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2₋21.

レナの方を向くと、心得たように頷き、走り始めた。

ついていくと、奥の方の部屋へ行く。

今は使われていない、倉庫と化している部屋だ。


 レナが止まった。

 この部屋の奥に入口がある隠し通路の先に、ラナがいるのだろう。


 深呼吸をしてゆっくり歩いていく。

 いつの間にか喧騒は聞こえなくなっていた。

 襲撃者たちはすべて捕らえられたのだろうか。


 隠し通路の入口となっている床板を外す。

 ここには、中からは簡単でも外からはきちんとした手順を踏まないと開けられないよう巧妙な仕掛けが施されている。

 ラナを驚かせないように慎重に開けて、ゆっくりと梯子を下った。


 「ラナ!大丈夫か!?怪我は!?」


 優しく声をかけようと思っていたのに、小さく震える姿を見た瞬間大きな声を上げてしまった。

 肩を大きく震わせてふらついたラナを後ろから抱きとめる。


 「ラナ、大丈夫か!?」

 「あ...大丈夫、です」

 「そうか、よかった…」


 本当に、本当に良かった。

 泣き出してしまったラナの正面に移動し、背中をさする。


 相当怖い思いをしたのだろう。

 もっと早く来られれば…そんな考えたって仕方がないことばかりが頭に浮かぶ。

 背中をさすり続けていると、次第にラナの嗚咽は小さくなり、やがてほとんど聞こえなくなった。


 「ラナ、落ち着いたか?とりあえずここを出よう」


 さっきからラナが目を合わせてくれない。

 もっとこっちを見ていてほしいと伝えたいが、そんなことできるはずもなく、ラナのあとに続いて隠し通路から出た。


 ラナは外へ出てすぐに控えていたレナと話し始めた。

 目や鼻の周りは赤く染まっているが、ちゃんと笑っている。

 でもどこか寂しいというのをこらえているように見えて、その顔に俺まで切なくなった。


 レナと話していたラナだが、俺が見ていることに気づいたようだ。


 「公爵様、奥様のところに行かなくてよろしいのですか?お子さんだって、行ってあげないと可哀想です」


 …、やっぱり勘違いしたままだ。


 「…子供はいない、そもそも子供ができるようなことはしていない」

 「...?…でも、だとしても奥さまのもとへ行ってください」

 「いや、妻はここにいるのだが」

 「えっ、ここ?はっ、まさかレナ!?あなたが!?」


 …うん、この感じだと説明するだけで日付が変わりそうだ。

 ラナもいつも通りの調子が出てきたようだが、疲れは取れていないだろう。

 ゆっくり休むように伝える。


 説明はまた後ででいい。

 何故か”推し”とやらにされたようだが、嫌われてないからいいだろう。

 少しずつ、好きになってもらえればいい。


 二人は両片思いに気付けなかった。

 そんななかすべてを悟ったレナだけが、笑いをこらえていた。

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