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4-24 コンテナハウスは微妙?

テント代わりにコンテナハウス。

こういう贅沢ができるといいなと考えながら書いてました。

 まあ、一通り説明した後の反応は鈍かった。

 そりゃそうだよな。

いろいろついてますって言われても何が何やらだ。

みんなが、困惑している様子が見て取れる。

 結構暖かいので、上着を脱いで床に座ってしゃべってたがちょっと汗ばむくらいだ。

寝転んでもいいように、床は、断熱材の上に厚めのカーペットを敷いている。

ふかふかって程じゃないけど、足がしびれるほど固くはない。

「何にもないね。」

 レイナの言葉にちょっとショックを受ける。

やっぱりしょぼく見えるかな。

「まあ、ここで生活するわけじゃないし。」

 ベネットがフォローしてくれたけど、実はこれ生活するために作ったんだ。

「あの、その……キャラバンのみんなに使ってもらおうと思って……生活しづらいかな?……」

 特別枠につないだバッグを用意しているので、これをハンスに渡せば、いつでも寝床を確保できる。

そういう目論見だったんだけど。

「いや、それなら十分じゃないか?テントで生活してるんだろう?それと比べれば十分な広さもあるし。」

 トーラスのやさしさが心に沁みる。

「が、頑丈そうだし、きっとみんな喜ぶんじゃないかな?部屋とかは自分の好みでいじれる余地があるってことだし。」

 ベネットにもフォローしてもらえたけど、一応目論見は分かってもらえてるみたいでよかった。

「んー、そっかー、家具とか荷物とか置き始めたら何もない方がいいのか。

 でも外の景色が見れないのはいただけないかなぁ。」

 レイナさん、あなたの部屋も窓まで本が埋め尽くしてるから、外の景色見えませんよね。

「まあ、一応最低限の窓は設置してあるから、外の様子を確認することは可能ですよ。」

 とはいえ小さな二重窓なので、景観には寄与しないかな。

緊急時は銃眼として活用することも一応視野に入れてる。

「でもなんか、ださい。」

 うーん、怒ってないと思ってたけど、実は腹を立ててますか、レイナさん。

「と、とりあえず、ロバたちを厩舎に入れてきます。よかったらくつろいでってください。」

 そういって、木皿を用意して、チョコやプレッツェルを乗せる。

ついでにポットにお湯を注ぎ、紅茶を準備した。


「さむ!!」

 急いで上着を着て、そりの上に乗せたロバたちのもとへ向かう。

いつまでもこんな状況に置いておくのは可哀そうだ。

既にうっすらとロバたちの体の上に雪が降り積もってる。

払い落してやって、そりを厩舎の前まで運んだ。

 厩舎の扉は跳ね上げ式になっていて、屋根が広がる構造にしてある。

内部には寝藁を敷いてあるので、そりの扉を開くだけで勝手に降りてってくれた。

そりの上は落ち着かないもんな。

 寒さ対策に着せてあるジャケットを取り外してやって、水桶に水を入れて餌箱に餌を入れてやる。

水桶には水栓をつけてあって、桶の栓を抜けば外に排水される仕組みなので便利だ。

 流石に汚れそうな床面の方はタンクに排水されるようにしたけど、別に外に垂れ流しでもいいのかなぁ。

別に毒じゃないからいい気もするけど。

 ロバたちもだいぶくつろいできたので、出入り口を閉める。

少し、撫でてやりながら病気がないか、けがが無いかチェックした。

特に問題なしと。

 一応として厩舎と部屋の間をつなぐ扉もあるので、そちらから部屋に戻る。

 あー、靴を履いたままだからカーペット汚れるよな。

全然そんなことを考えてなかった。

どうしようか。

そういうものだと言えばそうなんだけども。

「おかえりヒロシ。さすがに厩舎の間には何か敷いた方がいいかもね。」

 トーラスの指摘の通り何かはこのようなものを用意して、汚れを落とす仕組みがあった方がいいだろう。

「そうですね。ちょっと玄関の方にも必要かも。」

 俺は水を出して、床を洗うように動かす。

こういう時、水を自在に操れるのは便利だ。

掃除機をかけるようにカーペットを拭いていくが、実際掃除機とか床を拭くものがあった方がいいかもな。

それと床にじかに座らせるんじゃなく、ソファーか何かと、テーブルがあった方がいいかもしれない。

 十分スペースはあるんだから用意してもいいよな。

注文しておこう。

 こうしてみると色々と足りないものが分かる。

ふと、お姫様二人が静かなことに気づいてそちらの方を見ると、二人してタブレットにかじりついているのが分かった。

 いつの間に取りに行ったんだろう?

まあ、険悪なのよりは全然ありがたい。

「何読んでるんですか?」

 ただ構ってもらえないのは寂しい。

思わず声をかけてしまった。

そういうデリカシーがないところがダメなんだとは思うんだけど、気になる。

「あー、うん、ファンタジー漫画、こっちだとこれの方が分かりやすいかなって……」

 確かに現代もののスポーツ漫画よりは分かりやすいよな。

どういうルールかさっぱりだと微妙にわかりづらいし。

「文字が分からないから、教えてもらいながら見てるんだけど漫画って面白いわね。」

 あー、そうだよな。全部日本語だから内容はつかみづらいか。

「翻訳してる本があるから、よかったらあげようか?」

 突然の申し出にベネットは戸惑い気味だ。

「ただ、同じ本がないからヒロシ君から電子データをタダでもらえるようにお願いしてね。」

 電子データは買えばすぐ手に入れられるからお安い御用だけどね。

「姫様方の仰せのままに。」

 俺は笑いながら安請け合いする。

大した値段じゃない。

もちろん、電子データがあればの話だけども。

「ヒロシは何でも、安請け合いしすぎ。その本があるかどうかも分からないでしょ?それに手に入れるのにお金はかかるでしょ?ちゃんと私が払うから。」

「はい。」

 なんかまた怒られた。


 まあ、旅の間の食事は俺が用意しなくちゃいけない。

とはいえ、料理の腕はからっきしなので、いろいろとハロルドにお願いをしてきている。

 カブがたっぷり入ったポトフに、子羊の串焼き、それに包みピザと割と多めに用意している。

 というか、包みピザの反応が見たかったので受け付けられなかった場合を想定して、多めに出してみたんだけども。

「ピザだー!!そういえばトマト、ようやくこっちでも生産されるようになったのよね。何十年ぶりだろう。」

 嬉しそうで何より。

 レイナには、それなりの食料と交換で一緒に食事をとることになったんだけど、米に味噌や醤油を貰ってもなぁ。

こっちの世界でのそれらの食材が完全に一緒であるかどうかは分からないから一概には言えないけど、買おうと思えば買えるんだよな。

変に突き返すのは失礼だしありがたく貰っておくけども。

 小さい壺に味噌、透明な瓶に醤油が入れられて渡されて、トーラスとベネットは興味を示していた。

まあ、変なにおいしてるって思われてんだろうなぁ。

「この真っ赤なのは毒じゃないの?」

 少し、トーラスは微妙な顔をしている。

「案外おいしいわよ?」

 ベネットは、少しためらってたものの、食べてみたら好みに合ったようだ。

「無理にくわなくても平気だよ。下げようか?」

 トーラスにそう告げてみたけど、まだ悩んでる。

まあ、他の3人が普通に食べてるのに、自分ひとり食べないのも仲間外れみたいでいやか。

トーラスは目をつぶり、思い切って口にした。

「んー……酸っぱい……」

 まあ、トマトってそういうものだし。

というか見た目の問題なんだとは思うんだ。キャベツの酢漬けは普通に食べられるんだから。

酸味がダメってことは無いよな。

「そこがいいんじゃない、刺激的だよね。タバスコが欲しい。」

 なんか、レイナの食ってたものを聞くと現代の食材が次々出てくるな。

 書籍限定かと思ったけど、違うのかな?

大崎叶の能力がいまいち掴みづらい。

「レイナ様、タバスコってどんなものなんですか?」

 まあ、ベネットがレイナを様ってつけるのは身分的にも年齢的にもおかしくないんだけど。

うーん、最初のオタクみたいな反応のせいで、どうにも違和感がぬぐえない。

「唐辛子って辛い奴あるでしょ?赤い奴。」

「あー、あのひょろ長い…」

 そっか、唐辛子はあるのか。じゃあ、タバスコがあってもおかしくないか。

「あれをピクルスにして、液体部分をピザとかにかけて食べるんだ。おいしいよ?」

 レイナの話を聞いて味と色を想像したのか、トーラスの顔色が悪い。


 風呂は、風呂桶を出して外で入る形にしている。

裏口の壁に、巻取り式のサンシェードを取り付けてあるので、それを広げ、その下で風呂に入る形にしようと思っている。

 まあ、水がなくなったら、さすがにそれも難しいけど。

できないよりは、できたほうがいいよな。

 一度、水場で風呂に入ったことが合ったけど、ハンスたちも別に風呂に入るのが嫌だって感じでもなかった。

寒いときに水浴びができる方法くらいの認識だったかもしれないけど、体を温めれば疲れが取れやすい。

トーラスは風呂に浸かるのが苦手らしいので、体を拭くくらいでとどめるかもしれないけど。

「いやだよ。お風呂……マンガ読んでたい……」

 ベネットがお風呂にレイナを誘ってるが拒絶中だ。

トーラスみたいなタイプなんだろうか?

 でも正直、風呂には入って欲しい。

正直、臭う。

「少しくらいの時間じゃないですか。漫画は逃げませんよ?」

 そこが気になってるのか、ベネットもしつこく誘っている。

「おばあ様にもよく言われたけど、何度だって読みたいんだもん。いや。」

 プイっと横を向く。とても110歳には思えない仕草だ。

「じゃあ、お風呂入りながら、漫画読めばいいじゃないですか?」

 そのタブレットは防水だ。

湯船に沈めなければ、壊れたりしない。

「壊れちゃうんじゃない?」

 逃げ道を塞がれたので、困ってるのか、タブレットをぶんぶんする。

「お湯に沈めなければ、壊れない設計になってますよ。だから、お風呂入ってくださいね、姫様。」

 俺の言葉にレイナは苦虫を噛み潰したような表情になる。

「姫って呼ばないでくれる?女の子が姫って呼ばれれば、誰でも喜ぶと思ってんの?」

 まあ、そういう女の子もいるか。

「いいじゃないですか、姫。おみぐしも梳かさないと……」

 そういいながら、ベネットはレイナの髪をいじる。

「いや、もしかしたら外から魔獣が来るかもしれないじゃない?」

 あー、それは確かにその通りだな。

「分かったよ。ちょっとセンサー仕掛けてくる。それと見張りをやろう。」

 お風呂中に襲われたらシャレにならん。

やっぱり風呂は中に入れるべきかなぁ。

「裸見るつもりでしょ!!変態!!」

 あー、そうか。

うーん、そういわれるときついなぁ。

「ヒロシ、お願いがあるんだけど、周りを布で囲えない?」

 ベネットは、なかなかに本気だ。

何とかお風呂に入れようと対策を考えたようだ。

確かにそれなら何とかなるかもしれない。

「よっぽど風呂に入れたいみたいだね。まあ、少し臭うし入った方がいいと僕も思うよ。」

 残酷なトーラスの一言に観念したのか、レイナはがっくりとうなだれて小さくはいと答えた。

気にはしてたのね。

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