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3_13.

 旦那様は招待状を書く手を止めて、私が刺繍をしている様子を眺め始めた。

 招待状はそこまで急ぎではないし、何より目を離していたらまた私が怪我をしてしまうかもしれないということらしい。


 私だって、別に何回も失敗したりはしないのに。

 旦那様が喜んでくれるかな って考えていたら、ちょっと手元がぶれてしまっただけなのに。

 そもそもあんなのは怪我のうちにも入らないと思う。


 じっと見つめられるととても緊張するけどいつも仕事漬けの旦那様には休んで欲しいから強くは文句を言えない。

 そんなに見つめられたらまた指をさしてしまいそうなのに。

 

 隣からの強い視線を無理やり消して刺繍に集中する。

 刺繍は下手ではないと思うけれど、でももっと 上手い人はたくさんいる。

 だから、普通の貴族令嬢なら絶対やろうとしないような馬の図案にしてみることにした。

 絵が上手いメイドさんに図案の作成を手伝ってもらったから、私が途中で失敗しない限りはいい感じに仕上がるはずだ。

 普通の令嬢なら間近で馬を見ることはないけれど、私は馬を始め動物が大好きだ。

 私だからこそ送れるプレゼント。

 旦那様もきっと喜んでくれる。


 それと、今度旦那様に気づかれないようにお守りを作ってみようと思う。

 この国はしばらくの間戦争も起きてないし貴族間の諍いも少なかったから平和な方ではあると思うが、それでも騎士という職業についていれば危険なこともあるだろう。

 今の私では守護魔法や反撃魔法は使えないからただの気休めにしかならないが、ないよりはいいと思う。


 実際にはそんなのはただの口実で、旦那様の喜ぶ顔が見たい、ただそれだけなのだが。


 ほどほどに楽しくて幸せならそれで十分だと思っていた。

 なのに、旦那様に出会ってからはそれじゃあ足りないと思ってしまう。

 楽しいことはお互いに共感して、辛いことは分け合いたい。

 一緒に笑っていたいし、もっともっと愛してほしい。

 私はいつからこんなに強欲になってしまったのだろうか。

 でも旦那様はこんな私を好きというからどうすることもできないのだ。

 このままの私を好きになるしかないのだ。

 それはきっととても難しいことで。


 それはきっと、とても素敵なこと。

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