第11話「“シスターズアルカディア”VS魔王軍②」
手向山にある魔王軍敵アジトへとやって来た私達。
そんな私達の前に立ちはだかる四人の“半魔人”達。
その内、私ことユイと、レイ姉さんとユリコさんは、神人と呼ばれる人種の中の、“翼人”と魔人との“半魔人”の女性であるルディアと向かい合っていました。
ちなみに、これは後に知ることですが、神人とは耳の長い、神に最も近しいとされる人種のことで、他にも“妖人”や“海人”、“炎人”といった種が存在するそうです。
彼らは、自身の中に宿る“神精力”という力で“神精術”という術を使うそうなのですが、種によって扱う神精力の属性が異なり、“翼人”の場合は風を操る属性になります。
『さて、それじゃあ、妖獣のお嬢さん達、私のお相手をしてくれるかしら?』
そう言って、翼のようになった両手を広げたルディアは空へと浮かび上がると、竜巻を起こして私達を攻撃してきました。
「相手は風使い、レイちゃんとユイちゃんはどう対処する?」
そう尋ねてきたユリコさん。
私とレイ姉さんは“妖狐”、つまり“炎雷の妖術使い”として炎と雷の妖術を扱います。
一方、ユリコさんは“妖狸”、つまり“水炎の妖術使い”として水と炎の妖術を扱います。
風の妖術を扱えるメンバーがいないのと、ユリコさんはあくまでバックアップ要員として今回の作戦に参加しているので、戦力としては期待出来ない(妖力の半分を、今現在この周囲に張っている『狸結界』に割いているためというのも大きい。『狸結界』は、周囲への被害を抑えるためにも解除するわけにはいかない)ので、炎と雷の妖術で風に対処しなければならない。
「簡単です。
風より速い雷で、こちらがダメージを受けるより速く相手を攻撃すればいいんです!
『雷刃爪』っ!!」
私はまずセオリー通りに、両手の爪に纏わせた雷の刃を上空のルディア目掛けて放ちます。
私の放った『雷刃爪』は、ルディアの起こした竜巻の隙間をぬってルディアに向かっていきますが、ルディアは縦横無尽に空を飛んで『雷刃爪』を器用に避けていきます。
一方、私達の方も、迫りくる竜巻をかろうじて回避しながら、スキを見て攻撃を繰り出すのですが、平面でしか避けられない私達に対して、立体的に避けられるルディアとでは、どちらが優位かは一目瞭然です。
『上手く竜巻を避けてるみたいだけど、私の攻撃はこれだけじゃないよ!
『シャドゥボゥル』ッ!!』
さらにそこへ、ルディアからの魔術による攻撃も加わったことで、私は正面から『シャドゥボゥル』、そして左右から竜巻に挟まれてしまいました。
私は、バックステップで回避することも考えましたが、ここはあえて前へと進むことにしました。
「『雷速脚』!そして『炎撃拳』っ!!」
私は両足に雷の妖力を纏わせ、瞬間的かつ爆発的な加速力でもって、地面を蹴り上げ、同時に右手に炎の妖力を纏わせて前方斜め上から迫ってくる『シャドゥボゥル』へ向けて飛び上がり、炎の拳でもってそれを迎撃しました。
そして、そのままの勢いで、ルディアに向かっていきます。
「やぁああああっ!!」
目にも止まらぬ速さによる突撃と、『シャドゥボゥル』を空中で迎撃した際の爆炎が目眩ましとなり、ルディアは回避することが出来ずに、私の『炎撃拳』をまともにくらいました。
『ぐぅっ!?まさか、私の『シャドゥボゥル』に突っ込んでくるとは…!?
だけど、甘いわよ!』
しかし、勢いの落ちた『炎撃拳』ではルディアに大したダメージは与えられず、逆に私は腕を掴まれ、そのまま風の勢いと合わせて地面に思いっきり叩きつけられました。
「きゃあああっ!?」
『『シャドゥボ、』
「させないわ!!
『雷華炎刃爪』っ!」
私に追撃の『シャドゥボゥル』を放とうとしたルディアの真下の地面から、先端が華のように広がった雷の柱が立ち上がり、ルディアの全身をその花弁の中に捕らえました。
『ぐっ…!?がぁあああああっ!?!?』
ルディアの全身に電流が流れ、動きを止めたところへ、レイ姉さん放った炎の刃がルディアの全身を切り裂きます。
『おのれ…っ!だが、この程度っ!!』
ルディアは、全身に魔力を込め、自身を捕らえていた雷の華を吹き飛ばすと、風を操り、レイ姉さんの放った炎の刃の軌道を変え、逆にレイ姉さんへと向けて返しました。
「げっ!?返って来た!?」
『さらに倍返しよ!!』
ルディアはさらに風の刃を生み出して、レイ姉さんへと放ちます。
「レイ姉さんっ!!」
私はなんとか起き上がり、『雷速脚』で加速し、レイ姉さんの元へと駆け寄ると、向かってくる無数の刃へと向けて、術を放ちました。
「『雷刃獄炎弾』っ!!」
雷の刃を纏わせた巨大な青い炎の弾は、遅い来る炎と風の刃を全て飲み込み、空中で巨大な爆発を起こします。
『甘いわよ』
しかし、直後に私とレイ姉さんの背中に鋭い痛みが走りました。
「「きゃあっ!?」」
『私の神精術は自在に風を操れるのよ?
あなた達の正面からだけ、なんてことは無いと思わない?』
どうやら、私達は背中に風の刃による攻撃を受けたようです。
「大丈夫?ユイちゃん?」
「はい、大丈夫です、レイ姉さん。
しかし、あの風の攻撃、厄介ですね…!」
私は背中の痛みに耐えながら、上空に浮かぶルディアを睨みます。
そこへ、戦況を見守っていたユリコさんが声をかけてくれました。
「二人共平気?そろそろ私も助太刀しようか?」
「いえ、大丈夫です。
まだ、試していないことがありますので」
「私も平気よ、ユリコさん!
私にだって切札があるんだから!」
「そう?なら、もう少しだけ見守らせてもらうわね」
『どうした?私は三人がかりでも一向に構わないわよ?』
「いいえ、私一人でも十分です!」
「ちょ、ユイちゃん!私だってやれるんだから!」
「まぁ、確かに先程までの攻防で、以前より強くなっているのは認めますが…」
「でしょ!?それにさっきも言ったけど、私にはまだ切札があるしね!」
「その切札って、」
『おっと!さすがにそう簡単に切札とやらは使わせないわよ!』
ルディアが再び風を操ると、私とレイ姉さん、そしてユリコさんの足下から竜巻が発生し、私達はその中に閉じ込められてしまいました。
「しまった!?」
「きゃああっ!?」
「あら、私も閉じ込めちゃうの?」
『悪いが、我々の敵となった以上、差別はしない主義でね』
「あ、そう。ま、懸命な判断ね」
聞こえてくるユリコさんの声は何処か余裕があるように感じられましたが、私やレイ姉さんはそうではありませんでした。
竜巻の中では、息苦しい上に、四方八方からランダムに風の刃が襲ってくるからです。
「くぅ…っ!?痛いし苦しいし…、これ…っ!」
「マズい、ですね…っ、このままでは…っ、ぐぅっ!?」
『はははは!!どうする?窒息死か失血死か?どちらで死ぬのが早いかしら!?』
ルディアの悪趣味な笑い声が聞こえてきます…
しかし、確かにこのままでは…!
ーーーまずは、冷静になることです
その時、ノゾミお姉様の声が脳内に蘇りました。
それは、特訓の時に常に言われ続けていたこと。
ーーー冷静になり、意識を常に戦いに集中させる。
ーーーそうして、相手の力や術だけでなく、自分自身の力を正しく把握すること、それが大事。
そうだ、今こそ冷静になり、戦いに集中すべき時です。
今、私は竜巻の渦の中に囚われている。
ルディアの神精術によって操られたこの風の中では、大気を操ることで、私の周囲の酸素濃度が意図的に下げられている、これが息苦しい理由。
風の刃に関しては、一撃そのものに威力はそれ程無く、急所さえ守っていれば、致命傷には至り得ない、とはいえ、くらい続けて血を流し過ぎればその限りでは無いですが。
であれば、目下対処すべきは息苦しさの方でしょう。
私の周囲の酸素濃度が下げられているということは、この竜巻の中の何処かには酸素濃度が濃い場所があるということ。
そこへ移動出来れば、呼吸は確保出来ますが、そもそもこの風の中を自由に移動出来そうもありませんし、移動出来たところで、再びそこの酸素濃度を下げられれば意味がありません。
では、どうするか……?
私は、深呼吸をし、そして痛みに耐えながら、全身に妖力を集中させ、そして術を放ちました。
「『獄炎刃』っ!!」
全身から、周囲一帯へ向けて、炎の刃を放つと、その内のいくつかは、酸素不足ですぐに炎が消えてしまいましたが、残りの数発は酸素濃度の濃い箇所に当たりました。
そうなると、どうなるかは誰もが分かる通り。
大量の濃い酸素にあてられ、炎の刃は文字通り獄炎と化し、私の周囲で大爆発を起こし、同時に大気が乱れ、私を捕らえていた竜巻が消え去ります。
『愚かな!自爆するつもりか!!』
ルディアの言う通り、自身の周囲で爆発を起こせば、私自身も無傷ではいられませんが、ヨウイチお兄様や、ハルカさん(それと、認めたくはありませんがアキラさんの『雷速』も参考にしました)から教わった“雷化”の原理を、妖力にも応用した私オリジナルの雷の妖術『雷人化』で、爆発の火を超高速で回避することで、私自身は最低限のダメージで済ませました。
そのまま加速状態を維持出切れば良かったのですが、今の私はまだ“雷化”を完全にマスター出来ておらず、なんとか爆発を避けきるのに精一杯で、それ以上の“雷化”による行動は負担が大きいと判断し、爆発から離れた地面に着地したところで『雷人化』の術を解きました。
“雷化”は、単なる加速行動ではなく、思考も同時に加速するため、加速移動中も普通に行動しているのと同じように動けますが、それだけいつも以上に脳に負担をかけていることになりますから、その後の反動が大きいのが欠点になるのですが、ヨウイチお兄様やハルカさん達にそうした影響が見られないのは、これまでの特訓や、実戦経験が違うからなのでしょう。
『なっ!?お前、いつの間にそんな所に…っ!?』
一方、ルディアからすると、私が突然別の場所に現れたように見えたので、一瞬驚いたようでしたが、その時の私は未熟故に『雷人化』の反動から、すぐには行動に移せず、結果的にルディアに攻撃のチャンスを与えてしまいます。
『これで終わりよっ!!『シャドゥアロー』ッ!!』
「くっ…、しま…っ、」
万事休すかと思われたのですが、何故かルディアの放った『シャドゥアロー』は、私のいる場所ではなく、私のいる場所より少し後方の地面に刺さったのです。
『なっ、外した…っ!?そんな馬鹿な!?』
外した本人すら理解出来ていない様子。
ですが、これはチャンスです!
私は、もう一つの特訓の成果を見せることにしました。
ーーーユイは『妖獣化』が苦手なのね?
思い出すのは、ノゾミお姉様やキョウカお姉様と特訓していた時のこと。
私やレイ姉さんも含めて、アリスガワ家の人間はどうも『妖獣化』を得意としていないようなのです。
全く出来ないわけではないのですが、力を思う通りに使えず、下手すると普通に戦った方が強いまでありました。
通常『妖獣化』すると、普段の人間の姿では使い切れていない、潜在的な妖力まで使えるようになるため、単純なパワーアップが見込めるため、『妖獣化』出来ないことは戦闘面において不利と言えるでしょう(勿論、体が大きくなることによるデメリットも存在しますが)。
ですから、私はこれまで『妖獣化』せずとも相手に勝てるだけの力をつけるための特訓を重ねてきました。
しかし、それも独学では限界があり、現にお姉様方には全く歯が立ちませんでした。
そんな私に、ノゾミお姉様から新たな特訓方法を教えてもらうことになったのです。
ーーーそれなら、『妖獣化』せずとも、その潜在的な力を使えるように特訓しましょう。
ーーー勿論、簡単ではないけど、恐らく、あなたは普段からそれに近いことを無意識でそれをやってきてたハズ。
ーーーだから、“妖狐”でありながら、“九尾”に匹敵する程の妖力を扱えてるのよ。
ーーー“シスターズアルカディアVR Ver.2”で見せた、あの銀色のオーラ、あれがその片鱗だったのかもしれないわ。
ーーー大丈夫だぞ!!
ーーーユイならきっと出来る!!
ーーー自分も応援してるぞ!!
ーーーついでにキョウカも出来るように特訓しましょうか?
ーーーえーっ!?!?
「ふふふ♪」
思わず、その時の会話を思い出して笑ってしまいました。
「ノゾミお姉様とキョウカお姉様との特訓の成果を、今こそ試す時!
きっと、使いこなしてみせます!!」
私は、己の中の深淵、底に眠る妖力に意識を集中させていきます。
「はぁああああああっ!!」
気合いと共に立ち昇るのは、銀色のオーラ、そして瞳の色と耳と尻尾の先端だけが銀色に変化しました。
これこそが、私の、私だけの“妖狐”の進化形態です。
『何だ、その姿は!?そんな“妖狐”、私は聞いたことが無いぞ!?』
「別にあなたが知っている必要はありませんし、覚える必要もありませんよ。
何故なら、あなたは今日ここで私に倒されるからです」
『…ッ!言ってくれるじゃない!!
やれるものならッ!!やってみなさいッ!!
『シャドゥボゥル』!『シャドゥボゥル』!『シャドゥアロー』!『シャドゥアロー』!『シャドゥバースト』ッ!!』
ルディアが、魔術を同時多発的に放ちつつ、更に同時に神精術による風の刃や竜巻などを放ってきました。
そして、それらは一見してデタラメな攻撃に見えますが、風を操って魔術の軌道を変えたりしながら、さらにいくつかの術を囮にして、巧妙に私の逃げ道をふせぎながら、ある一点に誘導するような攻撃となっていました。
全ての術を相殺するのも出来ますが、いちいち面倒なので、ここはあえて相手の術中にハマってあげましょう。
追い込まれた先は、予め気流を操作されて、周囲一帯の酸素濃度が極限まで下げられた場所でした。
なるほど、これだけ広範囲に渡って酸素濃度が低ければ、私の炎の妖術も威力が激減すると踏んだわけですね。
先程のような、酸素に引火させて爆発を起こし、その爆発を目眩ましに使われることを嫌ったのでしょう。
『チェックメイトよっ!!
『シャドゥエンドバースト』ッ!!』
ルディアはご丁寧に、私の周囲に竜巻を起こして逃げ道をふさいだ上で、さらに極大の魔術で二重に逃げ場をふさいできましたが、そんなの関係ありません。
「術の練り込み方が雑ですね、スキだらけですよ」
今の私は、妖術に限らず、魔術においても、その弱所を見抜くことが出来ます。
私は、右手の人差し指と中指を伸ばし、その弱所へと向け、術を放ちました。
「『狐妖術・雷光一穿』」
指先から放たれた一筋の雷光が、ルディアの放った術の一点に穴を穿つと、術が一瞬にして霧散してしまいました。
これは、ノゾミお姉様が“真紅の六尾”の姿で使える『狐火乱舞・雷穿』の術の簡易版になります。
私にはまだ『狐火』を上手く操れない(というより、『狐火』の術自体がほぼノゾミお姉様オリジナル術になる)ので、雷光のみの攻撃になるが、それでも威力は十分だ。
『な…っ!?』
ルディアは驚いた表情を一瞬だけ浮かべたが、その直後には心臓を貫かれ、地面へと落下していった。
「おー、やるねー!ユイちゃん!」
ルディアが倒れたことで、その術が解け、閉じ込められていた竜巻から解放されたユリコさんがそう言ってきた。
「ユリコさん!無事だったんですね!」
私は変身を解いて、ユリコさんに駆け寄った。
「というか、ユリコさん全く無傷みたいなんですけど、あの竜巻の中大丈夫だったんですか?」
「んー?ああ、それに関してはほら、私って“妖狸”でしょ?
だから、『幻影』とか使ってね」
「さ、さすがはユリコさんですね」
「ちなみに、レイちゃんも似たような感じだよ?」
「え?」
そう言ってユリコさんが指差した先には、地面に倒れていたレイ姉さんがいました。
「れ、レイ姉さんっ!?」
私は慌ててレイ姉さんの元に駆け寄り、抱き起こして、レイ姉さんの怪我の状態などを確認したのですが、レイ姉さんもほとんど無傷だったのです。
「え?レイ姉さんもほとんど無傷…?」
「あー、ごめんね、ユイちゃん、起こしてもらっちゃって…
まだちょっと妖力調整に慣れてなくてね〜…」
「妖力調整?」
「うん、私もね、ユイちゃんと同じように『妖獣化』せずに、その力を使えるようになったんだよ」
「ええっ!?」
何ですか、それ!?
初耳なんですけど!?
「えへへ〜、実はユイちゃんには内緒でノゾミちゃん達と秘密特訓してたからね〜」
「そんな、いつの間に…
というか、レイ姉さんの場合はそもそもそんなに妖力が…」
「あはは、まぁ、それに関しては、ほら?例の、ヨウイチ君とゴニョゴニョすることでパワーアップ、的な?」
「んな…っ!?」
ま、まさか、レイ姉さんがヨウイチお兄様と、え、エッチなことをしたと言うのですか!?
「まぁ、そのおかげで私も強くなったのよ。
こんな感じで、ね!」
そう言ってレイ姉さんが妖力を集中させると、その全身に真紅のオーラが立ち上り、瞳の色と耳と尻尾の先端だけが紅く変化しました。
「そ、その姿は!?」
「うん、私の場合はユイちゃんとは違って“銀毛”じゃなくて“真紅”に変わるみたいなの。
これで、“妖狸”の『幻影』に近い術を使って、わざと竜巻に飲み込まれたフリをしたり、ユイちゃんの『幻影』をルディアに見せて、『シャドゥアロー』の狙いをそらしたりしたんだよ」
「あ、あの時ルディアが不自然に狙いを外したのは、」
「そう、私がそうさせたの!
本当はもっと邪魔したり、ユイちゃんの手助けをしてあげたかったんだけど、力尽きちゃってね…、っと!?」
変身を見せてくれたレイ姉さんは、しかし、すぐに元の姿に戻りました。
「はぁ…、はぁ…、やっぱこれキツいな〜…
もともと『妖獣化』前提で使える妖力を無理矢理、人型のまま使ってるわけだから、身体に負荷がかかるのは当たり前なんだけど…
というか、ユイちゃんはあの姿になってなんとも無いの?」
「そうですね、少し身体が気怠く感じますが、それでも『雷人化』後の脳が痺れるような感覚に比べれば全然です」
「はぁ〜…、さすがユイちゃんね…
元の妖力量の差なのかもね〜…」
「…ですが、さすがにこれ以上の戦闘は厳しそうです。
やってやれないことは無いですが、無理は禁物、自分の命最優先、というのがノゾミお姉様達からの教えですので。
…本当は、他の姉妹の皆さんの手助けに行きたいところですが、全力を出せない今の私が行っても足手まといになるだけでしょうし」
「うんうん、きちんと引き際を見極めきれるのは大切だよ!」
これまで私達の会話を聞いていたユリコさんが、そこで会話に混ざってきました。
「それに、私の力無しに魔王軍の一人を倒したってだけで、大金星だよ!」
「はい、ありがとうございます」
「なので、今はここで休んでて。
大丈夫、二人のことは私が守ってあげるから。
そして、妖力が回復して、まだ行けそうだって思ったら、他の姉妹達を助けてあげて。
…まぁ、その必要が来ることは無いと思うけどね」
残りの魔王軍は三人。
ですが、私達より遥かに強い皆さんなら、何の問題もないと信じて、私達はユリコさんの言葉に甘えることにしたのでした。




