破壊者の妖精
灰となった村を背に、セクメトは歩き出す。
「賢者様が召喚したのはお前かぁ?」
誰かの声がセクメトの足を止める。
「誰だ?」
セクメトが声の方を見ると、小さな体に蝶のような羽が生えている何者かがセクメトに引っ付いていた。
「ん〜、転生者に説明するのは面倒だなぁ。」
「なら、いい…」
冷め切っているセクメトはそのまま歩き出す。
「じゃ、じゃあちゃんと説明するよ!だから待てって!」
「…話せ」
セクメトは歩きながらそう言った。
「頑張って説明するよ。俺は妖精だ。お前を呼び出した賢者様に使える者さ。」
「賢者って誰?」
「久遠の時を生きる、素晴らしき者。全てを司るとかそうでないとか。」
「曖昧だな」
「老人すぎて、伝説多いすぎなんだよ。」
「…そうか」
「まぁ、俺の目的は賢者様の転生者のお前を導くことだ。」
「導く?」
「苦楽をこれから共にするんだ。仲良くしようぜ?」
妖精はケタケタと笑っている。
「分かった。行こう。」
「…………」
妖精はボソリと何かを言ったような、そんな息を吐いた。
「なんだ?」
「い、いや…何も…」
2人は会話をしながら歩いている。
「で、俺は何をすればいい?」
「あんたの目的は魔王の討伐だ。だが、今のあんたじゃ勝てるか怪しい。」
セクメトはその言葉を聞いて、少し驚いた。
自分の力はあまりにも強大だという自覚はあったからだ。
「この力でも…」
妖精はその様子を見てため息をつく。
「…いいか?転生者なんてのは何もお前だけじゃないんだ。そりゃ転生させるなんて、そう簡単にできるものじゃない。でも、でかい国なら転生者を1人は所有している。そんな中で、この世界の魔王になった奴なんだ。いくら賢者様の召喚した転生者でも厳しい。」
「…じゃあ、どうしたらいい?」
「お前に与えられた力は『破壊』と『創造』。その二つを磨く。お前はまだ、その力を使いこなせていない。」
「使いこなす…」
「魔王の配下が支配している場所を知ってる。そこに行こう。」
「あぁ…。そうだ、お前の名前は?」
「…名前?」
「苦楽を共にするんだろ?」
その言葉を聞いて妖精は嬉しそうに笑った。
「俺はリリィ、よろしくな!」
「行くぞ」
セクメトはまた歩き出した。




