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プロローグ

完全に見切り発車。今後どうなるのか、作者にもさっぱりです。なんとなくこうしたいな~というものはあるので、何とかがんばります。



さっそくお気に入り登録&評価してくださった方、ありがとうございます!!小説情報見た瞬間、息が止まるかと思いました。作者感激です。


のんびり更新になると思いますが、楽しんでいただければと思います。わたしも満足いただけるような作品にできるようがんばっていきます!


最後のほうに都合で修正入れました。後書きに詳細書きます。(11.2.11)

 チュンチュン


 朝日の光が窓から入ってくるのと同時に目を覚ました。普通の朝。そう、普通の朝なのだ。どこからか、かわいらしい鳥の鳴き声も聞こえてくる。


 しかし、わたしは知っている。この鳴き声の主は、かわいらしいという表現とはかけ離れたショッキングピンクの羽毛に包まれた、全長2メートルはありそうな巨鳥であるとこを。


 わたしは知っている。ここが大木が鬱蒼(うっそう)と生い茂る森の中にある小さな家屋の一室であるということを。


 わたしは知っている。ここで生き延びるためには、今すぐひとりで起き上がり、ひとりで着替えをし、ひとりで顔を洗い、ひとりで朝食をつくり、ひとりで畑の雑草を抜き、ひとりで畑に水をまき、ひとりで昼食をつくり、ひとりで洗濯をし、ひとりで掃除をし、ひとりで夕食を作らなければならないことを。


「あたーらしいっあーさがきたっ」


 そんな歌さえも誰も聞いてくれない。とても(むな)しい。


 とりあえず、ベッドから起き上がり、着替えをした。シンプルな白い七分袖のワンピース。本当にシンプルで、ワイシャツについているような白い小さなボタンのほかには一切の装飾もない。初めてここに来たときに、一番最初に見つけた服である。

 それを身につけると、同じく小屋の中で見つけた大きな麦藁(むぎわら)帽子をかぶる。同じく小屋の中にあった木造のバケツを2つと手ぬぐいらしき白い布を持ち、小屋の外へ出て、1分ほど歩いた場所にある泉に行く。

 泉の水は非常に澄んでおり、水底まで確認できるくらいだ。ものすごく美しい泉である。水もきれいなものに違いない。しかし、いくらきれいとはいっても生水は恐ろしくて飲めないので、調理に使うときは必ず沸騰させてからつかっている。

 その水をバケツの1つで汲み、泉の脇でバシャバシャと顔を洗う。手ぬぐいで顔を拭いたら、もうひとつのバケツに水を汲む。そして、両手に1つずつ水をいっぱいに汲んだバケツを持ち、小屋へと戻った。


そこで、わたしはこれからの生活を大きく変える運命の出会いを果たすのだ。










 それは1ヶ月前の話になる。通っている高校は新学期が始まったばかりだった。

 やっと雪が溶けて春の兆しが見えたころ、わたしは学校指定ジャージを着込み、校舎の裏にある園芸部用の花壇を耕していた。ザクザクと大きなスコップで土を掘り起こしていく。全身の筋肉をフル稼働させてひたすら畑を耕した。

 ある程度、畑を耕して一息ついた。汗をぬぐい、水を飲んで休憩をした。そして、いよいよジャガイモの種まきとトマトの苗つけをしようと、種芋とトマトの苗が入ったダンボールを両手に抱え、足を踏み出した。


 そして、落ちた。


 地面なぞ初めからなかったかのように、ビュンと垂直に落下したのだ。落ちる瞬間、「えっ」と喉から小さく声が漏れたが、そのあとは悲鳴すらもあげられなかった。とにかく状況が把握できず混乱しているうちに、いつのまにか泉の前に突っ立っていたのである。種芋とトマトの苗をかかえながら。



 まあ、そんなこんなで泉の周囲を探索しているうちに小屋を見つけた。

 小屋には、誰かが住んでいたのだろう、ある程度の生活用品と女性用の衣類があった。ついでに塩、胡椒(こしょう)などといった調味料も見つけた。なじみのある野菜と似たような形をした食物もあった。しかし、床やベッドの上にはうっすらと埃がつもっており、しばらくの間、小屋は留守になっていたようだ。

 しばらく悩んだが、どうしようもないのでここに居座ることにした。小屋の主が現れたら、とりあえず謝って、その後のことはそのときになったら考えようと開き直った。

 外へ出て、小屋の周囲を散策していると、何も植えていない畑を見つけた。土はまだ固まっておらず、少し掘り返したらうにうにと元気なミミズが出てきた。気候も丁度いい感じだし、これは儲けものとジャガイモとトマトを育てることにした。


 そしてトマトの苗とジャガイモの種芋を植えた翌日、水をあげようとバケツと柄杓(ひしゃく)を持って畑に向かった。そこで見た光景にひとりで驚いていた。ジャガイモを植えた場所には小さな芽がたくさん出ていた。トマトの苗は倍ほどの大きさに成長していた。

 あれ?早すぎないか?とも思ったが、そのときはたいして気にせず水をあげた。

 そしてまた翌日、今日もかわいい野菜たちに水をあげようと畑へ行けば、トマトはさらに5センチ、ジャガイモは15センチくらい背を伸ばしていた。また不思議に思ったが、気にせず水をあげた。

 そして1週間後、ジャガイモとトマトは花をつけた。

 さらに1週間後、週明けにはジャガイモの、週末にはトマトの収穫期がきた。

 「牧○物語か!」とひとりでつっこんだ。さみしかった。





 なんやかやと1ヶ月、わたしはうまく生活していた。 森に入って山菜をとり(『わらび』やら『ぜんざい』やら『ふきのとう』まであった)、罠を仕掛けて小動物を狩り(ウサギっぽいけど青色だった)、ミミズを餌に泉で魚を釣った(なんでかまぶしいレモンイエローだった)。定期的に泉で水浴びをした。森に獰猛な生物はいないのか、獣に襲われるということもなかった。ジャガイモとトマトは新たに栽培した。小屋の中で、この世界の野菜のものと思われる種を見つけたので、それも栽培している。気候も時々雨が降る程度の穏やかなものだった。あこがれのスローライフである。

 だがしかし、ひとりきりの生活はとてもさみしい。収穫を終えても喜びを共有してくれる人もいないし、ボケても誰もつっこんでくれない。ひたすら虚しい。ベッドに寝転がりながらそんなネガティブなことを考えていると、ポロリと涙がこぼれた。


 そして、冒頭に戻る。



「にゃーお」


 小屋の中には子猫がいた。白に黒の縞模様。小さくて、とてもかわいい。コシコシと自分の前足で顔をこすって再び甘い声を出す。きゅるんと丸い目をこちらに向ける。


 とてもかわいい。


 1歩、子猫に近づいてみた。逃げる様子はない。また1歩、近づいてみる。子猫はこちらに気づいたのか、キョトンと首をかしげる。


 か、かわいい・・・・・・!


 おもわず立ち止まると、子猫のほうがこちらに寄ってきた。なぁなぁ言いながら、足に顔を(こす)りつけてくる。


 かわいすぎる・・・・・・!!


 わずかに震える手でそっと抱き上げると、なーんと鳴いておとなしくなった。わたしは嬉しくなって、子猫に話しかけた。


「あなたもひとりなの?よかったら一緒に暮らそう?名前はみーちゃんでいいかな」


 返事をするように「なうん」と鳴いた猫を抱いて、わたしは胸がいっぱいになった。


 これからは楽しい生活になりそう!


 思いを胸に、わたしは今日もスローライフを過ごす。




 だがしかし、わたしは知らない。この子猫が1年後には虎のような外見になり、大きさも全長2メートルを越してしまうことなど。この子猫がある騒動の発端になることを。


 それを知らないわたしは、「お魚焼いてあげますねー」と上機嫌に子猫に頬ずりをした。









じゃがいも、トマトの種植え期は北海道のものです。作者は道産子ですので。本州はまた違うかもしれません。


修正・詳細・・・最後の子猫が虎のようにになるまでの期間を半年後から1年後に修正しました。(11.2.11)

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