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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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152/156

閑話休題






再び大阪府O市K区  N`Cars宿舎のホテル






『それではここでニュースをお伝えします』


 テレビの画面が舞洲ボールパークから放送局のニュースフロアに切り替わって、数分間のニュース番組が始まった。




 それと同時に、片山、関川、永田の3人は、それぞれの視点でこの試合の5回までを振り返っていた。


「もうちょい点入るかな思たけど、派手にならんと締まっとるな」

「チャンスはお互い作るけどな…。点こそ取られとるけど、作られた後を抑えとるシーンも多い印象やな」

「しかしチャンスがありながら得点にならない状況が続くのはちょっと危険だなどっちも…。そんな中で先にチャンスを活かして次の1点を勝ち越したことが、そのまま勝敗に繋がっちゃうかもしれんぞ…」




 試合前の予想では、この試合は得意分野、則ち坂井スローパーズの打撃(バッティング) 対 泉州ナイツのチームワークになるだろうと見ていた。特に春江は両チームともにマークしていた中、打撃(バッティング)のチームを春江以外はチャンスの場面で抑えていることで、3点に止めている。和泉の打たせて取る投球(ピッチング)と、バックの長所を活かした守備が(もたら)した結果ではあるのだが、しかし打線のほうが初回以外それを今一つ発揮できていない。守備でもその要を支える春江がリードする兵庫の前に、2点に抑えられている。




「永田、ちょっと」

 廊下から萩原がノックしてからドアを開けて、永田を呼んだ。永田は立ち上がってから、萩原のもとへ向かう。




「で、泉州ナイツが勝つには…」

「グラウンド整備明けの両チームにとっての最初の1点を、先に取る他無い。このままズルズルと行けば、永田が言うてた様に、春江の勝ち越しタイムリー三塁打(スリーベースヒット)で挙げたあの1点で、全てが決まるかもしれへんで…」


 永田が萩原とドア付近で話している間、今度は関川と片山が1対1で今後の展開のキーポイントを話し合う。


「1点なぁ…。パッと見とか試合(ゲーム)直後やったら、ようやったとか善戦したとか言われるスコアに思われるかもしれへんけど、時間が経っていくうちに、1点差で負けた言う事実が、少しずつ負けた側に()し掛かって来るからなぁ…。派手な大差で負けるよりも厄介な負けになるかもしれへんで…」

「けど裏を返せば先に1点を取っちゃえばええ。泉州ナイツは後攻やから、先にきっちり守ってそれから1点を取ればええ。このままズルズル行くか、先に坂井スローパーズが点を取れば向こうの勝ち確率は上がるけど、あとの2イニングを確り守れたら…、理想はどっちも0やったら…、泉州ナイツも勝てるかもしれへんで」




 6、7回の残り2イニング。勝負のポイントは、2人ともグラウンド整備明け後の次の1点を、どちらが先に取るかだった。ポイントが見定まったと同時に、萩原と話し終えた永田が戻って来た。




「おう。何やったん?」

「夕食の時間。予定通り、6時半だって」


 永田は話しかけてきた片山と、関川にこう伝えた。何でも萩原、廊下で偶々徳山監督と会って、その言伝をN`Cars全員に伝えていたらしい。




「もう始まるで」

 関川に言われた永田は、元いた位置にもう1度座った。テレビの画面では、既にニュース番組を終えて、再び舞洲ボールパークでグラウンド整備員さんがグラウンド整備をしている映像に戻っている。




『それではこの試合、5回までのハイライトです』


 ハイライトの内容は、先程まで3人が話し合っていた内容に近かった。だが永田は途中で抜けているので、後半の展開には加わっていない。少し時間を置き、ハイライト映像を見たことで、改めて違う見方ができた。


―春江以外を抑えてはいるけど、春江を抑え切れていないのがなあ…。スコアこそ3対2だけど、このまま行ったら攻守とも春江1人にやられるぞ…。






再び大阪府O市K区  舞洲ボールパーク






「グラウンド整備、ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」


 グラウンド整備を終えて引き揚げていく整備員さんに、これから守備に就く泉州ナイツが和泉を先頭に挨拶、一礼する。そしてそのまま、


「っしゃあ行くで!!」

「おー!!」


同じく和泉の掛け声で、綺麗に整備されたグラウンドに泉州ナイツの守備陣が駆けて行った。


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