表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】死ぬまでに叶えたい十の願い  作者: 木風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/10

第二話

翌日、エリアーナは白い紙に願いを書き出した。

羽根ペンを走らせながら、彼女は少し微笑む。

これらの願いは、長い間、心の引き出しにしまっておいたものたちだった。


一、街に一緒に出かけたい。

二、野原でピクニックがしたい。

三、星空を一緒に見たい。

四、音楽会に行きたい。

五、海を見たい。

六、温かいスープを一緒に作りたい。

七、馬で駆けたい。

八、図書館に一日閉じこもりたい。

九、一緒に夕陽を見たい。

十、


書き終えて、エリアーナはしばらく最後の一行を見つめた。

十番目の願いだけは、他とは性質が違う。

それはエリアーナが自分のためのものではなく、エドヴァルトのための願い。


三年間、彼が自分を遠ざけていた理由をエリアーナは知っていた。

好きな人がいるのに、望まない結婚をさせられた。

その鬱屈した感情を、どこにも向けられないまま、ただ沈黙で封じてきたのだろう。


紙を折りたたみ、エリアーナはエドヴァルトの執務室に赴き、扉をノックすると、しばらくして「入れ」という声が聞こえた。

広い机に向かっていたエドヴァルトは、書類を手にしたまま顔を上げ、エリアーナを見た。


「願いのリストを持ってきました」


エリアーナは紙を差し出した。エドヴァルトはそれを受け取り広げた。

彼の目が文字の上を滑っていくのを、エリアーナは静かに見ていた。

一行一行を読んでいく彼の表情は、ほとんど変わらなかった。

しかし最後の行に来たとき、わずかに動いた。


「十個目が書いてないが」


と言った顔は、眉が寄り、また離れた。


「最後の願いは……今は言えません」

「なぜ言えない」

「時がきたら。お伝えします」

「そうか」

「では、順に叶えていただけますか」

「ああ」

「ありがとうございます、殿下」


エリアーナが一礼して部屋を出ようとすると、エドヴァルトが声をかけた。


「エリアーナ」


名前を呼ばれた。

三年間で初めてのことに、エリアーナは驚いて振り返った。


「……体の具合はどうだ」


短い問いだった。

しかしエリアーナには、その問いがどれほどの重さを持っているかがわかった。

彼がそれを訊くことがどれほどのことか。


「今のところは、さほど辛くはありません。ありがとうございます、お訊きくださって」


エドヴァルトはそれ以上何も言わないまま、エリアーナは静かに部屋を出ると、彼女は一度だけ、長くゆっくりと息を吐いた。

ブックマーク、★★★★★、リアクション

よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ