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わたしがグレイ様の一言に腰砕けし意識が朦朧とした日を過ごしていた頃、3年のリカルド先輩は1年必死に頑張って、構内の剣術大会でもいい成績を取って騎士団に入団できた。
晴れやかな笑顔で卒業して行かれた。
シグリッド先輩は、知の神様の教会へ望んでいかれた。知の神様の加護を持っているので、向こうからも熱烈歓迎だったという。
神様の下で、『満たされた人生とは』についての考察を信者の皆さんへ広めていきたいと、にっこり微笑まれた。
マッシュ先輩は、領地で農家をすると宣言された。何も加護がないと時は上の兄二人に遠慮して言えなかったけど、今は豊穣の神様の加護付きである。堂々と家で農業をしたいと言うと、諸手を挙げて歓迎されたそうだ。
いつか領地が黄金の畑になったら、『見に来てね』と誘われた。絶対に行きますね。
神学の先生はあれから大忙しの毎日だと聞いている。授業以外の時間は神学会に呼ばれたり、教会の偉い人とお話したりしているらしい。わたしも古い書籍や文献を復元するためについていったことがあったけど、その後、それを読み込んだり、史実を読み出して確認したりといろいろあったそうだ。
その結果、呪いも加護もどうやら、神様の興味を引いた人へのマーカーのようなものだということがわかった。
神様からのマーキングだ。
面白そう。楽しそう。真摯で素直で見ていて気持ちがいいと思われると、ずっとこの子を見守りたいという感じになるんだそうだ。愛し子であるともいえる。
教会の結構偉い人が必死で加護を授かり、その後も必死で神様と意思疎通できるように励んだところ、時々神様からヒントになることや、問い合わせの回答をいただけるようになり、呪いや加護についての研究が大きく進んだと聞いた。
もう、黒目黒髪も呪われていると思われないのが一番いい。日/夜の女神様が美の女神様と間違われたことで、黒、不気味な色だというような間違った思い込みで人々が呪いだって勝手に過激に言い出した。でも、今は黒目黒髪が夜の女神様を写した神秘的なものだという感じにシフトしてきた。
普通に生まれたら出てこない色に、馴染がないだけで弾き出そうとする深層心理が怖い。野生の動物が白く生まれた子を目立つからと捨てると言われているけど、人も動物も同じだったんだなとちょっと思った。
神学の授業は生徒が全員加護持ちになったことから噂を聞いて受講する生徒が物凄く増えた。卒業前、先生は忙しいけど、充実している。ノーチェ嬢と出会えて幸せだよって言ってくださったのが、とても嬉しかった。
神様の加護の件で3年間あっと言う間だったけど、定期的に郊外の家には顔を出していたし、時々ポーションも作っていた。授業で錬金術を取ったので、中級ポーションと解毒ポーションも作れるようになったのだ。師匠にも自慢しにいった。セクスが師匠と難しいポーションにチャレンジしているのも見た。頑張れ。
ルーンを学んで古典が読めるようになり、離れの図書室の本の中で読めないものが読めるようになったのが嬉しかった、最近読んだのは、紀行文で遥か昔の旅人が行く先々で知った知恵が書き込まれていた。とても勉強になった。
また、上級薬草も育てられるようになったし、毒消し草も収穫できるまで頑張った。
2年になってアルマ様とニナ様とご一緒して刺繍も選択したり、3年にはダンスも取った。卒業パーティで踊りたかったからだ。あっと言う間の3年間だった。でも、サンディからノーチェになっても良かったと思えた3年間だった。




