3₋7.
旦那様が甘い。
甘すぎる。
私ってこんなにちょろかったっけ?ってくらい旦那様がかっこよく見える。
旦那様が優しすぎるせいで私のキャラが崩壊してくからやめてほしい。
でもやっぱ私はそんな旦那様を好きになってしまったみたいで、だからやめてほしくない。
私はお調子者のほどほどに適当なキャラだったはずなのに…。
そう思って睨もうとしたけれど、旦那様の顔を見た瞬間怒りは霧散してしまった。
あとに残るのは恋情のみである。
だから見ないようにしていたのにっ!
旦那様が微笑んだせいで私も笑ってしまった。
ヒロインからチョロインへの降格である。
まあそれでもいいかと思ってしまうのだから、なんとも大概だった。
翌日。
早速商人が屋敷に来た。
この商人は動物に対する扱いが丁寧なことから評判が良く、この商人から買った動物は必ず利口だと言われているらしい。
確かに動物たちは商人に懐いているようだし、ご飯をちゃんとあげて、運動もさせているのだろう。
何より商人の目から動物たちを大切に思っているのが伝わってくる。
昨日の今日でこんな凄い人を呼べる旦那様の懐と人脈、恐るべしだ。
たくさんの可愛い動物が連れてこられていたが、今日は猫だけを見せてもらう。
他の動物を見せてもらったら、私に甘い旦那様によってこの屋敷の人口より動物の数のほうが多くなりそうだ。
今日からの1週間でドレスと宝飾品と植物と…の商人が来るようにいつの間にか旦那様が頼んでいた。
この程度で公爵家の財政は揺るがないだろうけれど、これ以上増えたら私の精神が持たない。
悩んだ末に一匹の猫を選んだ。
とても理知的な瞳をしたたたずまいがどこか旦那様に似ているような気がしたのだ。
商人が帰ってから可愛すぎる猫さんをもふもふしていると旦那様がやってきた。
「ラナ、猫を可愛がるのはいいが、俺にも構ってくれないか?せっかくラナが俺を意識してくれるようになったのに、これではまたもとに逆戻りだ」
「旦那様、なら一緒に猫さんをもふもふしましょう!」
「…そうだな」
明日は旦那様が馬に乗せて遠乗りに連れて行ってくれるらしい。
すごく楽しみだ。
明後日はドレスの採寸で、それから、その次の日は宝飾品を商人が持ってきてくれる。
そのときに指輪も選ぶつもりなのだ。
毎日がとても忙しいけれど、今までになかったような充実感がある。
緊迫した空気がなくなり今度は暖かい空気に包まれている。
今、私はすごく幸せだ。




