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11.

評価ポイント、100ポイント突破しました。ありがとうございます(*^^*)

 宣伝の効果と見た目の華やかさもあって、切子グラスはたちまち貴族の間で流行し始めた。切子ガラスが売れるにつれ、伯爵領の収入も増えた。



 一方、キーホルダーは庶民の間で大流行しており、オーダーの数も着実に増えていった。こちらは私のお小遣いとして貯金している。断罪後に国外で生活をするための軍資金として。


 あれからすでに三年もの月日が過ぎ、切子ガラスとキーホルダーは街の特産品として根付いていた。




 ただ、教会に寄付したアートはその後は作ることがなかった。

 まあ、刺繍とレース編みとキーホルダーを作るので手一杯だったこともあるけど、来る社交デビューに向けてお妃教育も厳しくなっていったからだ。

 その間、クリストファー殿下とは会うこともなく手紙のやり取りをするでもなく、本当に私のことをどうでもいいと思っているのだろう。顔すら見たこともない婚約者など、殿下に呆れられて当然かも知れない。こうなってくると、素直に殿下とお会いしていなかったから、断罪の可能性が高くなっていたりして。





「ねぇエヴァ、バザーではどんなものを売っているの?」

 久しぶりに遊びに来たアルフレッドか興味津々といった表情で聞いてきた。

 こうやって時々は遊びに来るのだけど、親戚だからお父様に会いに来る名目でいる。

「刺繍を施したハンカチーフと、レース編みですわ。刺繍もレース編みも、お客様からリクエストをもらうことも多くて……。でも、やり甲斐はありますわ」

「へぇ、楽しそうだね。僕も付いていっていい?」

「特別変わったことをしてるわけではありませんので、見ても面白くないかもしれませんよ?」

「うん、それでもいいんだ。ね、いいでしょう?」

 猫が甘えるような雰囲気で首をコテンと傾げる。少し声変りし、大人の色香をちょこちょこ撒き散らしてくる。

 くっ……。このアルフレッドにダメと言える奴がいたらぶん殴る。

 紅茶を飲みほすことで動揺を隠し、首肯した。



 それから暫くして、今日もいつものようにバザーに向かう。ただ、アルフレッドがバザーの様子をみたいと言ったので、今日来ることになっている。別に緊張はしないんだけどなんだかむず痒い。

 のちほど公爵家の馬車で来てもらうことになっている。

 一応、私、クリストファー殿下の婚約者だしね。いくら幼なじみとはいえ、一緒の馬車に乗っているところを目撃されたら言い訳できないし。



 教会につくと早速バザーの準備を始めた。いつものようにハンカチーフと、レース編みを並べる。

「本当に上手になったね、エヴァ」

 百合の花が刺繍されたハンカチーフを手に取り、サファイアブルーの瞳が穏やかに細められる。

「お褒め頂きありがとうございます、アルフレッド様。」

 営業スマイルで対応する。

 『もう来たの?早いわね』という心の声はもちろんおくびにも出さずに。

「ねぇ、僕の家の家紋を刺繍してくれないかな?」

 不意にかけられた言葉と、アルフレッドの優しくも意志の強い眼差しが私の瞳を貫いた。

 見つめ合うこと数秒。その数秒を永遠のように感じてしまう。

 ヤバい。その瞳、ヤバすぎる。自分の顔が熱くなるのがわかる。

「え、ええ。分かりましたわ。でも、今はちょっと忙しいんですの。お時間いただいてもよろしくて?」

「いいよ、待ってる」

 刺繍をすることは特に問題ないのだが、家紋って……。

『男性には家紋などを刺繍すると喜ばれます』って言ったアンナの言葉が思い出される。特に深い意味はないのかもしれないけど……。アルフレッドだって特別なにかを思っていった訳じゃないよね。

 そう結論づけて、了承の返事をした。



 今日は司祭様にお話があると言われていた。

 気持ちを切り替えて司祭様を訪ねると、教会の壁に私が作ったアートが一枚飾られていた。私が教会に寄付したアートは二枚だったが、この教会には薔薇の方の一枚しか飾られていない。

「すみません、実はあの日、とある貴族の方に絵を譲って欲しいと言われましてね。教会に寄付されたもので、お譲りすることはできないと申し上げたのですが、譲ってくれないと今後一切寄付しないと言われまして……。折角頂いたものだったんですが……それにもっと早くにお伝えするべきでした……」

 しどろもどろで語尾が小さくなる司祭様。確かにこんなことは言いづらいわね。『困ったこともあった』と仰っていたのはこのことだったんだわ。

 そして、あの後もちゃんとイベントは続いていたのね。それにしても寄付をしないって、脅迫までして。教会だって寄付がなくなれば困るし、譲らざるを得なかったのだろう。これじゃ、どっちが悪役か分かんないわ。あーあ、こんなに落ち込んじゃって、司祭様も可哀想。それにしても断罪されるのは間違いなさそうね。

「そうだったんですね、それは仕方ありませんわ。お気になさらないでくださいませ」

 と、同情しておいた。

「司祭様、お嬢様もお気になさらないように仰っていますし、そんなに落ち込まないでくださいませ」

 アンナが優しく声をかける。

 司祭様だけでも絵になるのに、アンナと揃ったら本当に美男美女でお似合いだわ。

 このことは私の心の中だけに仕舞っておこう。

切り子ガラスについてはかなり付け焼き刃です。訂正とかあったらお願いしますm(_ _)m


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