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俺は、三つ子幼女のお兄ちゃんになりました  作者: イズミント
第1部

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23/232

23 幕間~悪山家の終焉と亜里沙への救い~

今回は幕間の話かつ、シリアス注意です。

「……え? 差し押さえ?」


「ああ、残念じゃが……(わし)は奴を……、桂川 勝次という弁護士を甘く見ておった」


 悪山コンツェルンの本部兼悪山家の応接室で、悪山(わるやま) 条治(じょうじ)は祖父である悪山(わるやま) 悪斗(あくと)から差し押さえの事を告げられて固まっていた。

 条治は羽田 亜里沙と別荘で同棲する予定で、通信制学校の手配も行ったばかりだ。

 それが急に差し押さえと言う通達があった事に、条治は信じられない様子だった。


「な、何でだよ! こうならないようにペーパーカンパニーを作って俺達と切り離して勝手に運営させようとしていたんじゃないのか!?」


「それを構築する前に奴に突かれた格好だ。 奴は世界中から多くのパイプを持っておる。 それを活用して諸悪の根源が我々であると突き止められ、労働審判を起こされたのだ」


「そ、そんなの脅しだろ!? 無視すりゃいいじゃないか!」


「儂もそう思った。 だが、儂等がそれに出なかったが故に、多数の証言があった被害者側の言い分が認められ、慰謝料の支払いを命じる判決が出された」


「それも踏み倒せばいいだろ!!」


「奴はそれを織り込み済みでな。 約半年以上かけて強制執行の手続きも済ませておったようじゃ。 我が財産の差し押さえはこの後行われる」


「そ、そんな……」


「差し押さえられる慰謝料は膨大でな。 故にお前が住んでいる別荘も売り払わねばならなくなった。 そして少女についてはそのまま放逐せねばならん」


「う、うそだ……」


 次から次へと語られる内容に、最早条治はどうする事も出来ない。

 いわば慰謝料の支払いが膨大であるため、別荘も売り払わねばならず、亜里沙もそのまま放逐される。

 つまり、亜里沙は再び居場所を失う事になり、条治とも別れなければならなくなったのだ。


「儂らは奴を……、桂川 勝次を敵に回した事で全てが終わってしまったのじゃ。 悪山コンツェルンも……もうお終いじゃ」


「あ、あああ……」


「お互い、身の振り方を考えないといけなくなった。 もうお前とも会う事が出来なくなってもうたな。 達者でな、条治」


「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 糸が切れたように、条治は叫んだ。

 だが、叫んだ所でこの事実は覆らない。

 その後、悪山家に給与未払いやパワハラ、セクハラなどの各慰謝料を多数の口座に送るように命じられ、それを実行せざるおえなくなったのだ。

 当然、ペーパーカンパニーも維持できず、そのまま畳むことになったのだとか。

 こうして、悪山コンツェルンは半年後には消えてなくなったのだ。


◇◇◇◇


「また……追放……。 どうして、私が……」


 条治の別荘が突然、売られる羽目になったために、別荘から追い出され、条治とも別れる事になった亜里沙は、失意のまま公園のベンチにもたれるように座っていた。

 彼女は、彼方と別れて条治と付き合う事になってから実の両親から絶縁と追放を言い渡され、それが精神的虐待とみなされて警察沙汰になった事で、実の両親がどうなったかも知らない。

 どう転んでも今の彼女には居場所はなくなった。


(私が、千冬の言葉に乗らなければ……。 ちゃんと彼方を見ていれば……私の自業自得だ……)


 不意に彼女の瞳に涙が溢れる。

 それは後悔の涙だった。

 見た目至上主義の千冬の言葉に踊らされなければ、こうはならなかったのだと。

 もっと両親の話を耳に傾ければこうはならなかったと。

 だが、彼女自身は自覚していた。

 後悔してももう遅いと……。


(悪山くんと関わった女だから、悪山家の悪行による噂は私にも降りかかる。 千冬も。 奇異な目で見られるくらいなら……いっそ……)


 彼女は何か意を決したのか、立ち上がろうとしたとき……。


「あっ」


 バランスが崩れて転倒した。


「うう……」


 地面に倒れた亜里沙は、自分の惨めさに再び涙が流れる。


「大丈夫?」


「え……?」


 そんな時に男女の二人組が亜里沙に手を差し伸べた。

 穏やかな笑顔を浮かべた女性はスーツ姿だが、どこか神秘さを漂わせていた。


「あなたが、羽田 亜里沙さんね?」


「ど、どうして私の名を……!?」


 差し伸べられた手を取って立ち上がろうとした亜里沙は、女性が自分の名前を知っている事に驚きを隠せない。


「ある人の頼みよ。 息子さんがあなたに振られたと言ってたけど、その後の流れでこれは流石にって思ったみたいでね。 私達も聞いてあんまりだと思ったのよ。 悪山家と付き合っただけで即絶縁だなんてね」


「う……」


 事実であるため、何も言えないでいる。

 そんな亜里沙に対し、女性は一つの救いを与えるべく、こう提案した。


「あなた、私達の『家族』にならない?」


「え、家族……?」


 これが、彼女に対する『救い』であった。


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