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同衾ですか!?

土小屋も予定通り完成し、後は就寝するだけとなった。


「よし、最後は寝る時に閉じたら終わりっ!」


「はぁ~あっという間だったわね。」


「ほんとですね。」


「ああ、強度もそこそこあるみたいだし、確かにこれなら魔物に襲われてもしばらくは持つだろうな。」


3人は出来上がった土小屋を見渡しながら感想を述べていた。


「じゃあ、これは3人で使ってくれ。俺は別の小屋を建ててそっちで寝るから。」


「うん?カズマはどうするんだ?」


「皆で寝るんじゃないんですか?」


「寝るわけないだろ?今日会ったばかりの見ず知らずの男女だぞ?」


「そうよ。信用はしてるけど、まだカズマのことを信頼できるとは思えないわ。

 信頼と信用は違うのよ?」


「確かにそうですが、何かあった時にすぐに対応できる状態にもしておくべきじゃないですか。

 それなら、一緒に寝たほうが素早く対応できると思うんですけど。」


「エレナの言うことにも一理ある。アイナの言うことが間違っていると言うわけではないのだが、テントと違って何かあったときに、すぐに駆けつけることが出来にくいのは確かだ。」


「確かにそうなんだけど・・・。」


「それなら、この小屋に仕切り壁を入れるのはどうでしょう?それなら、お互いの距離を保てますし、何かあったときも直ぐに対応できると思うんですけど。」


「仕切り壁?」


「はい。人1人通れない程度の隙間を、壁1面と天井に開けてお互いに様子を見れるようにするんです。」


「確かにそれがあればお互いに何かあった時にすぐに対応はできるな。」


「ちょ、ちょっと本気なの?」


アイナの言っていることは至極普通だとは思うのだが、アイナの慌てふためく姿が面白いので、俺はしばらくほっておくことにした。


「はい。それにこれから街までは一緒なんですよね?なら、親睦を深めるいい機会じゃないですか。」


「確かに街まで後数日はかかるけど・・・。」


「なら、今日はお試しということにして、都合が悪ければ明日から別々にすればいい。」


「アンナまで・・・。」


「と言うわけで、カズマさん。この小屋に仕切り壁を設置してもらえませんか?」


「3人がいいならそうするが、構わないのか?」


「ああ。構わない。」


「ちょっと待って。仕切り壁したらを設置したら、その先は入れなくなるわよね?」


「まあ、そうだな。」


「なら、少し時間を頂戴。せめて体を拭きたいの。」


「あっ!忘れてました。確かに寝る前に少しさっぱりしたいですね。」


「だが、拭くものなんてあるのか?私たちの荷物はほとんど駄目になったんだぞ?」


「そうだった・・・。なら、街に帰るまでこのままでいるしかないのね・・・。」


「手拭と桶くらいなら持ってるから貸してやろうか?」


「持ってるの!?なら、貸してくれない?街に帰ったらきちんと洗って返すから。」


「別に返さなくてもいいぞ?とりあえず、体を拭くなら小屋の裏側にでも行って拭いて来いよ。水はエレナ頼むな。それまでは俺はここで見張りでもしてるよ。」


俺はアイテムボックスから桶と手拭を3枚取り出して、手渡した。


俺から桶と手拭を受け取った3人はよほど嬉しかったのか、急いで小屋の裏に走っていった。


3人が走っていったのを見送ったのち、俺は剣を手に取り素振りを始めた。


(稽古をつけてもらえることにはなったが、心構えや構えだけで終わりそうだし、せめて剣の重さになれないと。)


俺は以前ネットで見た剣術の素振りのやり方を思い出しながら、一心に剣を振った。


「ああ~、さっぱりしたぁ~。」


「ほんとですね。」


「カズマに感謝だな。」


素振りを続けていた俺の耳に3人の声が聞こえたので、素振りをやめ振り返った。


「さっぱりしたみたいだな。」


「ええ、おかげさまで助かったわ。ありがとう。」


「ありがとうございます、カズマさん。」


「ああ、あのまま寝るのはやはりきつかったからな。」


「それじゃ、次は俺が体を拭いてくるから3人にはシーツを渡しておくから、小屋に敷いておいてくれ。」


「わかったわ。」


3人にシーツを渡し、俺は体を拭きに小屋の裏へと移動した。


(しっかし、体しか拭けないのは不便で仕方ないな。やっぱり足を延ばして入れる風呂がほしいところだが、シャースの街にはバスタブは売ってなかったんだよな。陶器製のバスタブ位あると思ったんだがな・・・。

 人が入れる大きさの樽も見当たらなかったから、ジェスの街には勝手に期待をさせてもらうとするかな。)


俺は風呂に郷愁をいだきながら、体を拭き終え小屋へと戻った。


「場所はこのくらい貰っていいかしら?」


「ああ、俺は1人だからな、そんなスペースいらないからいいぞ。」


「助かる。そういえばカズマのシーツはどうするんだ?」


「俺はシーツじゃなくてベッドで寝るから、気にしなくて大丈夫だ。」


「あんた、ベッドまで用意してるの!?」


「当たり前だ。快適な旅を続けるには、おいしい食事と快適な睡眠をとらないとな。」


「なんだか、すごい拘りなんですね。」


「勿論だ。そのためには俺は金も努力も惜しまん覚悟だ。」


「その辺りは明日以降にでも聞けばいいだろう。カズマ、すまないが仕切り壁を頼めるか?」


「ああ、人1人通れないくらいの隙間を開ければいいんだよな?」


「ええ。作ってもらってばかりで悪いわね。」


「構いやしないぞ。こんなの朝飯前だからな。」


俺は(グランド)を唱え仕切り壁を作った。


「こんなもんでいいか?」


「はい。私の思っていた通りのものです。カズマさん、ありがとうございます。」


「んじゃ、最後の1面を作って今日は寝るとしますか。」


「そうだな。それじゃあ、カズマ。おやすみ。」


「おやすみなさい。」


「おやすみ。」


「ああ、おやすみ。」


3人と挨拶を交わしたのち俺はベッドを出し、最後の1面を作って瞼を閉じた。




翌朝、俺たちは食事をとり街へと足を進めた。


旅の途中でアイナから剣の心得や構えなどを教わり、アンナからは解体の仕方を教えてもらった。


教材はプレインウルフ。数が多いので失敗しても大丈夫なのが理由だったりする。


きちんとした解体を教えてもらったおかげで、解体を習得できたのは幸運だった。


道中でアイナから俺の魔法がいかにおかしいかを説教されたが馬耳東風、馬の耳に念仏とばかりにスルーしたのはよき思い出だ。


そのおかげなのか街に着く前日にはアイナのお小言はなくなっていた。


そして、森を出てから5日目、ついにジェスの街へと俺たちは着いたのだった。



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