レポート 001 「不快な目醒め」
思ってたよりも読んでくださる方がいて嬉しいです!
気分で連投しちゃいますw
不快な寝覚めだ
意識が曖昧で、ふわふわと頭が浮いているように軽く……なかった、むしろ重かった。怠いわけではないのに妙に重苦しい。
ゆっくりと目を開けてみたら、周りは恐ろしく暗かった。目が開いていることを疑いたくなるほど何も見えない。
頭を少し動かすと何か柔らかい壁に当たってしまう。とにかく違和感しかなかった。
『何かが頭全体を覆っている』
その結論に至った時に、俺はようやく気付いた、さっきからまともに呼吸できてないことに。
『えっちょ、これやばいって、マジでやばいって!』
そうして俺は段々と遠退いていく意識の中、慌てた声音の可愛らしい女の子の声が聞こえた
「@@*! #&〜〜〜 ! 」
脳に血が足りなかったのか、何を言っているのか理解できなかった。ただ、その叫び声の後、俺の頭を覆っていたものが、ゆっくりと動き出した。
結論から言おう、それはクマだった。クマが俺の頭を咥えていたのだ。しかしそれはただのクマではなかった。顔だけが胴体に比べて尋常じゃないほど肥大化したクマだった。
「うぇぁっ!? なんだこの化け物は!」
その奇怪な容姿に、俺は変な声をあげてしまった。その声に反応するかのように、クマはその大きな口で、口角を最大限にあげながら、不気味な笑みを浮かべた。
俺は全力で逃げた。化け物に会った時の正しい反応だ。俺は闇雲に逃げながらも現状の確認をした。
どうやらここは洞窟の中のようだ。幸い、俺はクマよりも出口に近い。足元に輝く宝石のような石には目もくれず、俺はありったけの力で地面を蹴り、陸上選手もかくやという勢いで疾走した。
そして、、、
「ぶふぉっ!」
激突した。
それはガラスよりも透明な壁だった。そこへ見事なまでに正面から顔面衝突したのだ。前屈みの姿勢だったため、反動で後ろに仰け反ることなく、又、前に倒れることなく、俺は絶妙なバランスで壁に顔を押し付けたまま、静止していた。透明な壁に凭れかかるその姿は側から見れば滑稽の一言に尽きるだろう。
その壁の向こうはとても綺麗だった。
崖にできた洞窟だったため、辺りを一望することができた。眼下には森が広がり、上空には見知らぬ鳥がその幾重にも重なる色とりどりの羽を煌めかせている。神話に出てくるような獣の群れも見ることができた。視界の端には崖から落ちる滝が見え、その水は川となり、森を通り、その先の野原へと続いていた。その川を目で追っていくと、地平線の近くに微かに人里が見える。
ーー あぁ、こんな場所が日本にあるものか。
俺はひょっとするとこの時にもう確信していたのかもしれない。自分が異世界に来てしまったことに。
ポスッ、ポスッ
後ろからおかしな足音が聞こえていた。
おそらく無視されていることが癪に触ったのだろう。彼はわざとらしく足音を立てながら近寄ってきた。だが、その腑抜けた足音には人を怖がらせる効果など微塵もなかった。むしろある種の安心感を与えるような音だ。
俺は少しでもバランスを崩したら倒れてしまいそうな奇跡的な姿勢を維持しながら押しつぶされている顔をゆっくりと後ろへ向けた。
外の光に照らされた彼はただのぬいぐるみだった。顔の大きさも元に戻った、よくあるクマのぬいぐるみだった。
「 にやっ 」
彼は俺の格好をみて嘲笑った。
もはや彼への恐怖は消えていた。代わりに芽生えていたのは、ぬいぐるみが動いていることへの驚きと、醜態を晒してしまった羞恥心だ。
それもまた楽しむかのように彼の口角の高さが最頂点を迎えようとしたその時、彼は宙に浮いた。誰かが彼を持ち上げたのだ。その人物はゆっくりとこちらに近づき、洞穴の影から姿を現した。
彼女はとても可愛らしい少女だった。
栗色の髪の毛に黄金色の瞳、保護欲を掻き立てるような小さな丸い顔に小さな口、ヨーロッパ系の顔立ちをした少女はとても幼く、自分より4歳くらい年下の13歳ほどに見えた。彼女の着ている水色のフリルのついたワンピースが、彼女のあどけなさをより際立たせている。
早めに断っておくが、俺はロリコンではない。むしろ優しいお姉さん系の方が好きだ。
ともかく、俺はこの時確かに、彼女に見惚れてしまっていた。
「ぁっ、ぁっ、、、」
上目遣いでこちらの顔を伺っては目をそらす彼女は、俺になにかを伝えようとしていた。俺は娘を遠目から応援する父親のように、彼女の続く言葉を待っている。彼女に抱き抱えられたクマですら、彼女を暖かく見守っていた。
「…〃……〃っゞ%$@#……&?!@#φ!」
うん。何を言っているのか、全く理解できない。
俺はポカンとその場で固まってしまった。なにも反応しなかった俺を見て、無視されたと思ったのか、彼女は勢いよく走り去っていった。
彼女の胸元を飛び出したクマが、顔を巨大化しながら迫ってくる。そして、初めのように思いっきり俺の頭に噛み付いた。あたかも、娘を泣かせた彼氏を咎める父親のように、彼は勢いよく噛み付いてくる。歯のないぬいぐるみの噛みつきは、直接的な痛みを伴わず、俺の頸動脈を締め上げて、俺を深い深い眠りへと誘うのだった。
ーーこれが俺、観月 健太 と、ぼっち少女、神居 アリスとの異世界生活1日目だった。
超どうでもいい日記
ヤバいです。人生で初めて赤点を取りました。とうとうテスト周回プレイヤーの仲間入りです。今まで馬鹿にしててごめんなさい。
でもさ、平均点34点のテストを作る教師も頭が悪いと思うんだよ、うん。




