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出発までの楽しみ

2014/5/23 誤字脱字を修正しました


私は一般的な天使様とは違う部分がある。

多くの天使様の羽は純白な白色だが、私の羽は純白のピンクの色をしているのである。

自分では何故なのかはよくわからない。

昔から、よく二度見されることもあるが慣れればなんとも思わなくなっていたが、孤児院でお世話になった院長さんや学園長には耳が痛くなるほど同じ言葉を何度も言われてきた。


〃アムエルは選ばれし天使なのだ。学園で学べる間に色々な事柄を取り入れ自分の糧にしなさい。将来の自分の力に役立つだろう〃


天空界、天使の中でも階級がある。

しかし、それは家柄ではなく…1天使の力と1天使の心の優しさと強さで神の使いである者が大神殿で審査をされ天使の階級は上がっていく。

…だけど、私は大神殿の周りを歩いたことしかなく…神の使いというのも日頃は姿を現れないという。

大神殿の中に入った事もないし、神の使いを見たこともないからよく判らない。

私とミルの想い人である二人、シンセ様とダグエル様は家柄的に後継ぎになるのだろう。


…そんな二人を私とミルは支えたいねと将来の夢に想いを馳せていることもよくあった。


今は、後継ぎなる為に自らの修行をしながら他の天使の修行の面倒をみたり全面的に支援をしたりしている。


シンセ様の家柄は代々戦使を総括している偉い家柄。

ダグエル様の家柄は両親共に実際に戦いに出る第一線の戦使を総括と修行をさせている偉い家柄。

二人共、将来は両親に後継者として期待されている―


よく私は考える。

天界にて戦使を総括する側と戦いに出て第一線で総括する側。

…考えの違いは色々あるのだろう。


そして、戦使は剣を持ち剣術を操る者と聖術という聖なる術を操る者がいる。

ほぼ剣術の戦使様が多いが1年に数名だけ聖術の道に進む天使様がいる。

…実に希で聖術と共に剣術も扱うという力のある戦使様。

私は一般的なお嫁さんになって何処かで働くのか?…それとも戦使の道に進むのか?

学園でも授業の中で修行があり学園を卒業する時に告げられるという。

身の振りでその都度変わっていくのかもしれない。


ふと考え事をしていたらシンセ様が私を眺めている。

「あの…シンセ様?なぜ私を好いていただいてるのですか?」


実に素朴な疑問。

歳は5歳しか変わらない、逆に5歳も歳下の私…

この言葉がいつも出てしまう。

これを言うと…いつもシンセ様は笑顔を見せる。


「でわ、なぜアムエルは私を好いてくれているんだ?」


…そう。

この言葉は私が質問した時に必ず返ってくる言葉。

何度も疑問に思い、口にするようになってからはシンセ様から返ってくる返事は合言葉の様になっていた。

毎度の光景を傍で見ているミルとダグエル様によく冷やかされる。


―― お前達は相思相愛だな ――

そう言われたら嬉しくてニアニアしてしまう。

ニアニアしている私をまた揶揄うシンセ様。…この光景は毎度の事。



-------------------------



天空の太陽が沈み掛け池の色が夕日色に染まってきた。

シンセ様とダグエル様はお互いに私達を自宅まで送ってくれると云う。

ミルとダグエル様とは途中で別れてシンセ様と手を繋いで家路に向かっていた。


いつも送ってもらう時は色んな話を話せるのに、明日から逢えなくなると思うと寂しくて言葉を喋る事も出来ずに無言になっていた…


―― …… ――


シンセ様から初めて声を掛けられて付き合う様になるまでは、逢いたくて話したくて寂しいと感じたが

お互いの想いを感じた時からはあまり寂しいと感じた事はなかった。

「…あ、もう着いちゃったか」

気付けば目の前は自分の家だった。

なんだか情けなく想い、頭を掻きながらテヘヘと笑うってみせた。

「玄関の前まで無言になっちゃいました…。なんだか寂しくてなにを話したら良いのか判らなくて…ごめんなさい」

そんな言葉をシンセ様は怒る事もなく、ふと声を出して笑ってくれた。


「いや、僕も同じだよ?明日から逢えなくなるし、中間報告の時にしか話せなくなると思ったら…

なにを話せば良いのか判らなかったから歩くのも…ゆっくりにしてたんだけど。

でもさ?こうしてお互い見つめ合って時間を使ってしまったら、出発の準備ができなくなってしまう。

無事に卒業したら一緒に住めるんだから…今はお互いに我慢だよ」


そう云うとそっと笑顔でキスをしてくれた。

すぐ近くにシンセ様の顔があると思ったらそのまま首に腕を回し抱きついた。

シンセ様は何も言わずにゆっくり頭を撫でていてくれる―

そう…この感覚が私の心を安堵させてくれるんだ。


「…有難う御座います」


そっと手を離した。

しばしの別れを覚悟を決めて言葉を発した―

「家まで送って貰ったので…シンセ様の帰って行く背中を此処から見送ります。

送り返したら意味がないですからね?中間報告の時はお土産話に付き合ってくださいね?」

私の王子様はうんうんと頷いて手を振って家路に向かって歩いて行った。


その後ろ姿を眺めていた。

…うん。信用してるから離れていても大丈夫。

…寂しくてもこれを乗り越えれればお互い一緒に幸せになれるんだから…


―― そんな心の言葉をお互いが同時に考えていた ――

シンセ様の後ろ姿が見えなくなり名残惜しくも家の中に入った。


「明日からの準備をしなきゃいけないわ!」


天界と人間界は時間の流れのずれがあるらしい。

時差なのか日数までずれてしまうのか…詳しく話を聞いていなかったからミルに聞けばわかるかな?

でも学園から転送してもらう時間は日が登る前の深夜の時間帯に事務局にいかなければならない。


「…といえど大体は準備してあるし?日用品は人間界で住む家にあるから衣類と学園の教科書程度でいいか」


大家さんに家を留守にする事を告げ、湯船に浸かった。

いつもは湯船で呑気に歌を唄う。

でも今日は唄う気になれない…

唯々…これから始まる新生活をどう迎え入れたらいいのか考えるばかし。


ミルの事だから…人間界に行けば怖がるばかりだろう。

その時は自分がミルの手を取り歩まなければいけないだろうし…何より人間界では守ってあげなきゃ


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