3_12.
結婚式の日取りが決まった。
招待客の都合や季節的な問題もあるからまだ結構先だけれど、いつ行うかが決まっただけでもより夫婦らしくなれたようで嬉しい。
旦那様と並んで座りながら招待状を書く。
私は親戚筋のものや交流のあった令嬢方だけだから大した枚数ではないが、旦那様は王族に他の公爵家の方、もちろん親戚に、果てはかつて知り合った他国の王族にと書いているため異常な枚数と化している。
その上、この家は派閥に属していないからいろいろな派閥の貴族との交流があり、彼らの間で問題が起きないよう呼ぶ相手を注意深く精査しなければならない。
いくらめでたい席であろうとも問題を起こすものがいないとは限らない。
それだけ派閥争いが過激化しているのだ。
お父様の伯爵家も派閥には属していないが、この前潰れた侯爵家は派閥に属していたから、そこら辺の事情も関わってくるのだろう。
派閥争いは王様にとっても旦那様にとっても悩みの種である。
休暇中の旦那様からしてみたら考えたくもないような話だろうが、考えないと後で収集のつかない事態になってしまう。
私は早々に招待状を書き終えてしまったが旦那様が隣にいて欲しいと言うため、レナに道具を取ってきてもらいハンカチに刺繍をすることにした。
旦那様へのプレゼントようだ。
私からは旦那様に大したプレゼントはできない。
旦那様は何でも手に入れることができるから。
だったら、たとえ高いものではなくても真心を込めて刺繍したものの方が喜んでくれると思ったのだ。
もちろんこのことは旦那様には伝えていないため、隣で刺繍をしていても問題はない。
まだ始めたばかりで図案もほとんど分からないような状態だけど、ちょっとしたスリルを味わいながら刺繍を続けていた。
「痛っ」
「ラナ!?血が出ている!」
私が大したことはないというよりも早く、旦那様がハンカチを出して私の指を抑えてくれた。
大したことないのに、私のためにそんな必死な顔になってくれて嬉しい。
ん?
このハンカチどこか見覚えがある?
「あっ!これ、昔私がさしあげたものです!あの時のお兄さんは旦那様だったのですね!!」
「えっ!そ、それは魔法で失敗した俺がずぶ濡れになっていた時か!?」
「理由は知りませんでしたが、多分その時です。確か7、8年前のことですよね。だとしたら年齢も合うし。パーティーでみんなとうまく話すことができなくて一人で抜け出したら、そこでびしょ濡れになっていた私より何歳か年上の男の人を見つけてハンカチを差し出したのです。服を見る限り私よりもよっぽど高貴な身分の方だと思っていましたが、旦那様だったのですね」
「このハンカチがラナがくれたものだと分かっていたら飾っておいたのに...」
「もう、旦那様ったら。ハンカチくらいいくらでもさしあげますから、飾らないでください。大切に使ってくれたのは分かりますが、もう色あせてしまっています」
「分かった。ハンカチ、楽しみにしている」
そう言って笑った旦那様の顔に、私はまたときめいてしまった。
こんな作品をここまで読んでくださった皆様、そろそろ作者の涙腺が危な、じゃなくて、感謝の気持でいっぱいです。
さて、そんな皆様に一つお願いが。
感想を書いていただきたいのです。
ログインしなくても書けるようになっているので誰でも気軽にできます。
感想だけでなく要望や誤字報告を感想欄で行っていただいても問題ありません。
お前なんかに使う時間なんてねーよと思いの方はもちろんそれで構いません。
ただ作者が感想の数が0と書かれているのが寂しいだけです。
皆様の感想、お待ちしております。




