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幼馴染に脈あるとでも思った?  作者: イヌガミ
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まさかの、かの、じょ?

 重い足取りで食卓へ向かうと家事をしている母親の声が聞こえる。

 

「あんた今日風邪ひいてたから学校休んだわよ」

 

 確かに頭痛に加えて、体が重いという感覚に襲われている。


 急な宣告だったが、どうせ学校に行ったところでやることはなかったので妥協だな。

 

 朝食を済ませ、洗面所で顔を洗う。

 

 なんとも締まりのない顔だった。

 

 熱のせいか普段外に出ないため白い肌は赤く染めあげられている。


 頬は少し垂れ下がっていて具合が悪いことははたから見ても明白である。

 

 大人しく自分の部屋に戻りベッドに横たわる。

 

 スマホの画面をつけるとメッセージが一件届いていた。


 陰キャだから友達もいるはずはないのだが不思議なこともあるものだ。

 

『ゆうくん、今日大丈夫?』

 

 橘からのメッセージであった。数少ない俺のメッセージアプリの中の友達。


 俺の体調を気にしてくれるとはなんて優しいんだ。

 

 授業中であろう橘のスマホに返信をしてもいいのかと葛藤するが、返信したい願望が勝ってしまいキーボードに手を付ける。

 

『大丈夫だよ』

 

『よかった。お見舞いに行くから。』

 

 いや、返信はやっ。どこの暇人だよ。

 

 僅か十秒の間に返信が帰ってくる。四六時中ずっとスマホを傍に置いていたのだろうか。


 しかし、橘みたいな真面目な奴が授業中にスマホを触るとは意外だ。

 

 そんなことは問題ではない。


 お見舞いにくるなら熱で倒れているより部屋の掃除を優先しなければならない。

 

 だが、まだ九時だからまた後でいいか。

 

 睡眠は免疫力を上げる一つの方法だと書いてあったな。風邪を引いているし寝よう。

 

 ◇

 

 よく寝たな。

 

 蛍光灯の眩しく瞼越しの瞳を焼き焦がしそうな閃光が一直線に視界を照らし明るく彩る。


 眩しい感覚はあるが体が楽になっていることのほうが強い。

 

 体を覆っていた熱気もあまり感じられないが、少しの感覚は残っているのでまだ微熱はあるのだと断定出来る。

 

 はあ。何時だ今。

 

 喉乾いたな。冷水でも飲むか。

 

 ベッドから立ち上がろうとした瞬間だった。俺が存在に気づいたのは、、隣には橘の姿があった。


 心配そうに俺の手を握っている。

 

 日が西に落ちていき、月が東から登っている曇天の陰鬱が隠せていない雰囲気。


 如何にも不吉なことが起きると言わんばかりの夕焼け。

 

 しかし、そんな外観でさえ橘の写る光景を見れば天使が舞い降りていると錯覚を起こすほど。


 自然の全てが味方になっているような感じ。

 

 驚愕して勢い良く橘の方に目を向けるが、橘は頬を赤く染め上げて俯いている。


 釣られるというべきか雰囲気に流されて俺も紅潮するが軽い微笑みを浮かべる。

 

 橘も俺に続けて笑みを浮かべてくれる。

 

 見舞いをしに来てくれたようだが、興奮のあまり悪化したような気がするのは心の中に留めておこう。

 

「悪いな、わざわざ家まで来てもらって」

 

「彼女の役目ですから」

 

 へぇ?彼女だと、、。

 夢でも見ているのか、幻想の世界に入り込んでいるのかもしれない。


 夢が覚めろと思う訳では無い。なんせ学校の美少女の彼女なのだから。

 

 しかし、いつだ。

 

 もしかしたら、昨日の夜のことか。熱の影響で目眩が起きて、曖昧な記憶がぼんやりと脳内に刻まれている。断片的にしか思い出すことができない。

 

 じわりと頬に汗が滴る。唾を胃に勢い良く戻すように思いっきり飲み込む。

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