55 葛埼と花蓮と乙女のピンチ
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「ん……、ここは……廃墟ビル……?」
私、小梅崎 花蓮は、何故か廃墟になったビルの一室で目を覚ましていた。
「何で私はここに……? それに何で縛られて……!?」
しかも、私は今両腕を後ろに回された形で縄で縛られている。
その縄は柱に括りつけられており、この場から動けない状態だった。
その上で、私は三角座りのような形で座らされている。
スカートが短いので下着が見られてしまうかもしれない。
彼方くん以外には、見られたくはないんだけどなぁ。
「確か、私は今日、彼方くんとのデートに向けての準備の為に服を買おうとして……」
そう。
私は明後日の彼方くんとのデートの為に、洋服を買おうと思って服屋さんに向かう途中だった。
徒歩20分程に目的の服屋があるので、色々考えながらそこに向かっていた最中に、突然背後から誰かにハンカチで口を塞がれたのだ。
その後、急に意識が朦朧とし、そのまま意識を失っていたのだろう。
で、目覚めた先がこの廃墟ビルだったという事だ。
「何で、こんな事に……」
突然誰かに襲われた上、こんな廃墟ビルに連れ去られたなんて、ついてない……。
せっかく明後日には彼方くんとのデートなのに……。
そう落ち込んでいた私だったが。
「く、ぅ……」
(うそ……、よりによってこんな時に……)
突如、自分の異変を感じ取る。
その瞬間、急にあるものが込みあがってきた。
それは人であるなら、誰しもが感じる感覚だった。
(トイレ……行きたい……)
そう。
トイレ……小の方なのだが、したくなってきたのだ。
しかも、その尿意はすぐに高まっている。
もしや意識を失っている時に催していたのだろうか?
だが、それよりももっと重要な事がある。
(マズイ……、身動き出来ないから、このままじゃ……)
私は今、身動きが出来ない状態。
そんな中で尿意を感じたがために、何としても我慢しないといけないが、このままでは漏らしてしまいそうだった。
「ふふふ、素敵な姿じゃあないか、花蓮ちゃん」
「あ、あんたは……!」
その時、不快な声と共に、私の前にあの男が……葛埼 悪男が姿を見せた。
この男、忌むべき父方の祖父が無理やりねじ込んだお見合い相手。
さらに、当時の敵対的TOBの時に悪山の側近的なポジションだった。
その時の悪山と共に私を見る目が余りにも不快だったのは忘れない。
「まさか、あんたが私にこんな事を……!?」
「そうさ。 花蓮ちゃんは僕のモノ。 僕のおもちゃ。 誰にも渡したくないのさ。 その為、君には恥ずかしい思いをこれから味わってもらうんだから」
「ま、まさか……!?」
「ふふふ、そのまさかさ」
(ううっ、不味い……! このままじゃこの男の前で漏らしちゃう……! だめ、そんなのは……!)
「ふふふ……」
(ああっ、や、やだ……、そこを押されたら……
!)
尿意が限界に近づき焦りだした私に、屑埼は私のスカートの中に手を入れ、下腹部を押そうとした。
そんな時だった。
「そこまでだ!」
「な、何ぃ!!」
突然、刑事さんが現れた瞬く間に屑埼を取り押さえた。
「花蓮っ!」
「か、彼方くん……!」
彼方くんが刑事さんの後ろから私の方に駆け寄ってきた。
私は助かったんだ。
だけど、そこで気を緩んではいけなかった。
「あっ、漏れ……!」
「えっ!?」
呟いた瞬間、私の下着に温もりが一気に伝わり、そのまま私の周りに水溜まりを作ってしまった。
「う、ううっ……」
失禁してしまい、恥ずかしくて泣きそうになった。
でも、そんな私を彼方くんは力強く抱きしめてくれた。
それだけでも、私は嬉しかった。
嫌われなくて良かったと。
彼方くんの優しさに私は彼の胸を借りて泣きじゃくった。
この時の彼方くん、自分が気付くのが早ければと自責の念に駆られているようにも感じたので、落ち着いたら彼方くんのせいじゃないって言ってあげようかな。
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