30 理事長、遭遇する
いつも閲覧ありがとうございます。
ゴールデンウィークが過ぎ、そろそろ中間テストに差し掛かる時期。
それでも俺は、今日も下校後、あいの山保育園にて陽愛達を迎えに行く。
そして、いつも通りに陽愛達と遊んで癒されてから勉強するという生活サイクルだ。
なお、花蓮は用事があるらしく真っ直ぐ家に帰宅するらしい。
まぁ、彼女は財閥の令嬢だし、色々あるんだろうな。
「こんばんは。 陽愛達を迎えに来ました」
「あ、彼方くんいらっしゃい。陽愛ちゃん達を呼んでくるわね」
いつもの保育士の女性に挨拶をして、陽愛達を迎えに来た事を伝える。
そして、陽愛達を待っていると意外な人物がこっちに来た。
「あれ?」
「おや? 君は桂川 彼方くんではないか」
「理事長?」
入学式で見て以来、多数の生徒に強烈(?)な印象を与えた合法ロリの理事長、相野 彩音さんと遭遇した。
しかし、本当に見た目は小学生に見間違える容姿だ。
というか、小中高一貫校故に大多数の生徒がいるのに、よく俺の事を覚えてるよな。
書類や名簿から名前は知っているだろうけど、そこまでだろうし……。
「理事長、どうしてここに?」
「学業で忙しくてなかなか連絡してやれんかったからな。 親友の由佳里が再婚した事で、その子供の預け場所が姉上が運営しているこの保育園に移ったと知って、ここに来たのだよ。 その再婚相手が私達が営む学園周りでお世話になった天才弁護士の桂川 勝次さんと知った時は驚いたがな」
理事長、由佳里母さんの親友だったのか。
さらに学園周りで父さんの世話になってたのか。
花蓮の家系との繋がりもあるし、父さんはある意味パイプが多すぎるだろ……。
「その息子である君が併願で合格した我が校に入学する事を選んだ事にも驚いたがね。 君の頭脳なら栃西に合格するのは容易いはずだがと思ってたのさ」
そこまで知っているのか。
いや、俺が父さんの息子だから特別視しているんだろうと思うが……。
「公立校入試前に、失恋を経験しまして。 時期が時期なだけにショックが大きくて入試に集中できなくて公立校には不合格になりましたからね」
「なんと、それでか……」
「父さんからの再婚報告はその後でしたね。 その時に連れてきた三つ子に癒されて、立ち直りました」
「なるほど」
理事長が俺の話に、うんうんと頷きながら聞いていた。
見た目のせいで損してるよなぁ、この人は。
「にーさまー♪︎」
「にーにー♪︎」
「おにーちゃーん♪︎」
4歳になった陽愛達が、俺に向かって走ってくる。
舌足らずがなくなってしっかり発音をするようになったので、少し名残惜しい部分ではあるが。
「あ、あやあやだー」
「りじちょーさん、ひさしぶりでしゅ」
「おお、久しぶりだな。 2年ぶりかな」
陽愛達も理事長の事は覚えているみたいで、俺の周りでわちゃわちゃしながら、理事長に向けて手を振った。
「今後、プライベートで君と接触する事もある。 由佳里と会う時とかは特にな。 その時は宜しく頼むぞ、彼方くん」
「あっ、はい」
「あやあや、またねー」
「ああ、またなー」
三つ子に手を振りながら、理事長は帰っていった。
人付き合いが段々と変な感じになってきたなぁ。
母さん関連でプライベートで会う可能性もあるから、胃が重くなりそうだ。
そんな事を考えてながら、陽愛達と一緒に帰宅したのであった。
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