ)は薄切りにして塩もみ、アッポル(=リンゴ)は銀杏切の薄切りに。これでサラダの下準備は出来た。
あとは、ジャンプラビットのベーコンをちょっと厚めに切って準備オーケー。)
「アイナ、竈に火は入ったか?」
「ええ、穴も開いてないみたいだから大丈夫よ。」
「それじゃあ、この鍋を竈にかけてもらえるか?時間はそうだな、15分ってところで頼む。」
「わかったわ。15分ね。」
「俺はもう一つ竈を作ってそっちでも調理するから頼むな。」
そう言うと俺はもう一つ竈をつくり、そちらにも火を入れた。
「相変わらずあっという間ね。自信なくすわよ?」
「だから、慣れだって。アイナだって慣れればこれくらいすぐに出来るようになるさ。」
「そうかしら?」
「それより、火が消えないようにちゃんと見ててくれよ?」
「大丈夫よ。ちょっと多めに薪を入れてるから、ちょっとやそっとじゃ消えないわよ。」
「それならいいんだ。さてこっちも火が良い感じになってきたから、フライパンを上に置いてっと。」
「こっちでは何を作るの?」
「ジャンプラビットのベーコンを軽く炙ろうと思ってな。」
「いいわね。意外とジャンプラビットのベーコンもいけるのよね。」
「そうなのか?っと言ってる間にフライパンが温まってきたな。アイナ、こっちばかり気にしてないで鍋を頼むぞ?」
「はいはい。それじゃあ、夕食楽しみにしてるわね。」
「了解。」
俺は適度に炙ったベーコンを一口大に切り、余熱を取るために皿に広げた。
「カズマ、15分たったわよ。」
「あいよ。すぐ行く。」
鍋を竈から卸し、串でポッテとキャロの中まで熱が通っているか確認すると、問題なく熱が通っていた。
「さて、キューカとオニーオの水気は切ってあるから、ここからは一気に行くぞ。」
俺はひときわ気合を入れて、調理を再開した。
(ポッテは熱いうちにマッシュして、適度に潰したら少し放置。その間にキャロを適度な大きさに切り分けて、水気を切る。ゆで卵も存在を確認できる程度の大きさに切り分けておけばいいか。
んでもって、ポッテにキャロとキューカ、オニーオ、アッポル、ベーコン、卵を混ぜ合わせる。最後に手作りマヨネーズと胡椒を入れて軽く混ぜれば、ポッテサラダの完成だ!)
「出来たぞぉ~。」
「結構時間かかったのね?ってなにこれ?気味悪いんだけど・・・。」
「カズマ、これは食べれるのか?」
「ちょっと遠慮したい感じですね。」
「心配しなくても食べれるもんだぞ?白パンにこれを挟んで食べても良いし、これだけで食べても良い。味が薄かったら、そこにある塩と胡椒を使って自分で調整してくれ。」
「胡椒!?なんでそんな高価なもの持ってるのよ!」
「そんなことはどうでもいいだろ?ほら、さっさと食うぞ。いただきます。」
またしてもあったアイナからの質問をスルーし、俺はポッテサラダを取り皿に取り分けた。
「うん。久々に作ったが、味は上々だな。ちょっと辛味が足りない気がするが、こんなもんだろう。ん?どうした?食べないのか?」
「カズマ。これは本当に食べ物なのか?」
「何当たり前のこと聞いてるんだ?これはポッテサラダと言って、俺の故郷じゃ人気のあるサラダだぞ?」
「カズマさんの故郷で、ですか?」
「ああ。こっちでは見慣れない調味料を使っているから気味が悪いかもしれないが、一度食べれば病みつきになるやつが多いんだ。」
「そうなのか。それは失礼なことを言ってしまったな。申し訳ない。」
「気にしてねえよ。それより食べた感想を聞かせてほしいんだが?」
「そ、そうだな。それではいただくとしよう。いただきます。」
「い、いただきます。」
アンナとエレナは恐る恐るポッテサラダに手を伸ばした。
「ど、どう?ちゃんと食べれるの?」
「アイナ、食わないならお前の分は下げるぞ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。食べるから、食べるから下げないでよ。」
「なら、さっさと食え。2人を見てみろ。スプーンが止まってないんだぞ。」
「えっ?」
アイナがすっとんきょうな声をあげ、2人を見てみると、2人は無心でポッテサラダを食べていた。
「ちょ、ちょっと2人ともどうしたのよ?」
「はっ!わ、私はいったい・・・。」
「あっ、あれ?気が付いたら、私の取り皿のポッテサラダが空になってます・・・。」
「いったいどうしたっていうの?2人とも一心不乱にポッテサラダ食べてたわよ?」
「いや、何と言うか、食べたことない味でな。決して不味いわけじゃないんだ。いや、逆に美味いんだ。癖になる味と言うかなんというか・・・。」
「そうなんですよね。今まで食べたことない味なんです。でも、嫌な感じじゃないんです。それどころか、このサラダに使われている調味料があればどんなものでも食べれてしまう。そんな気がするんです。」
「ああ、この調味料が合わない食べ物はない!そう断言できてしまうな。」
「そんなになの?」
「ああ、アイナも食べてみれば解る。」
「カズマさんの故郷で人気と言うのも頷けますね。カズマさん、お代わりしても良いですか?」
「構わないぞ。ちょっと食感を変えてみたいなら、さっきも言ったが白パンに挟んでパン包にして食べてみたらいい。また違った美味しさを味わえるぞ?」
「そうなんですか?それじゃあ、次はその食べ方をしてみます。」
「私もしてみよう。」
「アイナはまだ食わないのか?」
「た、食べるわよ。2人がこんなになるなんて初めてだから戸惑っただけよ。そ、それじゃあいただきます。」
「ふわぁ~。このパン包美味しいです。そのままも捨てがたいですが、包んだ食べ方も良いですね。」
「ああ、もちっとした食感がアクセントとなってポッテサラダだけの時とは違う美味しさが顔を出すな。」
「だろ?アイナはどうだ?」
「・・・。」
「アイナ?」
「・・・。」
「ふむ。呆然としているようだな。なら、今のうちにポッテサラダを確保するとしよう。」
「そうですね。私もそうします。アイナさんもおそらくこの味に嵌ってしまったでしょうしね。」
「作った俺が言うのもなんだが、2人とも嵌りすぎだろ。」
「何を言うんだ。この味を知って嵌らない者がいるのならば、ここに連れてきてほしいくらいだ。」
「そうですよ。カズマさんは食べ慣れてるから、そんなことが言えるんです。」
「わ、悪かった。悪かったから、そんなに圧をかけないでくれ。食事は楽しくするもんだろ?なっ?」
「はっ!?す、すみません。私としたことがムキになってしまいました。ですが、それほど美味しいということなんです。」
「あっ、あれ?私のポッテサラダは?カズマ、あんた私のポッテサラダ食べたでしょ!」
「食べてねえよ。自分が食べたんだろ?覚えてないのかよ。」
「一口食べてからの記憶が無いの・・・。」
「暫く呆然としていたが、いきなり取り皿のポッテサラダを掻き込み始めたぞ?覚えてないのか?」
「全然覚えてない。っていうか2人とも私の分も残しといてよ。ああ~っ!?もうこれだけしか残ってないじゃない。私まだ全然食べてないのよ?」
「食べるのが遅かったのが悪いな。言っておくが、いくら仲間であろうとこれだけは譲らんぞ。」
「そうですね。自分の初動の遅さを嘆いてください。因みに私も譲りませんよ。」
「そ、そんなぁ~。ねえカズマ。もうこれは残ってないの?」
「ああ。こんなになるとは思ってなかったからな。今あるのはこれだけだ。」
「そうなのね・・・。なら、残ったのはあたしが全部いただくわ。」
「なっ!?それはずるいぞ。せめて3等分するべきだろう。」
「そうですよ。独り占めなんて駄目です、絶対!」
「あたしはほとんど食べてないんだからいいじゃない。これは譲らないわよ!」
3人がポッテサラダを取り合いしているのを横目に、マヨラーが誕生したなと心の中でほくそ笑む俺であった。




