間章 トリスタン卿――ポール・ウォーレス(27歳)の詩(うた)
ほんの短く輝いた瞬間、キャメロットという名の場所があったことを忘れてはならない。
アラン・ジェイ・ラーナー&フレデリック・ロウ『キャメロット』より
トリスタン & イゾルデ
作詞・作曲 ポール・ウォーレス
僕はトリスタン
君はイゾルデ
僕は王の騎士
君は王の妃
永遠に愛し合う二人
だけど、けして結ばれぬ二人
ある日、愛の伝道師が言った。お前はトリスタンなんだと
アーサー王を諭すマーリンのように、彼はそう言ったんだ
トリスタンはコーンウォール王マルクの甥
僕はコーンウォールのペンザンスで生まれ育った
トリスタンは円卓の騎士にして吟唱詩人
僕もロックなバンドマン
そこが似てるんだと彼は言う
だけど、そんなことはどうだっていい
僕がトリスタンなのは、禁断の恋に身を焦がしているからさ
君主マルク王の妃イゾルデを愛してしまったトリスタン
僕はプロデューサーの若妻と恋に落ちた
僕も君も伝説の恋人達と一緒なんだ
そう……僕がトリスタンなら、君はイゾルデなのさ
僕はトリスタン
君はイゾルデ
僕は王に仕える騎士
君は王の妃
永遠に愛し合う二人
だけど、けして結ばれぬ二人
ある日、愛の伝道師が言った。お前はトリスタンなんだと
恋に苦しむ騎士の生まれ変わりだと、彼はそう言ったんだ
クノモルスの息子ドルスタン、ここに眠れる
そう刻んだ墓石がカールス・ドアにあるという
ウェールズの伝説ではタルフの息子ドリスタン
ピクト人の王タロルク三世の息子ドルスト五世
トリスタンは実在の人物だと彼は言う
だけど、本当にいたかどうかなんてどうだっていい
禁断の恋に身を焦がしているから、僕はトリスタンなのさ
船上で媚薬を誤って飲んで、愛で結ばれるトリスタンとイゾルデ
僕らは〝運命〟という名の媚薬によって恋に落ちた
僕らの恋も中世のロマンスと一緒なんだ
そう……僕がトリスタンなら、君はイゾルデなのさ
僕はトリスタン
君はイゾルデ
君はアイルランドの姫
僕は君を迎えに来たマルク王の使者
永遠に愛し合う二人
だけど、けして結ばれぬ二人
ある日、愛の伝道師が言った。お前はトリスタンなんだと
前世と同じ苦しみを抱いているんだと、彼はそう言ったんだ
決闘で殺してしまった彼女の叔父モルホルト
その毒剣で傷ついたトリスタンをイゾルデは癒してくれた
彼女に恋する好敵手のパロミデス卿
秘密を王にばらそうとする狡賢い奸臣達
様々な障害が二人を苦しめたと彼は言う
だけど、そんなのは問題じゃない
本当の問題は、僕らがトリスタンとイゾルデだってことさ
王の目を盗み、イゾルデと密会を重ねたトリスタン
僕らも旦那にばれぬよう、秘密のデートに明け暮れた
イゾルデはマルク王のもとへと戻り、トリスタンは国外追放
僕らも秘密がばれて、愛も仕事もすべて失った
僕らの結末もやっぱり彼らと一緒なんだ
そう……僕はトリスタンであることを、あの日思い出したのさ
ある伝説じゃ、竪琴を弾いているところをマルク王に殺されたという
またある伝説じゃ、金髪のイゾルデと別れ、白い手のイゾルデと結婚したのだという
僕も君の王様に殺されるんだろうか?
それとも、君とよく似た誰かと暮らして行くんだろうか?
もし僕が死の床についたら、黒じゃなく白い帆を張った船に乗って逢いに来てほしい
例え命を失ったとしても、僕らは葡萄の木になって寄り添い合えるから
僕はトリスタン
君はイゾルデ
僕はトリストラム
君はイズー
僕はトリストラン
君はイズールト
マリも、ゴットフリートも、世界中のみんなが二人の悲恋を詩にした
僕はトリスタン
君はイゾルデ
僕はスイカズラ
君はハシバミ
永遠に愛し合う二人
だけど、けして結ばれぬ二人
To Be Continued…
A suivre




