出会い降る舞踏会 <下>
エリーは早速、公爵に一番聞きたかったことを尋ねた。
「どうしてお父様は私を嫌うのですか?」
公爵はいきなり迷った。
何と答えるべきか・・・
「・・・嫌っているわけではない。ただ・・・」
「ただ?」
公爵はエリーの挑むような眼差しを遮り、再び夜空を見上げた。
「ただ、お前の姿がリリアンと重なって、また死んでしまうのではないか・・・と。だから、また死んでしまっても悲しくないように、軽蔑した・・・」
エリーはびっくり仰天した。自分の父はそんなコトを考えていたのか―――!!
そして、次の瞬間、エリーは物凄い事をやってのけた。
「バシンッッッ!!!!!」
公爵の艶やかな頬に、なんとビンタを繰り出してしまったのだった。
「・・・・・いた」
公爵はちょっぴり呟くと、エリーに眼を向ける。
エリーはぶちぎれた。
「なんなのよその理由!私はそんなコトのためだけに軽蔑させられてたってわけ!?意味わかんないわよ!ってか、・・・・いたって!遅いわよ反応!しっかりしなさいよ私の父!」
エリーは半ばヒステリック気味で息切れを辛うじて堪えた。
一方公爵は、ポカンと口をあけてそのまま放心状態に陥った。
そして、その後勢いよく笑い出した。
「あっはっはっはっはっは!!!」
「あ!?なんか文句でもあんの!」
「ップ・・・別に。いやーよかったよかった」
「何がよ」
公爵はその後から急に口調が変わった。
「わが娘と新しい娘は全く似ていない。どうやら私の間違いだったようだ。しかし結果私は君が面白い子だと感じた!それは・・どういう意味か、分かるかね?」
エリーも口調を変えた。
「わ、分かりません。」
すると、公爵はよしよしとエリーの頭を撫でた。
「私は、今このときに初めてエリーは私の娘なんだと感じることが出来た、ということだよ」
「!!!!」
エリーは公爵を見上げた。
「私の今までにしたことを、許してくれるかい、エリー」
公爵はそっと言った。
途端に、エリーの目からは涙が溢れた。
「う・・・うん・・・」
エリーは思いっきり泣きはらした。
その後、貴族の住む通りでは、グルニエール家の公爵とご令嬢は大変仲が良いと噂が流れた。
そして実際、そうなのであった。
やっと和解できました。