春一番がやってきた
すみません、1ヶ月お待たせしてしまいました;;
大地震などが起きたのもあり、小説なんて投稿している場合なのだろうかとも思いました。しかし、ただの一学生にできることは限られていて、いまの自分の力のなさを思い知らされました。
わたしにできることはとても少ないです。けれど、少しでも、できることをします。
小説を書くことがそのうちのひとつになってくれれれば、と思います。
出会いというのは突然やってくるが、別れだって同じように突然である。
結局、リックさんは3日ほど小屋にいた。
あのあと、みーちゃんがリックさんのものと思しき大きな荷物をどこからか持ってきた。リックさんは最初の1日はベッドで過ごしていたのだが、それ以降はベッドをわたしとみーちゃんに譲り、自分は寝袋で夜を過ごすようになった。
荷物が戻ってきたついでに、石鹸やタオルなどの生活用品も少し譲ってもらった。久しぶりに石鹸をつかって体を洗えたのは嬉しかった。
これで温泉があったら最高なのに・・・・・・。
ついつい贅沢を考えてしまう。あわててブンブンと首を振って「生きてるだけマシだ」と考え直す。しかし温泉は入りたい。だって日本人だもの。温泉大好きだもの。あの湯気が漂う岩風呂・・・湯気の向こうの風景・・・涼しい風・・・スベスベの肌・・・ああ・・・・・・。
ばしゃりと、ひんやりとした水で泡を流しながらため息が出る。時刻は空が白んでいる早朝。リックさんに遭遇しないよう、この時間帯に水浴びをするようにしている。
まあリックさんは(ピンクだけど)イケメンだし、(多分)わりと年上だし、女の人の裸とか見慣れてんじゃないか・・・・・・?ていうか、ときどきものすごく怯えられてるような気がするんだよね・・・・・・なんで?
そしてどうにかこうにか平穏に過ごせていたところ、突然リックさんが荷物をまとまだした。
おどろいて止めたが、無言で手を振り払われた。それでも、数日間の共同生活で得た数少ない言語知識に身振り手振りをまじえ、なんとか出発は翌朝にしてもらった。
そもそも言葉が通じないうえに、相手は全快した若い男性だ。ピンクだけど。止める術もない。
リックさんを止めるのをあきらめ、森の散策用に常に用意してある水と食料をつめた袋を差し出した。するとリックさんは目を見開いて、じっとわたしの顔を見た。わたしも見つめ返していると、ぼそっと何かつぶやいて袋を受け取った。
たぶんお礼の言葉だ。わたしは首を左右に振って、微笑んだ。
実際、この数日間はとても楽しかった。
言葉が通じないという不便があったとはいえ、これからまたみーちゃんと2人きりになるのは少しさみしい気もする。みーちゃんもリックさんに懐いていたようだし。ときどき2人でじゃれあっていたし。
しかし、もともと彼は行き倒れだ。きっと彼の帰りを待っている家族がいるだろう。
そして、みーちゃんがリックさんを拾って来た日から5日目の朝・・・・・・。とうとうリックさんを見送るときがきた。
小屋の玄関の前でみーちゃんと2人ならんでリックサンを見送った。
「オミ、スマージ。 」
「スマージ」は「ありがとう」という意味だと思う。おそらく。全く確証はない。なんとなくそんな感じ。
わたしは微笑んでリックさんの手を握った。そして通じない言葉で別れの挨拶をする。
「どういたしまして。リックさん・・・・・・今度は、というより、むしろ二度と行き倒れないでくださいね」
いやもう、本当に。
ここ数日でわかったことだが、リックさんは何事においても不器用なのだ。
水を運ばせる、こける。薪を割らせる、指切断ギリギリ。収穫する、なんでか身が半分ほどちぎれる。火をおこす、火傷する。そのたびに治療を施し、身振り手振りをまじえてお手本を実演し、何度も指導した。
正直、行き倒れたら今度こそ死ぬんじゃないかという不安でいっぱいだ。
みーちゃん、ナイス。君はひとりの尊い命を救ったんだよ。
やったね!とみーちゃんに目配せするとみーちゃんは誇らしげにフンと鼻を鳴らした。
みーちゃん素敵!!
しかしリックさんは本当によく手伝ってくれた。森に狩りにいったり野草を採りに行くときなんかはすごく心強かったし。ぎこちないながらも、昨日にはやっと様になってきたし。なんかもう、幼子を見守る母親みたいな気分だった。いまは見送りだけど。
でも、また会いに来てくれるといいなぁ。
一度リックさんの手をぎゅっと握って、すぐに離した。名残惜しいものの、よくよく考えたらみーちゃんがいるんだっけ。ちらっとみーちゃんを見ると、「なーぅ」と返してくれた。わたしは嬉しくなって、リックさんを見ながら「わたしは大丈夫ですから」という意味を込めてにっこりと微笑んだ。
リックさんは複雑そうな顔をしながらも、ため息をつくとすぐに踵を返した。みーちゃんと2人でリックさんの背中が見えなくなるまで見送った。
あれからさらに1週間が過ぎた。わたしとみーちゃんは相変わらず仲良くやっている。
しかし、そろそろひとつの問題が浮上してきた。
この土地には、旬がない。
つまり、1年中同じ味覚なのだ。がんばっていろんな料理を試してはいるが、限界が見えてきた。そもそも料理をするのはわたしひとりだし、決して料理人ではない普通の女子高生だったわけだし、レパートリーはどうしても限られてくる。
あー、どうしよう。
みーちゃんの喉をなでながら悩むが、一向に解決策は見出せない。「どうしよう、みーちゃん」とみーちゃんを見つめてみる。すると、みーちゃんが「どうしたの?」とでも言いたげに首をかしげた。
あー、かわいすぎるんですけど!どうしよう!!
とりあえず悩みを放り投げて、みーちゃんに抱きつきながらごろごろすることにした。
わしゃわしゃと首をなでてやるとゴロゴロと喉を鳴らした。体が大きいだけに派手に音が鳴る。
なんか……また大きくなった?
確かめるように前足や胴体全体を触っていると、不意にみーちゃんと目が合った。ベロンと頬をなめられる。ザリザリしているけど、かわいいので許す。ていうかかわいい。
むぎゅっと抱きついたら、首筋をなめてきた。そのまま甘噛みされる。かわいいけど、かわいいけど、くすぐったい・・・・・・!
「・・・・・・ぎゃ!みーちゃんたらそんなとこ舐めないでよ!!噛んじゃだめだって!・・・・・・きゃー!!」
バターン!!
くすぐったくて今にも笑い出しそうになったとき、扉が派手に開いた。笑いも吹っ飛び、驚いて開け放たれた扉を見つめる。
そこには、2人の男性がいた。1人はぜいぜいと息を荒げている。そしてピンク。・・・・・・ピンク?
「あー、リックさん」
相変わらず落ち着きがないな。
とりあえずみーちゃんから離れ、リックさんの背中を擦ってやる。そこでもうひとりの男性の存在を認識した。
今度は普通の明るい茶髪の好青年で、わりと日本人よりの顔立ちをしている。超イケメン!というわけではないが、清潔感がある。年上の奥様方に好まれそうだ。
わたしと目が合うと、好青年はへらっと笑ってひらひらと手を振った。わたしも手を振り返す。このふたりは何をしたいのか、いまいちわからない。
「ぐぅぅぅ・・・・・・」
突然みーちゃんが不機嫌そうな唸り声をあげた。
ありゃ、と思ったときには2人はみーちゃんに突撃をくらい、小屋の外へ吹っ飛んでいった。
みーちゃんの凛々しい姿に2人の存在を忘れ、おもわず拍手をしてしまった。
遅ればせながら、感想を下さった方、そしてレビューを書いてくださった方、ありがとうございます!!
あまりにも内容が素敵だったもので、ひとりで「うっひょーww」と悶えてしまいました(ノ∀`;)
そしてお気に入り登録してくださっている方が・・・・・・180件超えた・・・・・・?
ありがとうございます!




