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砂の国、砂の城 04

早朝、キリと月夜野アカリは魔女ツグミに案内されるまま街を歩く。

「朝食もまだなのに何処行くの?」

「昨夜話した傭兵の斡旋所だ。」

早朝出向くのは腕利きが早々に契約されてしまうから。

「それでどうして私達まで一緒に?」

「何を言っている。お前が主人だろう。」

寝起きの月夜野アカリはまだ役者としてスイッチが入っていない。

斡旋所には既に数人の商人が窓口に並んでいた。

少ないな。とキリは感じたがその理由は後に判る。

列に並び順番を待つ

「二人は堂々としていてくれ。」

カウンターを挟み担当者と魔女ツグミが何やら話をしている。

時折キリと月夜野アカリを見る。

二人は届いてくる会話の内容から

随行する人数と金額に応じて傭兵を紹介するようだと察する。

堂々としていては却って「ふっかけられる」のでは無いだろうか。


ツグミが二人の元に戻り

「宿に戻るぞ。」

「どうして?」

「交渉だ。」

傭兵はこの斡旋所に登録する。

商人や旅人は斡旋所に人数や行き先等条件と報酬金額を提示する。

斡旋所は登録された傭兵の中から条件に合う数組を紹介し紹介状を発行する。

それから傭兵と直接交渉をする。

「直接紹介して決まりってわけじゃないのね。」

「細かい条件は当事者同士で決めないと。」

「斡旋所を通さないとどうなるの?」

「別にどうにもならないよ。」

法律や条例ではない。

無事に仕事を終える場合もある。

報酬だけ受け取り逃げる場合もある。

人質にされたり、殺されてしまう場合もある。

「登録は俺達はプロの傭兵だって信用のアピールってとこね。」


宿の主人に紹介状の名を告げると

すっかり身支度を整えた四人の男性。

とは言っても身綺麗とは言い難い。

まるで騎士のような。とは言えない身なり。

三十代から四十代前半だろうか

揃ってくしゃくしゃな長い髪。

内一人は無精髭。

「ヘビメタの人みたいね。」

月夜野アカリはキリに耳打ちするがキリにはよく判らない。

甲冑は無いが長い剣と防具を持つ者が二人。

鞄を背負うだけの者が二人。

それぞれ役割があるのだろう。

赤毛の混じったリーダー(らしき男)がキリ達三人を直視する。

値踏みするでもなく、子供二人を嘲笑うでもなく

ただ交渉相手としてのみ見据えている。

そして

「私が話を聞こう。そちらの主人は誰だ。」

キリと月夜野アカリはこの件とは全く関係ない事柄を同時に考えた。

「『私』じゃなくて『俺』って言っている気がする」


目的は

「とりあえず砂漠越えの随行」

「道中の三人の護衛」

メリアに扮した月夜野アカリが説明する。

「承知した。だが斡旋所で言われただろう。」

「何を?」

「俺たちは安くない。前金も必要だ。」

普段の仕事は商人とその一行、そして積荷の護衛。

少なくても7,8人。多いときは20人程度。

必然的に報酬は高くなる。

「それだけ腕利きなのでしょ?」

毅然と気品溢れるように振る舞ってはいるが

この世界においても「女の子」でしかない。

何者なのか、を知らしめる必要がある。

月夜野アカリはピータンから受け取った金貨を投げ渡す。

「本物か。」

「ええ。ピータンからの贈り物よ。」

月夜野アカリはフードを脱ぐ。

クリーム色のウィッグは南の大陸の森の国の住民である証明。

すると後ろの男が

「すまないがその剣を見せてくれないか。」

月夜野アカリの腰にあるのはメリアから借り受けた剣。

彼女は柄に手を掛け少しだけ抜く。

「用心深いな。」

「貴方達もね。」

男は目配せをして頷く。

リーダーは金貨を丁寧に手渡しで返した。

「これは受け取れない。報酬は仕事が終わってからでいい。」

「いや。もし貴方方が本物なら報酬は不要だ。」

「本物?」

「貴女がメリア殿下ならそちらの少年は守護竜の守護者殿の筈。」

またはじまった。

イヤな予感。そんな肩書いらない。海を越えてまで呼ばれるなんて。

「そうだ。彼の名はキリ。南の大陸三つの尾を青空に帰した勇者。」

また魔女は。まったくこの魔女は。

心底うんざりだ。

傭兵達は顔を見合わせる。

そして揃ってキリに膝を折る。

「我らと共に来てくれ。守護竜の守護者キリ。」

ひぃっ

強面の傭兵男四人が膝を着いて礼をしているっ

何かしら依頼されて断ったら斬られるパターン?

請け負って上手く行かなくても斬られるパターン?

もうリスクしかない気がする。


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