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神様の目印  作者: ヒロ
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 マルガレータ様とのマナー教室で上品な口調と上品な命令?指示?とにかく丁寧で優しい口調なのに、びしばしと鍛えられた半日が終って、家令が迎えに来てくれた。家令の顔がちょっと嬉しそう。何かいいことあったのかな。


「マルガレータ様、本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。サンディ様をはじめ皆、来た時と違い、姿勢がすくっと伸びて美しくなっておられます。素晴らしい教育の賜物ですね。次回も是非ともよろしくお願いいたします。」


「トマス様、ほんと鍛えがいのある生徒様でございました。皆様、マナーについてはほぼ真っ白でその分素直でございました。変な癖がついていないだけようございました。それにやる気もあるようで、真面目でへこたれないところも良かったですわ。次回も楽しみにしております。」


「「「マルガレータ様、ありがとうございました!」」」


「では、ごきげんよう。」


「さぁ。皆さん帰りましょう。」


 家令に促され、貸馬車にみんなで乗る。馬車の中で家令に今日あったことを皆が口々に話し出す。その姿は、どうみてもまだ淑女じゃないけれど、皆で笑いながら、なりたい自分の姿を考える。まだ未来は決まっていない。だから今日はいい勉強させてもらったね。



 家令から、今日公爵家に足を運んでいろいろお話をしたことを教えてもらった。


 お兄様とお姉様はまともな人だと思っていたけど、話を聞くととても良い方に思えた。ドレスショップもインベントリの利用方法も好きにしても大丈夫そうだと聞いて安心する。


 いつか会う日もあるかもしれない。

 そのためにもマナーはもう少し学んだ方がいいかもしれない。


 血の繋がった兄弟なのに、公爵家のご兄妹というだけで少し気後れしてしまいそうだ。自分も公爵家のご令嬢だったけど、ぜんぜんご令嬢らしくなかったからね。


 気を使わないエット兄弟姉妹の方が自分の身内だと勘違いしてしまいそうだけど、エットたちに甘えるのもなんだしね。


 好きなことはする。10年間閉じこもって生きてきた分は発散させたい。


 んー。でも好きなことって何だろう。前世は小心者で貧乏性で劣等感を持っていて、いろいろなものを諦めて仕事と家の往復で終わってしまった。なんで死んでしまったかは、記憶に残っていないけど、やりたいこともやらずに終わってしまったような気がする。


 読書が趣味だったのが唯一の救いだよね。今世は何故かマイナス感情が残っていない。ひたすら能天気だ。それがいいのかどうかもわからないまま、楽しもうっていう気持ちだけが前に出る。いいよね。こういうのも。


 今世は、10年間離れでの軟禁生活は読書三昧だった。結構それはそれで自分的には幸せだったよね。


 殺されるとわかって逃げてきたけど、家令をはじめエットたちと暮らすようになって賑やかで家族みたいで温かい日々を過ごせている。


 朝起きたらエットが朝食を作ってくれる匂いが漂っているキッチンに、温かい食事、エットの弟妹が次々起きてきて、食事の準備を手伝い、お皿をテーブルに置く音、コップに入れる水の音、口々に『おはよう』と挨拶をしていく。幸せな音の洪水だよ。これもまた幸せだよね。


 薬草採取にポーション作成。異世界に行けたらやりたかったことナンバーワンを優先させてきたけど、エットたちに助けられながら、畑仕事に美味しい料理。温かい家族。んー。充実している。


 あと、そうだよね。もっと本が読みたい。家にある本はほとんど読んじゃったから新しい本が読みたい。


 でも、本は高い。ぼろぼろの安くなった古本を再生させて読もうかな。インベントリにはたくさん入るしね。


 よし、古本屋巡りもしよう。

 インベントリの秘密も公爵家が共有してくれたらしいから、ボロの家を解体しますっていうことで貰ってきて、私設図書館とか作ろうかな。

 いいね。私設図書館。うっとりする。


 とりあえず、エットたちを雇っている以上、お金を稼ぐ必要があるから、ドレスと装飾品のブティックは作ろう。

 絵本作りもしたいよね。


 絵師とは連絡が取れたので、もう少しすれば会えるそうだ。本文とイメージは出来ているので、後は自分が想像する絵本っぽくなるようにお願いするところだ。楽しみだね。


 トゥヴォが作る野菜も美味しくできるようになった。トウモロコシやジャガイモも枝豆も一緒に収穫したよ。カブもカボチャも美味しくできた。当分は家で食べる分だけなんだけど、少し多く作った分は隣の農家の人と物々交換したり、隣の農家が売っているところで一緒に売らせてもらったりしているそうだ。


 トゥヴォも誕生日がきたら20歳だものね。隣の農家の娘さんと上手くいくといいね。


 そうなると長女のエットのことも気になる。エットが家令を見る目は恋する乙女だものね。


 家令は実は若返っている。それはわたしと一緒に教会巡りしていて、家令にも加護がいただけたからだ。


 美の女神様と大地の神様からの二つの加護で、老いにくくなると、寿命が少し延びるというダブルの加護で、白髪に色が戻ってきて、皺も伸びてきて、少し若々しくなってきている。


 家令に言わせると、わたしとの生活がはらはらどきどき楽しめているから気持ちが若返っているのもあるだろうとのこと。


 今は、サンディ様と生きていくのだけで精一杯ですよと微笑む家令にも、幸せになってもらいたい。でも、エット、もう少し若い人にも目を向けて欲しい。家令をエットにとられるのはまだ嫌だと思ってしまう。心が成長できていないのかな。


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