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4_4.

 今日はメイドたちや料理人に手伝ってもらって料理をする。

 いくら料理が好きだからと言っても貴族の令嬢として育てられてきたのだから大したものは作れない。

 でも少しでも旦那様に喜んでもらいたくて、旦那様の好物を作ることになった。

 旦那様は細マッチョな姿からは想像できないくらい揚げ物が好きだ。

 体を動かすことが多い職業だからこそなのかもしれないが、とにかくそんな旦那様を喜ばせるには揚げ物がぴったりというわけだ。

 

 しかしここで問題が1つ。

 私は揚げ物を作ったことがない。

 私が料理にはまったきっかけが水害の時の炊き出しなのだから、油を大量に使うような揚げ物に挑戦する機会がなかったのだ。


 まあでもそれについては大した問題ではないだろう。

 別に爆発物ではないのだ、普通に料理していて危ないというものではない。

 そんなにあぶなかったら、今頃この家の料理人さんたちは怪我でボロボロになっているはずなのだから。

 何より優秀なメイドさんたちや料理人さんたちが付きっきりで教えてくれる状況で失敗をする方が難しいと思う。

 私の失敗には寛容でも自分の失敗は許せないという使用人さんたちを前にしたら、私も自然と失敗できないという気持ちになるし。

 私を怪我させたなどという理由で辞表を出されてしまっては非常に困る。


 初めて挑戦する揚げ物は鶏肉をあげたものだ。

 揚げ物好きの旦那様が特に好むものの一つであり、ひき肉やすりつぶしたじゃがいもを丸い形に整形したもののように形が途中で崩れてしまう心配がない。

 何より私が食べたかったのだ。

 これが一番の理由ということは多分みんなに見透かされている。


 半刻後、思ったより時間はかかってしまったが無事に完成した。

 下処理や火の強さなどの管理を料理人さんたちが行ってくれたおかげだろうか、その濃い色の衣はきれいに揚がっており、今にも肉汁が滴りそうなほど。

 肉汁が垂れてしまった瞬間私のよだれも同時に垂れそうで怖い。


 旦那様が帰ってきた音に気づき玄関へ向かう。

 今日の料理は 私が手伝ったのだとアピールしながら食卓へ向かった。

 席に着いた旦那様は、運ばれてきた料理に目を輝かせた。

 いや、実際には態度には出ていなかったのだが、なんとなく犬のように耳が生えてしっぽを振っている幻覚が見えた気がした。

 できたてでまだ熱い料理を旦那様が口に運ぶ。

 

 火傷しそうな温度だというのに、騎士として鍛えてきた旦那様には少しの問題もないようだ。

 美味しいという言葉に私が目を細めて笑うと、旦那様は急にカトラリーを置いてしまった。

 驚いて旦那様の方向を向くと、満面の笑顔で私を見つめてきた。

 この顔、どうやらあーんしてほしいということらしい。

 つい呆れたように笑ってしまう。

 それでも旦那様は私から目を離さないから、しょうがなくあーんしてあげた。

 それだけで嬉しそうに微笑む旦那様は、やっぱり甘えん坊でとても素敵な人だ。

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