ぽよよん島から帰ってきた私
島から帰ってきた。
船を降りた先には、たった一人の夜の森があった。
ぽよよん島に行くまでは、私はいつも、この森で一人になっていた。
私はその場に座り込んで、同じ満月を見上げていた。
あまりに同じ満月だったから、ぽよよん島から帰ってきた実感は湧かなかった。
ふと、どんぐりの落ちる音が聞こえた。
小さな音は、森を揺らした。
そのたった一音が、急に夜を濃くした気がした。
私の中で、彼が埋めていた部分が剥がれ落ちて、急にこの森が怖く思えた。
「帰ってきたんだ」
自分の声がとても澄んで聞こえた。
でも、その言葉は、孤独の中に消えていった。
私は、体を支える手の指先で、土の感触を探った。
少しだけ硬くて、ざらついている土が、無性に安心した。
島から帰ってきてから、私は彼に、関係を区切るための言葉を送った。
彼女ができたあなたのそばに、友達として残ることはできない。
私はあなたを、友達としては見られなかった。
だから、ここで区切らせてほしい。
そんな内容だった。
送ったあと、私は自分を守れたことに少しだけ安心した。
けれどすぐに、彼が友達を失うことを怖がっていたのを思い出した。
私は、その一人になってしまった。
そのことに気づいて、もう一度だけ言葉を送った。
あなたが怖がっていたことを、私もしてしまってごめんね。
返事はなかった。
私はしばらく、彼らしい優しさを探していた。
けれど私は、別のことも考えていた。
友達を失うのが怖くなくなったのではない。
私が、彼の怖さの中にもういなかったのだと思った。
ぶつかったとき。
面倒になったとき。
誰かを傷つけたとき。
相手が、もう見なくてもいい人になったとき。
それでも残る優しさだったのか。
それとも、綺麗なままでいられる場所にだけ咲く優しさだったのか。
私には最後まで分からなかった。




