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10.

 教会に飾ってもらったガラスビーズアートはかなり評判が良かった。司祭様もそのアートを見たいがために礼拝に来る人が増えたと話していた。ただ、困ったことがあったとも話してくれた。

 私は積極的にバザーに参加した。刺繍の他にレース編みも売るようにした。私が刺繍したハンカチーフやレース編みは、若い女性たちにかなり人気で、男性も恋人や家族へのプレゼントとして買ってくれて、バザーの中でも一位二位を競う売上となっていった。

 お陰で教会への寄付も順調だった。




 私は、ガラスビーズを作ってくれた職人さんの工房を訪れていた。器用なんだけどぶっきらぼうで、髭を生やした厳つい風貌のご主人は、私を喜んで出迎えてくれた。

 先日、大量のビーズを作ってくれたお礼と、今後の専売の話をはじめる。

「お嬢ちゃん、何だってこんな米粒みてえなガラスが必要なんだい?」

「それは、これを作るためなんです」

 私が取り出してみせたのは、キーホルダーだった。カラフルなガラスビーズを金属の板に貼り付け、チエーンをとおしてある。アートを作った残りのビーズで作ったものだ。

 猫を型どり、一色を基調として目の色を際立たせるだけで、それっぽい感じになる。

「ほう、面白いな」

 と手に取ってくれた。

 そこに彼の奥さんがお茶を淹れて持ってきてくれた。

「あら、それ可愛いわねぇ」

 奥さんは目敏くキーホルダーに目を止めた。

「へえ、ガラスビーズで……。あら、コレあんたに似てるわ」

 キーホルダーの一つを指差す。

 それは琥珀色で瞳を黒にして作った猫のキーホルダーで、茶色い髪で黒い瞳のご主人に良く似ていた。

「そうかぁ?それを言うならこっちはお前みてぇじゃねぇか」

 と掴んだそれは、赤髪にグリーンの瞳の奥さんにそっくりで……。

 色のバリエーションを変えることでオリジナルのキーホルダーが出来上がる。

「こちらのキーホルダーをこのお店で売らせて欲しいのです。ガラスビーズは特殊な作りをしていますので、こちらの工房でしか作ることが出来ません。ビーズを私が全て買い取って、キーホルダーを作ります。お客様からオーダーしていただくことで、世界に一つしかないキーホルダーが出来るのです」

 私が考えていることを伝える。専売することでキーホルダーの付加価値をあげることができる。

 暫く考え込んだご主人は、それを承諾してくれた。



 ビーズの他に、もう一つ作って欲しいものがあったため、他の工房の職人さんにも集まってもらった。

 グラスなどを作る過程で、ガラスの表面に回転させた砥石で模様をつける、切子ガラスだ。前世ではかなり高い値段で売られていたのを覚えている。こちらは知識の提供であとは職人さんの腕次第なんだけど……。

 私が実際に作っていたわけではないから、かなり説明が難しかったけどそこはさすが職人。

「嬢ちゃんが言っているのはこういうことか?」

 と、試作してくれたものはまさに切子ガラスそのものだったのだから。


 売れるかどうか不安もあると思うので、出来たものは伯爵家で買い取ると約束して帰路につく。

 お父様に何て言おうかしら?勝手に職人さんと約束してしまったわ。



 結局、お父様に勝手にそんな約束してくるんじゃない、と叱られたが、切子グラスについては賛成してくれた。

 出来上がった切子グラスを家で実際に使う。

 客間に切子ガラスの花瓶に花を活けておく。

 また、他の貴族にお祝いごとがあると、ペアのグラスなどそれを贈り物とすることで、切子ガラスの宣伝をした。

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