18 東方院秋雨と八頭士也 後編
本日、二本目です。
前編は0時に投稿しています。
読んでない方は、そちらからお願いします。
昨日、読んでいただいている方達の、お陰様で総PVが「10000」をギリギリ越えました!
ついでに、その日1日でもPV「1000」を越えました。
少しずつ、増えていくPVや、評価などを見て、嬉しく思います。
これからもよろしくお願いします。
長くなりましたが、後編をどうぞ。
「お疲れ」
「……お疲れ」
八頭は、横に座った俺をちらっと見て、飲み物が入ったコップを持ち上げた。
「八頭……お前、凄いな。
さっきの歌もそうだけど、バスケ。
お前がいたから、勝てた様なモンだ」
「……MVPをとった奴が言う事じゃないな。
球技なんて、結局は点を入れた奴が凄いんだよ。
俺は、ただみんなにパスをしただけさ」
「そのパスの起点はお前だろ?
それにパスを回さず、シュートを打てば、お前は、おそらく外さないだろうさ。
……お前、やっぱり凄いよ。
普通、誰だってボールを持ったらシュートを打ちたくなるもんだろ?」
「まあ、そうだな。
でも、運動神経が優れて背が高い奴がいたら、任せたほうが効率がいいだろ?」
「それが俺か?」
「結果が出ただろ?」
「まあ……そうだな。
……なあ、なんでいつも1人でいるんだ?」
「……なんの事だ?」
「いや、教室で休み時間、いつも1人だしさ。
見た感じ、嫌われている訳でもないし、無視されている訳でもない。
話かけられたら、愉快に笑いあってるし」
「ああ……別にいいだろ?
お前には迷惑をかけたつもりもないし、関係ない事だ。
そっとしておいて欲しいだけだ。
……おっと、どうやら終わりのようだ。
話はここまでだな?
とにかく、俺もそうだが、1人でいたい奴もいるんだ。
……だから、東方院、もうお前の相手は面倒臭いから、用がなければ話かけるな。
次から、こんなふうに話かけてきても無視するから、じゃあな」
八頭の言葉に、まわりを見ればそろそろ予定の時間がきたのか、テーブルに食器が集められ、ちらほらと帰る準備をする者もいて、八頭は近くに置いてあったバッグを手にして、俺から離れた。
俺は、八頭のキツイ発言に驚き、呆然と離れていく八頭を見ていた。
「秋雨、もう終わりだって……どうしたの?」
バッグを手にした実和が、呆然としている俺の肩に手を置き、首を傾げた。
「……いや、俺……八頭に嫌われていたのか?」
「なんで?」
「いや、だって、もう話かけるなって」
「言われた?」
「ああ、俺の相手、面倒臭いって」
「ふ~ん、秋雨も言われたんだ?
結構、言われている人多いみたいだよ……私も言われたし」
「えっ、そうなのか?」
「うん、そうなの。
ただね?
私もなんだけど、言われてショックだけど、みんな、八頭くんの事、不思議に嫌いにならないのよ。
今日、八頭くんが歌って、ヤジ1つなく盛り上がったでしょ?」
「そういえば」
でも、いつ実和の奴、八頭に話かけたんだ?
……なんだよ、それ?
このクラスにも慣れたとはいえ、人見知りのはげしい実和が自分から話かけただって?
そういえば入学した日も、実和の奴、教室入って八頭を見つめていた様な……もしかして、実和、八頭の事?
いやいやいや、あんな地味な奴……地味?
本当にそうか?
運動も出来るみたいだし、歌も、英語の発音もよかったし、気もまわせて、まわりをよく見ているようだ。
……そうだ、俺も、八頭が凄いと思って……友達になりたいと思って話かけたんだ。
……わかった、みんな、拒絶されても嫌いにならないのって、八頭が凄いと、嫌われても友達になりたいと思うから、嫌わないんだ。
…………なんだよ、それ?
ずるいだろ?
…………認めない。
認めたくない。
俺だけは、認めてやらない。
逆にアイツから、俺を認めさせてやる。
友達となりたいと思わせ、言わせてやる……絶対だ!
(認めさせてやるーって思ってそうだな)
ちらっと見た俺は、東方院がそう思っていそうと思った。
幹事となり代金を立て替えた奴に、1人頭の割り勘分を渡し、帰る事にした俺は、みんなと別れて(一部は違う所で遊ぶらしい……遅いし捕まるなよ?)歩きだした。
まさか今日の行動で、ここまで東方院が近づくとは思わなかった。
いや、東方院に気づかれるとは思わなかったほうが正しいか?
球技大会だって、本当は東方院と別れ、サッカーを選ぶつもりだった。
サッカーを選んだ人数が多く、抽選で負けたのが痛かった。
バスケだって手を抜くつもりだった。
いざ、始まると面白く、ついやり過ぎてしまった。
それほど監視対象の東方院が凄かった。
楽しくて、今日はつい調子に乗ってしまった。
……分家の武文が調子にのって、近寄り過ぎたのもよくわかるもんだ。
おそらく、東方院が、俺と同じ様に修行をしていたら負ける事はないけど、脅威に思っただろうな。
まあ、あの様子なら、俺の事を嫌ってくれそうだ。
……はあ、だから、アイツの相手は面倒臭いんだ。
嫌いじゃないのに、嫌われなくてはならない。
……本当、面倒臭い。
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