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13段目 3層目 その2


「う……嘘……。」


「なんでこんな……。」


 康太と渚がキングスケルトンだと思っていたものは南海で

 南海だと思っていたものがスケルトンだと解ると

 それに対する後悔の念のようなものを呟いた。


 だが、キングスケルトン。

 俺は2人と友達になってから日は浅いが

 少なくともお前よりかは付き合いがある。



「この程度で後悔の念に押し潰される訳が無いだろ?」


『何?』


「てめぇ、なんて事しやがる!!」


「この骨野郎!南海に何させてくれてんのよ!!」



 だが渚、何かさせられたのは渚の方だからな………?


 康太も渚も南海に攻撃させた事を

 怒りに変え、それをキングスケルトンの討伐に向け

 康太は拳で、渚は杖で金色のキングスケルトンの顔面をぶん殴っていた。



「南海が負った傷の分、倍返ししてやるからな!?」


「倍で済ませる訳無いでしょ!?

 10倍、いや……1000倍で返してやるんだからね?」


 100倍は何処にいったのか、とも思ったが

 怒りの矛先が金色のキングスケルトンに向いている今

 水を差すのはこの場に相応しくない。



『はっ!何かと思えば拳に杖での打撃だと!?

 斯様な攻撃が我に通じるとでも思っ!?』


 金色のキングスケルトンの言葉を遮るように

 康太も渚も拳と杖で猛打とも言えるような攻撃を叩き込んだ。



「お前、金色と派手だが馬鹿だろ。」


『貴様、我を馬鹿にするか!』


「当然だ、人の感情を弄んだ割に感情について理解していない。

 これ程馬鹿な話はないだろ?

 利用するつもりでもあったならば、もう少し考えるべきだったな。」


 康太は拳から血が出て、渚は杖を持つ手から血が出ていた。



『だがこの程度の攻撃、我には通じぬぞ!!』


「通じる、通じないとかそういう話じゃないんだ。

 お前は俺達の堪忍袋の緒を切らせたんだ。」


『だ……だが!このような攻撃をしても

 お前らに何の利点がある。』


「だから馬鹿だと言っているんだ。

 そもそも損得勘定の問題じゃないんだよ。

 それにお前、勘違いしているな?

 2人がただ無暗矢鱈と、怒りに任せて

 お前に殴りかかっているとでも思ったのなら

 やはりお前は馬鹿、決定だ。」



「「コンビネーションスキル!『デュアルストライク!!』」」



 金色のキングスケルトンに対し康太が短剣を手に取り

 突き、そこに渚が杖の先で短剣のポメル、柄頭と呼ばれる部分を叩き

 2人の攻撃を一撃に籠めた2人1組による攻撃。


 突く場所は欠点らしい欠点が見当たらなかったからかもしれないが

 鎖骨と上腕骨を繋ぐ、右肩の部分へと叩き込んだのだった。


 それによって金色のキングスケルトンは手に持っていた

 金色の杖を腕ごと床に落とす事となった。



 ちなみに何かコンビネーションスキル、とか言っているが

 そんなものが存在する、という話は2人から聞いた事が無い。

 多分、とってつけた名前だと思う。


 だが、2人は南海を傷つけた事。

 それをさせられた事をあの金色のキングスケルトンに

 攻撃をする事に感情を向けたんだと思う。



『がぁっ!?』



 そして今度は康太が上から頭蓋骨に短剣を突き立てるようにし

 そこに渚の杖の先が叩き込まれる。

 次はその表情の一切が不明な頭蓋骨が標的だろう。


 金色のキングスケルトンが残った左手で短剣を辛うじて掴んだ事で

 2人の連携攻撃の威力が甘くなり、左手の骨は何とか出来ても

 頭蓋骨に刺さるには威力が足りなかった。



「それで終わると思ったか?

 俺が怒っていないとでも思ったか?」



 その短剣の柄、そして杖の先の上には

 既に俺が召喚した自動販売機が待ち構えていた。



「人の感情を逆なでると言う事は、こういう事になると

 存在しない肝にでも銘じておけ。」


 2人は俺の自動販売機が重力で落下するのに合わせ

 康太は短剣を手放し、渚は杖の先を退いた。


 そして短剣のポメルに自動販売機が落下し

 そのまま金色のキングスケルトンの頭蓋骨へと

 康太の短剣が突き刺さった。



『がああああああああああああ!!!』



 それは頭蓋骨だけで済まされる事は無かった。

 そのまま自動販売機の重さによって

 金色のキングスケルトンは胸骨の辺りまで砕けるのが見えたし

 何より今、まさに自動販売機の下敷きにすらなっていた。


 まぁどこから喋っているのかが解らないが

 叫ぶ位だからダメージはあったのだろう。


 だが、あれもスケルトンである事は間違いない。

 このまま再生し始める事すら考えられる。


 それ以上に心配なのは南海だ。


 未だ巨大なスケルトン姿から元に戻っていない。

 再度鑑定するも、名前がキングスケルトンとされている以外

 細かい情報が一切手に入らない。



「ディスペル!」


 渚がありとあらゆる魔法効果を打ち消すディスペルを放つも

 その姿が元に戻る事が無かった。


 そして金色のキングスケルトンは力があるのか

 自動販売機を起き上がるように倒し、そのまま再生し始めていた。


 だが、それも俺の手ではなく

 渚の手によって解決された。


「康太!」


「!?」


 康太はまだ手の中に残っている1本の短剣を

 金色の杖の先端、禍々しいとでも言うべき真っ黒い

 石のような、宝石のような部分に短剣を突き立てると

 途端に南海の姿が戻った。


「アプレイザル、鑑定したらそれが原因だったとはね。」


 そうだったのか。

 キングスケルトンそのものに鑑定するのではなく

 あの杖そのものを鑑定すれば良かったのかと

 俺が思いつかなかった部分を、どうやら渚は

 魔法による鑑定、アプレイザルで見抜いたようだ。



「あいつの本体はあの王冠よ!」


 流石に康太と渚ではないから、俺は名前を呼ばれただけで

 理解が出来ないからこそ、弱点となる場所を

 渚が声に出さざるを得なかったのだろう。


 しかし即座にそれに対応してきたのが

 金色のキングスケルトンだった。


 それまで背中に羽織るようにしていた金のマントが

 内側の赤い部分が表側になり、そして王冠を包みあげた。



『我が杖の謎と王冠の謎を解いたとしても

 この外套を貫く事は出来ぬ!!』


 その言葉が事実か否かはすぐに解った。

 渚の発声に沿って、既に康太が動いていて

 短剣を王冠に向けていたが、それが包んでいるマントを刺すも

 刺し切る事が出来ずに、弾かれていたからだ。



『斬撃、刺突、衝撃、魔法からの耐性の強い

 この王の外套、易々と貫けると思うな?人族よ……。』


 金色のキングスケルトンは康太の攻撃の直後に

 そう言い放ったが、それが事実だとするならば。


 今の俺達に、打てる手の少なさに頬を汗が伝ったのだった。


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