↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/75

1_18.

公爵様の手紙が最後に来た日から、10日がたった。


相変わらず私の部屋で、伯爵家(お父様)から届いた手紙を開く。


王家の派遣した専門家は、魔法陣を設置した人間が侯爵家と繋がりがあることを突き止めた。

侯爵家は魔力持ちの平民たちを囲い込んで魔法陣を動かし続けるための魔力を供給させていたようだ。


魔力持ちの平民は少ないが、いないわけではない。

強大な権力を持つ侯爵家に家族を人質に取られれば、彼らは限界まで魔力を差し出すしかなかったのだろう。


彼らも被害者なのだ。

罪に問われず、今後はまっとうな生き方ができればいいのだが...。


そう考えながら手紙を読み進めると、侯爵家は取り潰され、その財産は3分割された後、王家、公爵家、伯爵家へと回されるそうだ。

今回の件の他にも不正や横領など多くの犯罪を犯していたらしく、それによって蓄えられた金は莫大で、3分割された後も伯爵家の全財産(水害前の)を優にこえる。

公爵様からの支援金は返そうとしたそうだが、公爵様に断られてしまったため、領民たちの役に立つ形で少しずつ使っていく予定とのことだ。


ちゃっかりお金を手に入れている王家とは大違い。


善良伯と呼ばれるお父様のことだ、上手に使ってくれるだろう。


ちなみに侯爵様...クソ野郎でいいか。

クソ野郎とその家族は良くて国外追放らしい。

今の王様は温厚なので、死刑にはならないだろうが。


ちなみにちなみに、クソ野郎の家の事情を知らされていなかった使用人さんたちや魔力持ちの平民さんたちは、希望者に対し伯爵家が仕事を用意するそうだ。

もちろんお家付き、ご家族も一緒にどうぞ、な超絶ホワイト企業、じゃなくてホワイト伯爵家である。


お父様はやるときはちゃんとやるのだ。

多分私やお母様にいいところを見せたいという下心もちょこぉっと混じっている気がするが、やっていることは善行なので良しとする。


また、同時に届いていた公爵様の手紙を読むと、今から帰ると書かれていた。


おそらく明日中には帰ってくるだろう。

公爵様率いる騎士達は精鋭揃いだから、もうそろそろ帰ってきてもおかしくない頃だ。

いや、さすがにそれは冗談だが。


まあ普通に帰れば明日の昼には着く。


公爵様を迎えるため掃除を始めようとしたところで、来客を知らせる鈴の音がした。


「どちら様でしょうか...。本日は来客の予定などないはずですが...」

そう執事が呟いた。


お客様の目に留まる場所で掃除はできない。

廊下や応接間は後にして、執務室や食堂から掃除をしようと動き始めた時、玄関の方向で怒号が響いた。

ついで、鈴の音。


間違いない、この鳴らし方は使用人同士で危険を知らせる時のものだ。


「ラナ様、こちらへ」


レナに手を引かれて連れてこられた、初めて入る部屋。

レナは素早く端の床板を外して言った。

「ラナ様、しばらくこちらへ隠れていてください。私がここを開けるまで絶対出ないでください。見知った声でも、です。今は非常時。何が起こるか分かりませんから」


自分の戦闘力が皆無なことは分かっている。

大人しくレナの言う通りにしながら問いかけた。


「レナはどこへ行くの?」

「私は戦いに。大丈夫、こう見えて公爵様に一撃入れられるくらいの実力はあります」

「...それは、すごいわね...。レナ、任せたわ」

「はい、少しの間お待ちくださいね」

そう言って板は閉じられた。


真っ暗闇の中、私は震えながら自分の非力を呪ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。