表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢と星空  作者: Social Club
Season 3:破堕天邪編
24/27

第二十三話:風影の狩猟神

スイの氷の道を突き進む『アーク』だったが、突如として周囲の景色が歪み始めた。

空と海が入れ替わり、右へ進んでいるはずの船がいつの間にか元いた場所に戻っている。


「……っ、空間がねじ曲がってる!? アルテミス、座標を確認しろ!」

ゼルの叫びに、アルテミスは青ざめた顔でモニターを見つめる。

「ダメです、ゼル様! 物理的な位置情報が……いえ、『過去』と『未来』のデータまで混濁しています! 私たちは今、時間の袋小路に閉じ込められています!」


そこへ、闇の中から嘲笑うような声が響いた。

邪神の幹部、「因果の支配者・クロノス」。


「理外の王よ。お前たちの『絆』という因果を、ここで断ち切ってやろう。誰が誰を助けたのか、誰が誰を愛したのか……そのすべての『起点』を書き換えれば、お前たちは最初から存在しなかったことになる」


クロノスが指を鳴らすと、船上のメンバーたちの身体が透け始めた。

ジンの脳裏に、かつて組織『カラー』で誰とも分かち合えず、孤独に生きていた頃の記憶が強制的に流れ込む。

(……そうだ、俺は一人だった。ゼルに出会うことも、スイたちと笑い合う未来も……全部、幻だったのか……?)


「……ジン! しっかりしろ、それは敵のまやかしだ!」

リアが叫び、剣を振るうが、クロノスは「攻撃が当たったという事実」を因果から消去し、無傷でそこに立ち続ける。


「……ガ……あぁぁぁっ!!」

ジンは頭を抱え、蹲る。だが、その時、彼の耳に微かな音が届いた。

それは、かつてゼルが自分に手を差し伸べた時の、荒々しくも温かい重力の唸り。


「……ふざけんな。俺たちの積み重ねてきた時間を……勝手に無かったことにすんじゃねえッ!!」


ジンのDNAに眠る、伝令神ヘルメスの「神速」と「境界を越える力」が、怒りと共に爆発した。


彼の身体を透明な旋風が包み込み、瞳の中に無限の未来の分岐点が見えるようになる。

もはや、クロノスの因果操作は彼を捉えることができない。


「……見えたぞ。お前が逃げ込んでいる『正しい現在』は、そこだ」


神格化:風影の狩猟神ウィンド・ハンター


ジンの背後に、光り輝く巨大な影の弓が顕現する。

彼は実体のない、純粋な「意志」の矢を番えた。


「『因果消失・零式コーズ・エンド』!!」


放たれた矢は、過去・現在・未来のすべての時間軸を同時に貫いた。クロノスが「逃げ道」として用意していた数千の未来は一瞬で崩壊し、彼の本体は現実に引きずり戻される。


「バカな……因果を、力でねじ伏せただと……!?」


「俺は狩人だ。……お前がどこまで過去に遡ろうが、俺の矢からは逃げられねえよ」


ジンの放った最後の一射がクロノスの核を貫き、迷宮はガラスのように砕け散った。


空間が正常に戻り、アークは再び進軍を再開する。

しかし、神格化を解いたジンの腕には、黒い痣のような「邪神の呪い」が刻まれていた。

スイに続き、ジンまでもが身を削って力を解放したことに、ゼルは拳を強く握りしめる。


「……悪いな、ジン。助かった」


「……よせよ。俺は、お前の『目』だって言っただろ。……次はリア、お前の番だぜ」


ジンが肩で息をしながら笑う。

その先、深淵の最奥では、ついに「秩序」そのものを裁断する最凶の邪神が、リアを待ち受けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ