ジェスの街に到着
ジェスの街の門が遠目で見えたころ俺は、アイテムボックスから袋を取り出した。
「なんで、袋なんか取り出したの?」
「これをマジックバッグとして使うんだ。3人にはもうばれてるからいいが、なるべくアイテムボックスを人目には曝したくないからな。」
「なるほど。偽装をするということですね。」
「ああ、これをしておけば大体は納得してくれるからな。」
「3人の荷物はどうする?街に入ってから渡したほうがいいか?」
「そうですね・・・。いえ、ここで出してもらっても構いませんか?これでも一応あの街で活動している冒険者ですし、依頼に行ったのに荷物を持っていないのはおかしいので。」
「了解。」
俺は3人から預かった荷物をアイテムボックスから出した。
「エレナの背負い鞄に他の物を詰め込んでしまおう。ちょっと無理をすれば全部入るだろうしな。」
「そうですね。依頼品に関してはアイナさんが持っているんですよね?」
「ええ、それは大丈夫よ。」
3人は準備を終えたのか俺に声をかけてきた。
「またせたな。では出発しよう。」
「準備はできたのか?」
「ええ、大丈夫よ。そういえば、カズマは街に入ってからどうするの?」
「とりあえず宿屋を探そうかと思う。買い物なんかは拠点さえ決めれば次の日でもできるからな。」
「ギルドで買い取りしてもらうんでしょ?なら、ギルドにもいかなきゃね。」
「そうだな。宿屋を決めた後にでも時間があれば行くか。」
俺たちはたわいもない話をしながら街へ向かった。
「ここがジェスの街か。」
歩き続けること数十分。
俺はジェスの街の門の前に着いていた。
「さっさと入っちゃいましょ。カズマは入街税が必要だから用意しときなさいよ。」
「わかっている。」
俺たちは門の前にできている列に並んだ。
・・・数分後
「次の者、身分証明書を提示しろ。」
「はい。これね。」
「お願いします。」
「うむ。」
3人はギルドカードを兵士に提示し街へと入っていった。
「次の者。」
「すまないが、身分証明書を持っていないんだ。入街税を払えばいいんだろ?」
「ならば、あちらの鐘の前に行ってくれ。そちらで簡単な検査を受けてもらうことになる。」
「わかった。」
俺は兵士に指示された場所へと移動した。
「では、この鐘の前に立ってください。いくつか質問をしますので、全て「いいえ」で答えてください。」
「わかった。」
「では、始めます。この街に来たのは初めてですか?」
「いいえ。」
カラ~ン
俺が質問に答えると鐘が鳴った。
(なるほど、簡易的な嘘発見器みたいなものなのか。どういう仕組みなんだろう。ファンタジーだな。)
「犯罪を犯したことはありますか?」
「いいえ。」
「この街には商売で来ましたか?」
「いいえ。」
「はい、結構です。街へ入るのを許可しますので、入街税として銅貨5枚をいただきます。」
「じゃあ、これで。」
俺は兵士へ入街税を支払い街へと入った。
「ちょっと時間かかったみたいね?」
「待っててくれたのか?」
「まあね、街の案内とかもしてあげたかったし。気にしなくてもいいわよ。」
「そうです。私たちが勝手にやろうって決めたことなんで。不要でしたか?」
「いや、助かるよ。それじゃあお願いできるか?」
「任せなさい。宿屋に求めるものはある?例えば部屋が広いとか、食事がおいしいとか。」
「部屋は小さくても構わないから、食事が美味いところがいいな。」
「なら、私たちが拠点にしてる宿屋にしないか?あそこは値段の割に食事は美味いぞ。」
「いいわね。宿代もそんなに高くないし、あそこにしましょう。」
「お勧めがあるなら任せるよ。」
「それじゃあ決まりね。」
俺は3人の案内で宿屋に向かった。
「ここよ。」
案内してもらった先には大きく「兎の耳亭」と書かれた看板が出ていた。
「ただいま~。」
「ただいま帰りました。」
「あと、お客さんも連れてきた。」
「あっ、皆おかえり。無事だったんだね。」
「ただいま、ラビさん。もちろん無事よ。」
「ラビさん、お客さんをお連れしたので、宿泊の手続きをお願いできますか?」
「えっ?あらあら、ごめんなさいね。3人が無事だったのが嬉しくて。ようこそ兎の耳亭へ。」
「なんだか急かしたようですまないな。」
「いえいえ、とんでもないですよ。おひとり様ですか?」
「ああ、1人でいい。」
「それでは1泊銀貨1枚となります。朝食は込みですので食堂にてお取りください。宿泊費は申し訳ありませんが、前金となります。」
「わかった。それじゃあ、とりあえず1か月頼む。」
「1か月ですと銀貨30枚となりますが、よろしいですか?」
「問題無い。これで頼む。」
「ありがとうございます。それではお部屋は・・・。3人の近くがいいかしら?」
「なっ!?そ、そんなことしなくていいわよ。こいつとは別にパーティー組んでるわけじゃないんだから。」
「そうなの?3人とも嬉しそうにしてたから、そう思っちゃったんだけど。」
「違いますよ。旅の途中で色々お世話になった方なんです。」
「あらそうだったの。それでしたら、お部屋は3階の一番奥のお部屋か、2階の一番手前のお部屋が空いておりますが、どちらがよろしいですか?」
「それなら2階で頼む。」
「わかりました。こちらが鍵となります。お出かけの際は従業員にお渡しください。」
「わかった。」
「それじゃあ、各自の部屋に荷物を置いたらギルドに行くわよ。荷物を置いたら、ロビーに集合ね。」
その後、約束通りに荷物を部屋に置きロビーに集まった。
「皆集まったわね。それじゃあ、行きましょうか。」
「ですね。」
「うむ。依頼完了を伝えて報酬をもらうとしよう。」
俺たちはギルドへと足を向けた。
「そういえば、カズマのランクってどうなるのかしらね?」
「ん?一番下からじゃないのか?」
「フォレストボアを倒してますからね・・・。それと、プレインウルフも・・・。」
「まあ、その辺りはギルマスが判断するだろう。私たちはカズマが疑われたら証言をしたらいいだけだ。」
「それもそうね。期待の新星現る!とか噂になったりして。」
「やめてくれ。俺は目立ちたくないんだ。」
そんなことを話しながら歩いていくと、数分でギルドへと着いた。
「着いたわよ。」
「もうか?宿屋から近いのは助かるな。」
「でしょ?私たちも助かってるのよ。ギルドからも近いし食事もおいしい。最高よ。」
「いつまでもここで喋っていても仕方ないだろ。さっさと入るぞ。」
「あっ、ちょっと待ってよ。」
こうして俺は異世界ファンタジーの代名詞とも呼べる冒険者ギルドへと足を踏み入れたのだ。




