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44 士也、ディアスを撃破する

ブクマ登録、評価⭐️をいれていただき、ありがとうございます。


サブタイトルを、シヤから士也に変更しました。



「……カーマイン」

 中央に立つ人物を見て、マリーシアが呟く。


「マリーシア様……奴がおっしゃっていた」

 アルベルトがマリーシアの呟きをひろい、確認の為に尋ねた。


「ええ……魔族よ」

 マリーシアは頷く。


「なんと……魔族がこの様な場所まで」

 宰相は顔を青くし驚愕する。


「しかし、どうやってここに?

 別の入り口が使われた様子もないが」

 陛下は他の入り口を見渡し、首を傾げる。


「陛下、奴の相手は私がします。

 リセラ、陛下達の守りを……全開で」

 アルベルトはリセラに陛下達を頼み、アルベルト1人中央にいるカーマインの方へと歩き出す。


「承知しました。

 陛下、皆様、こちらへ」

 リセラは皆を部屋の端へと導き、結界を張る為の魔石を袋いっぱいに取り出した。



 魔石はこの三ヶ月、冒険者ギルドに恨まれながらも各方面の町や村などでみられた魔物達の排除で得て回収した物で、リセラはそれを利用して強力な結界を張る事が出来た。

 それがアルベルトのもと、3人しかいない団長の1人、リセラの得意分野だ。


 攻撃力と守備力のビンセント。

 裏で情報を集めるクレスト。

 そして結界などで要人を守るリセラ。

 それぞれに特化した力を持ち、アルベルトは器用している。

 もちろん、それに加えて、武力、指揮力、行動力なども優れている。



「むうっ……はっ!

『守護三十六魔陣結界』」

 取り出した魔石、Aランクの魔石を12個、Bランクの魔石を24個を利用した、リセラ最大の結界陣を紡ぎ出した。

「陛下、私が張れる最高の結界を張りました。

 が、油断はなりません。

 アルベルト総団長の相手は、魔族です。

 ですので、全力でお守りいたしますが油断はなされない方がよろしいかと。

 ……お前達もしっかり陛下達を守れ!」

 リセラは連れていた騎士達に声をかけた。


「「はっ、了解しました」」


 それを聞き、リセラはアルベルト達の方を見据えた。



「貴様が町カーマインか……しかし、どうやってここに現れた?」

 アルベルトは剣をカーマインに向けて問う。


「くふふ、いいでしょう。

 説明してあげましょう。

 我ら魔族には、ランクがあります。

 下から、下位、中位、高位、そして真位と。

 魔王様筆頭に真位である魔族は、なにかしらの特殊能力を持っています……貴方の持つその目の様にね?

 そして、私はもともと真位でありましたが、ある時期をもって別の力を得る事になりました。

 ここに来る事が出来たのは、その別の力によっての事……それだけです」


「なるほどな……で?

 その力ってのは、見せてくれないのかな?」

 アルベルトは笑う。


「それは戦えばわかる事でしょう」

 カーマインも笑う。


 こうして、アルベルトとカーマインの戦いは始まった。




 士也は迫りくる下位魔族レッサーデーモンの群れによる攻撃を上手く鉄棍でさばき、返す棍の先で一体の下位魔族の足で突き付与された力で凍らせ、動きを封じ、魔力を込めた強力な一撃で下位魔族を打ち払う。

 しかし、ダメージはあったモノの倒す事は出来ず、手をやいていた。


「くふふ……どうだ?

 貴様にコヤツらを倒せまい?

 私を騙した罪……とくと味わえ!」

 ディアスは手も足も出ない士也を見て幸悦になり喜んでいた。


 下位魔族が士也の隙をついて士也を殴る。


 士也は棍で受けとめたが、体格の差による威力で士也は壁際へと吹き飛んだ。


「いっぅ……これじゃあ、対処出来ないか」

 士也は手にする棍を見てため息をはく。

「仕方がない」

 棍を手首につけているブレスレットの魔石に戻し、代わりに双振りの剣を取り出した。


 この双剣も、一度フィガロ達と王都を脱出する前に、フィガロ邸でもらった物だった。


 フィガロの執事レイドによる作品でも、特別でもな一品。

 単に鋼鉄より堅い特殊な金属を元に使用し、錬金術で地竜の骨と血、牙、爪を融合させ、剣の形にした事で破壊不可となった双振りである。


 そして、もともと士也は槍棍術よりも、剣術……しかも双剣術が得意であった。

 ただ、得意ではあったが好きではなかったので、この世界に来てから鉄棍ばかり使用していたのだった。


 だが……。


「そうも言ってられない……か」

 再び下位魔族達が迫り来るのを見て、士也は双剣をしっかり持ち、剣を振りながら進む。



 ディアスには、単に下位魔族達と士也がすれ違ったにしか見えなかった。


 気づけば、すれ違った下位魔族3体はバラバラと切り崩され絶滅していた。


「な……なにがあった?

 なにが、起こったのだ?」

 あせるディアスに。


「もう、遠慮はしない。

 みんな……出てきて」

 士也は魔方陣を出現させ、スン、ラン、イル、ムウを召喚した。

「みんな、これからコイツら殺すから、全部食べていいよ」


「「「「わ~い、こしゅじん、だいすき~」」」」

 4匹のスライムがボヨンボヨンと、士也のまわりを飛び跳ねた。


「なっ……スライムだと?」

 ディアスは、士也が召喚したスライム達を見て驚くが、鑑定で見てただのビックスライムだと知り安堵のため息をはく。

「なんだ……驚かせやがって?

 ビックスライムだと?

 単にデカイだけじゃないか」


「……」

 士也は、そんなディアスを見てニヤリと笑う。


 次の瞬間、士也の姿が消え、しばらくしてディアスの前に現れる。


「なっ?」

 気づけば、すべての下位魔族はすでに切られ、会場の地面に伏せ倒れた。


「油断大敵」

 士也は、驚きついてこれないディアスを切る。

 双剣は首、肩から腰、足等一瞬で刃を通す。


 が……。


 ディアスは切られた場所から血を出さずに、赤っぽい粘液が飛び散り、切れたところから逆再生する様に元に戻った。


(やっぱり、そうか)

 その現象を見た士也は、攻撃方法を変える事にした。


 双剣を鞘に戻し、今日は護衛を始める最初から、装備している『幻魔の手甲』に魔力を込め、切られた事で未だ意識が戻っていないディアスに、右のこめかみ、胸、腹、両太もも等、数発の打撃を与える。


 この打撃はあるものを探す為の打撃……触診だ。


 当てた場所から魔力が波の様に伝播でんぱしていき、他の場所から波が打ち消す様にぶつかり合う。


 さきほど切った断面は人間らしき形に似ていたが、どうやらディアス自体、人間だった感覚で、形を残し動いているのだろう……カーマインに喰われた際、すでに人間ではなくなったのに。


 そして、今の打撃でわかった。


 ディアスの魔石は、人間の重要器官……心臓にある。


 右腕の手甲を魔力で纏い、属性を氷に変え、拳から手刀に心臓めがけ突き刺し、魔石を握る。


「ぐうっ?」

 魔石を握られた事で意識を取り戻したディアスは、まわりを見渡し、士也を見て現状を把握したのか笑う。

「……馬鹿め?

 魔石に気づいたのは誉めてやるが、簡単にはその腕、抜かせてはやらぬぞ!

 と、いうより無謀な事だと思いしれ。

 私の体が、どのような状態かわからぬうちは、な」

 ディアスは身体に突き刺さっている士也の腕を、両手で離さない様に掴む。

 そして、掴んだところから服が溶け煙があがる。


「……知っているさ。

 お前、スライムだろ?

 後ろを見てみなよ……俺が召喚したスライムを。

 俺はスライム召喚士、シナリ・ヤガシラだ。

スライムの事なら大抵の事を知っているぞ!

 それに……我が名に、覚えはないか?」


「覚え、だと?

 …………まさか、貴様?

 あの時の……勇者召喚のオマケ、か?」


「ああ、そうだよ……氷魔法『永久凍結……絶対零度』」

 魔石を握ったまま、魔法を発動。



 士也がこの世界に来てから約半年以上、この世界に、向こうの世界の科学という知識がない事を知った。


 おそらく、この世界で科学に近い存在は魔法具だろう。

 だが、魔法具にも2種類に別れる。


 1つ目は、士也がレイドに作ってもらった鉄棍の様に、元になる武器と魔物の素材を、錬金術で融合させ1つにする魔法具。


 2つ目は、部品同士を繋ぎあわせ、配線の代わりの魔線……これは魔法陣を描く時にも使う魔力の線……を利用してエネルギーとなる魔力が通り動く。

 そしてエネルギーは、術者の魔力か、魔物から取れる魔石を利用している。

 士也は知らないが、リセラが魔石を使って結界魔方陣を使用しているのも同じ様な原理で、部品があるかどうかの差だ。


 属性を知っていて、魔力や魔石のエネルギーで強化する、この世界と、科学というありとあらゆるすべてを追及し求め、世界の理を知ろうとする向こうの世界。


 勇者の最大の力は、向こうで得た知識。


 士也が発動した魔法はすべての物質が凍結し、分子も原子も動きを止める絶対零度の領域、摂氏-273,15度……その原理を活用する。



「ふん……私のスライムボディがただの凍結で凍るものか!

 それに併せ、私の火属性の魔力でもって溶かしてやる」

 ディアスは士也の腕を掴んでいる両手に、魔力を火に変え放出する。


 だが、しばらくして火は魔力ごと凍結し、両手から、突かれている胸元から凍っていく。


「ばっ、馬鹿な?

 なぜ、凍る?

 なぜ、私の魔力まで凍るんだ?」

 ディアスは次第に凍結していく自分の身体に驚愕し、士也から離れようとするが、自身が掴んでいる両手と、掴み捕らえている魔石がある限り、士也から離れられない。


「俺は、向こうの世界ですべての物質が動きを止める温度、原理を知っている。

 例え、この世界にそれ以上のマイナス温度で活動をやめるモノがあったとしても、お前の身体は、俺の魔法に耐えられない」


「そ、んな……馬鹿……な?

 私が……死ぬ?

 私、が……こ、お……る」

 ディアスは完全に凍結し、意識も、感情も、すべてが止まった。


 バキィッ!


 士也は凍結した魔石を捻り抜き、ディアスの両腕も半ばで折れ、士也の腕から離れ落ち……腕にまで魔力でコーティングしていたので溶ける事も、燃える事もなかった……一目、魔石を見たあとスン達にめがけ放り投げた。


 スン達はすでに下位魔族をすべて吸収し終わり、レベルが上がり、下位魔族のスキルも獲得終えている。


 魔石をキャッチしたのはムウで、魔石を吸収したムウが持つ魔物鑑定録に新たに下位魔族とディアスの事が記載された。



ディアス……ざまぁ2発目。

1発目は、シヤから士也に、女装をやめ男に戻り知らせた時。


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