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お互いの想い人

2014/05/23 誤字脱字訂正しました。

―― っあ!! ――


急にミルが小さな声で叫んだ。

ほらほらと言わんばかりに薔薇園の薔薇の咲く中の人物を指差している―


「ここで想いを馳せていれば…逢わせて下さるのよ。私は先にいくわ!」


そう言いながら立ち上がり自らの正装を整え、笑顔の練習を密かにしながら想い人のダグエル様に向かって走っていった。

幸せそうに走るなぁ~…見ているこっちも幸せになるわ…

しかも、そのまま抱きついてるし。それにお互い身長差はあれど見つめ合って笑顔で笑っているじゃない。

あの行為をダグエル様が嫌がらないという事は既にミルは心配しなくても良いってことなのよ!


「…素直に安心すれば良いのに」

ミルとダグエル様の熱々な姿を眺めながら嘆くと背後から声がした。


「素直に安心ってなんだ?」


―― ッキャ! ――


不意に耳元で声をかけられ思わず声を上げてしまった…が声の主に安心して笑顔で振り向いた。

「…シンセ様!!わざと驚かせて楽しんでません?」

私が待ち焦がれていたフィアンセ様は驚かすのが好き。

そう聞くと…ふふと笑いながら横に座った。

「ほら~!笑ってる!やっぱり…揶揄うのがお好きなんですね?私も不意を打ちますからね?

シンセ様あっちを見てください?ミルとダグエル様があーんなに笑顔で話してますわ?

…もう二人は恋人の様な関係に見えますよ?…でもダグエル様はミルを好いてくれてる様ですが口に出さないと伝わらないですよわ。

シンセ様なら…ダグエル様がミルの事をどう想っていらっしゃるか知ってますよね?…内緒で教えくてくださいませんか?」

私の問を聞くと暫くミルとダグエル様の話しているのを遠くから見つけていた。

そしてふと思い出したかのように言葉を発した。

「…ん?ダグエルがあんな笑顔で話をするのはミルと会話する時くらいだよ??」


ふ~ん…ミル限定ですか。

って!ダグエル様の笑顔はミルの独占じゃない?!しかも大事に想われてるんだろうな…

はやくダグエル様がミルに一声掛けてくれるだけであの子は幸せになるのに。


ふとシンセ様が私の肩を触っているのに気がついた。

「アムエル…そんなにあの二人が気になるのか?」

私はん?と首を傾げた。

「…っあ!ミルが不安がってるんです。偵察学に行く間にダグエル様が誰かとお付き合いを始めたらとか…

片思いは辛いってさっき嘆いていたのですよ」

シンセ様はそんな話を聞いてクスクス笑っている。

「…シンセ様?私なにも可笑しい事こと話してないですよ?」

そんな言葉を掛けてもクスクス笑っている―

でも私の頭をゆっくり撫でていてくれるのは安心する。

なんとなくシンセ様に抱きついてみた―

あんなに幸せそうな?ミルを見ていたら私も少しは今幸せでいたい。


頭上から声が聞こえる―

「偵察が終わったら学園も無事卒業か?」

ミルに負けてたまるか…私は敢えて構って欲しい目をしてみたが笑えてきてしまった。

「ふふ…そうですね。終われば無事に卒業です」

事務局で渡された用紙をシンセ様に見せながら話をしていた。

「昔は猫に変身してたのに…人間なのか」


…ん? 猫だったの?


「人間だと何かあるのですか?」


私の疑問にさらっと頭を撫でてなんでもないと笑ってみせた。

「うん。学園最後の科目だし学園よりは自由だな。糧になる事も多いだろうから楽しんでくるんだ。中間報告のときは…?」

シンセ様は首を傾げて私に質問をしてきた。

「えっと…そのままシンセ様に逢いに行きたいですけど、事務局に行ってからその足で逢いに行きます。

きっとベランダを眺めれば…シンセ様もベランダに出てきてくれると思いますから」

私も寂しいけど…シンセ様も寂しいはず。

だから、きっと時刻が分かればこうするだろうと想って返事をした。

「…ふふ、気持ちが同じって事だね?父上も母上もアムエルに逢いたがるだろうから玄関の前じゃなく…そのまま入ってきなさい?」

繋いだ手の温もりが暖かい。


--------------


4人で池の辺に座り、私たち女二人は人間界でなにをするか話をしていた。

…ショッピングをして洋服を買おうとか、制服のスカートが短いとか、部屋の掃除は…食事は…と話を始めたらいつも通り戯れ合っていた。

そんな私たちを王子様達はいつも通り笑顔で眺めて居てくれる。


シンセ様とダグエル様は由緒ある家柄の天使様。

二人は幼い頃からの幼なじみで私達と同様に気づけばいつも二人で会話をしている。

…しかも容姿が男らしいのに美人のように綺麗で格好良い。

だから、年上の二人に憧れる子も居るしお姉さま達も二人を眺める人が多かった…

シンセ様は落ち着きがあって会話のしやすい心広くて優しい人。

ダグエル様は落ち着きはあるがあまり人を引き付けないオーラを出している。

シンセ様は静かに物事を云うが、ダグエル様は口を開いたら止まらないし言葉もキツイ時がある。

話せば心の優しい人だと実感したけど…それまでは何でこの二人がいつも一緒にいるんだろうと思た…

性格が正反対…


でもでも…いつもも思うのは…なぜ私達を好んでくれるんだろう?

シンセ様は私をフィアンセにしてくださっているし…もちろんご両親も大歓迎してくれる。


…なんで?


こうやって4人で居るのも…

二人で居るのも誰に文句や嫌がらせを受ける事もないけど。

釣り合わないんじゃないかという目で見られているのは間違いない。



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