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姫と騎士団は小川で出会う



「やったわ!ようやく王城を抜け出せたわ!!」


エリーは喜びと感動で、危うく叫びそうになったのを堪えた。


エリーはその後もしばらく馬車を走らせ、幾つもの町や通りを走り去り、やがて国境沿いの細い馬車道に入った。


もう人気は全くと言っていいほど無く、日も暮れようとしていた。


「はあ・・・結構頑張ったわ・・・もうくたくた!はやく夜ごはん食べたい・・・」


エリーは疲れ果てた。お昼は何も食べておらず、挙句の果てには水も飲まず何時間も手綱と格闘していたことでもうご飯を食べる気力すら薄れてくるのである。


「でも、何か食べなきゃダメよね・・・」


エリーは最後の力を振り絞って、狭い馬車道の脇に通る小川の水辺に馬車を進ませ、そばの木に馬を繋いで、自分の重たい足をやっとのことで動かし、一口川の透きとおった冷たい水を口に含んだ。


い、生き返ったかも・・・だいぶ。


あのままだったら、私ポックリ逝ってたわね。うん、頑張ったわ私!


エリーは顔や腕まで水に浸した。


「気持ちい〜!何だか私このまま死んでもいいかも・・・って、ダメダメ!!ダメよ、自分!何考えてんのよエリー!ミーフェを捜すためにお城抜け出したのは誰よ!?そう、この私よ、わ・た・し!!」


エリーは1人興奮気味に叫びながら、馬車の荷台から食料入りバスケットを取り出した。


「えっと・・・この小麦粉とー、ベーコンと卵でいいかなぁ?」


エリーの特技追加。その名も独り言!


「あ、フライパンあるじゃない!これ使おーっと♪」


エリーはゴミ袋に入っていた古いフライパンを取り出して、独り喜んだ。


それから小川のそばに石を集めて丸く囲むように置き、その周りに生えている草を抜き取ってその囲いの中に投げいれた。


「私一応自炊できるんだから、見てなさいミーフェ!下町育ちの令嬢舐めんじゃないわよ!?」


なぜかミーフェにむかって再度あの台詞。


自分でもわけが分からずあれこれ遠く遥かに居るミーフェに愚痴りながら、エリーはちゃきちゃきと食事の準備を始めていった。


夜に使うランプに火を灯してその火を石の中にくべた小枝に移した。


火の加減を調節した後、小麦粉に水をいれてちょうどいい大きさにこねて丸めたものをその火のなかに投げいれたエリーは、熱したフライパンにラードを薄くひき、その中にベーコンを薄く切ったものを数枚、卵を二個割りいれた。


フライパンの上でベーコンがジュウジュウ焼ける音と、風で木の葉が靡く音がそこらに響く。


「おいしそうじゃないのよ。おなか減ってきたじゃないのよ、もう!」


なんだかヒステリック気味になってきているエリー。


「・・・ミーフェったら、何で急にいなくなっちゃうの?心配するじゃない・・・・・・・」


混乱したままきゅうに悲しくなった。もう心の制御が出来ていない。


「ミーフェに会ったら、頭ひっぱたいてやるわ。今度こそ、私怒ったわ・・・ぐすっ」


エリーの涙腺が緩み、目がきらりと光った。




「あ、居た!!おーい、エリーさんだろあんたぁ!おーい?」


ふいに背後から男の声が聞こえ、驚いたものの、エリーは自分が名前で呼ばれたことに気づき、振り向いた。


するとそこには、馬にまたがった騎士団・・・のような男軍団が。


よく見ると、ヴィアナ王国の国旗や紋章が見られる。


「あ、あなた達は、一体?」


エリーはとっさに立ち上がった。初めてみる顔の人たちだ。


全員を凝視していくと、1人の騎士が目にとまった。さっきから叫んでいた騎士の隣だ。


薄い空色の髪を風に靡かせ、優しそうで、それでいて強そうな瞳。もしかしなくても・・・


「バ、バースさん!!!!」


あの時舞踏会でミーフェと踊っていたその人である。


バースはまだ青年で、騎士の服装がそれを隠している。


しかし、屈託ない笑顔はやはりミーフェと同じようにまだ幼いのだった。


「はじめましてかな?エリー・リーブ・マフィー・グルニエールさん。私はバース・エグフェイネス・クリエストだ。カントラスの騎士団長をしている。」


バースはゆっくりと、でも気張った様子は見せずに挨拶した。


な、なんかすごい威圧感と優しさが伝わってくるわ・・・ミーフェも惚れるわけだわね。うんうん。


エリーは勝手に納得しながらバースや他の人と握手を交わした。


「それで、バースさん達はなぜここに?任務でしたの?」


エリーは出来る限りの敬語を尽くし、笑顔で尋ねた。


バースは首をかしげた。


「確か私は、あなたの護衛で参ったと思ったが・・・?王宮から抜け出したと侍女から手紙を受け取った後、こちらへ馬を走らせてきたのだ。ミーフェに頼まれてな。」


「え?そうだったんですか。護衛が来ることは存じておりましたが、まさかあなただとは思っておりませんでしたわ。」


エリーは驚いて目を見開いた。


ミーフェはそんな事なにも言ってなかったので、今はじめて聞いたのだ。


「あ、そうだわ。バースさん達は、もうお夕飯を召し上がったのでしょうか?」


エリーは思いついて聞いた。


「え?いや、まだだが、それが?」


エリーは、バースと騎士団の部下たち総勢七名に、夕食を招待した。とても疲れていた騎士団の人たちは、喜んで受け入れた。






一話一話が投げやりな為か、一話一話が難しいんです・・・。

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