43 シヤ、ディアスと対峙する
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避難しているあいだ、シヤはディアスがなんらかの行動をとろうとしても止める為に警戒しているが、ディアスはまわりなど気にせずシヤを見ている。
「くふふ……シヤ!
やっと会えたね!
ずっと、ず~っと、会いたかった」
ディアスは、ニヤ~といやらしい顔で、両腕を広げ再会を喜ぶ。
「……先日、目を合わせましたよね?
不本意ですけど」
天井際に隠れ、隠密術で気配を消していたにもかかわらず、シヤは見つけられた事に、苛立ちをもってシヤは問う。
「……ああ、あれね?
あの時は、感動な再会の場面じゃなかったからね?
見つけるだけにとどめたのさ!
ほら……今なんて最高のタイミングじゃないか?」
クルリとその場を一回転し、ウィンクするディアス。
シヤは一歩下がった。
「……ディアスよ。
貴様はなにをしたかわかっておるのだな?」
ガルシアはシヤの存在は聞いていたが、ディアスとの関係まで聞いてなかったので、静観していたが、話が途切れたのでディアスの異常な行動に理由を問いかけた。
「……なんだ?
まだいたのですか?
せっかくのシヤとの再会を邪魔しないでもらいたいですけどね……まったく!」
シヤから視線を外し、胡乱な目でガルシアを見た。
「国王陛下……どうやら、この者……ディアスなのは間違いないのですが、私の瞳はディアスとは違うといって……」
「なにを言っておるのだ?」
ガルシアはアルベルトの瞳の事は知ってはいたが、アルベルトの言いたい事が理解出来ずにいた。
アルベルトはガルシア達を守りながらも、『真贋を知る瞳』でディアスを見ていたのだが、真実、虚実、本物、偽物といった様に交互に見え続け、アルベルト自身が混乱していた。
「ほう?
騎士団の総団長は特別な目をお持ちの様だ」
逆にディアスはアルベルトの言っている事を聞いて、理解したのか、目を輝かせて見た。
「総団長……そろそろ行ったほうがいいみたいだ。
ここは私が食い止めるから……」
シヤはディアスの気配が変わり、感じる禍々しい魔力に冷や汗をかき出す。
「……ああ、悪いがこの場を任せる。
皆様、誘導いたしますので、どうか」
アルベルトも遅まきながらディアスの気配に気づき、シヤの言う通りにするしかなかった。
「でも、シヤが!」
マリーシアは2人が異常に緊張しているのに気づいていたが、シヤが残る事に反対する。
「行って、マリーシア!
私より、道に詳しい総団長のほうが安心出来る」
「……わかった。
アルベルト、ワガママ言ったわ……お願い!」
シヤの気持ちをくみ取ったマリーシアは葛藤を捨て、アルベルトに案内を頼む。
「では、ついてきて下さい」
アルベルトは陛下達3人を連れ、玉座のそで口から会場を出た。
「やっと2人っきりになったね?」
ディアスはシヤを見つめ微笑む。
「……なにを言ってる?
足元に貴方の両親がいるじゃない?」
シヤは半眼でディアスの足元を見る。
「ん~?
ああ……忘れてた」
そう言って、ディアスは両親の顔にそれぞれ手をあてた。
ズルゥ……ズッ、ズルズルゥ。
マルチーノ公爵夫妻は、ディアスの手のひらに触れた顔から吸収されていった。
「な……?」
シヤは呆然とそれを見ているしかなかった。
「お待たせ。
これで気にならなくなっただろ?
2人っきりだ」
ディアスは完全に吸収しつくし、両手をパンパンと払う。
(こいつ、いったい?
……いや、私はこれと同じ様な事を見ている。
それも何回も、よく……まさか?)
シヤは二段高い雛壇から降り、慎重にディアスに近づく。
「くふふ……シヤ。
いいモノを見せてやろう……私の新しい力だぁ!」
ディアスはさきほど吸収した両手を胸元でパンと合わせ、両腕を横に広げた。
するとディアスの背後に真っ赤な魔方陣がデカデカと出陣し、魔方陣から牛の様な顔に真っ黒な角を額の左右から伸ばし、盛り上がった筋肉をもつ身長2メートルを越える化け物が次々と出てくる。
出てきた数は20体。
どの個体も真っ赤に光る目で、口元からヨダレが垂れて、荒々しい息をはき続け、手には三ツ又の矛を持っている。
「どおだぁ?
シヤ~、これが私の~新しい力、下位魔族召喚魔法だ~!」
ディアスは興奮し過ぎて目が血走っていた。
「さすがは私の両親。
たった2人で、これだけの数を呼び出せるとは思わなかった!
最後にいい仕事をしてくれたよ……父上、母上!
はははははははははははははははははははははははは!」
「狂ってる」
シヤは呟く。
「……狂ってる、だって?」
シヤの呟きが聞こえ、ピタリと笑うのをやめたディアス。
「いいや、狂ってはいないさ……シヤ。
あの日、君と出会い、君の美しくさに目を奪われ、最愛の妻もいたのに心奪われ、この城にいると聞き探してみれば糞騎士達と群がり、楽しそうな君を遠くから見ているしかなかった。
近づけば、君は全力で逃げるからな?
なあ……なぜ、君は私から逃げる?
私は、君に嫌われる様な事をした覚えはないのだぞ?
……もし、私が狂っているとしたら、それは君のせいだ!
そうだろ?」
「そうか……それほどに私に惚れていたのか?
だが、すまないな。
私はあんたとは付き合うつもりも、愛し合うつもりも、一欠片の気持ちもない」
「なぜだ!」
シヤの拒絶に、ディアスは叫ぶ。
「それを答える前に、こちらの質問にこたえろ。
あんた……魔族カーマインに喰われただろ?
そして、あんたの新しい力とはカーマインの力で得たモノだな?」
「……ああ、その通りだ」
よくわかったな、とディアスは笑う。
「私は、カーマインに、さきほど父上達を吸収した様に、私は喰われ奴の一部となった。
そのかわりに、こうして奴の力も私の力となったけどな?」
「やっぱり、そうか。
で……さっきの答えだが」
シヤは身体中の骨格を少しずつずらして戻し、変装をといていく。
最後に喉の調子を戻して男の声となり、シヤから八頭士也に姿を変えた。
「この通り、俺が男だからさ……残念だったな?」
「なっ……男だと?
馬鹿な?
馬鹿な馬鹿な馬鹿なーっ?
じゃあ、なにか?
私は今まで知らず、男に惚れていたと?
カーマインに喰われた後も、貴様に惚れた心を大事に残したというのに……」
「無駄、だったな」
士也はさらりと続けた。
「……くそっーーーー!
なんだ、それは!
おいっお前ら、私を騙した奴を殺せーーー。」
ディアスは、目から血の涙を流し自暴自棄となり背後に控える下位魔族をけしかける。
「ふむ……お前ら、俺達礎となれ」
士也は鉄棍を構えて戦いに挑む。
会場から逃げてでたアルベルト達は、途中でリセラと騎士2人と合流して、守りを強化して進み、そして、地下に入り細い通路を抜け、目的地の隠し部屋にたどり着く。
その部屋は体育館より少し広い空間を保つ。
しかし、どうしてこの場所を知ったのか、先客が部屋の中央に1人……赤い服を着た魔族カーマインが待ち構えていた。




