緑葉は一時の光を見上げ
「ミーフェ、今日はっいいお天気ですからぁー乗馬ののののー練習をし、しましょう!?」
エリーは久しぶりの敬語に挑戦し、失敗した。
ミーフェは呆れて頭を抱え込んだ。舞踏会にもいったという令嬢がなんでこんなんなのか聞きたい。
「あんたねえ・・・なんなのよその宇宙人語・・・。私そんなのであんたと一緒に歩きたくないわ。」
「うっ・・・ごめんミーフェ!!私、やっぱり行き当たりばったりが丁度いいみたい♪」
「丁度いい♪・・・じゃないわアホタレーーーー!お前は何考えとるんじゃ!?」
「まあまあ、とりあえず、行きましょ乗馬!」
エリーは乗馬の服に着替えるため、ミーフェを引きずりながら着せ替え部屋に急いだ。
公爵はすっかりエリーを気に入り、乗馬も勿論許可してくれたのでエリーは毎日のように馬と戯れていた。
ミーフェは乗馬のプロフェッショナルだったので、エリーはミーフェに教えてもらっていた。
「今日は湖の方へ行きたいわ、ミーフェ」
エリーは馬に跨ってミーフェに言った。エリーはもう大体の基礎は覚えたので、今は何処へでもいけるようになっていた。
「そうね・・・ここは敷地も沢山あるし・・・じゃあ湖行ってみる?お弁当もって」
「っわぁ!やったぁ!侍女にいって用意してもらいましょ!」
エリーは馬から飛び降りて侍女の方へ駈けていった。
「じゃ、出発ーーーー!」
エリーは侍女に渡された(正確に言うとエリーがねだった)弁当を自分の前に置いて叫んだ。
エリーとミーフェは手綱を軽く揺らした。
馬はブルルッと一声あげるとゆっくり足を動かし始めた。
「気持ち良いね、乗馬!大好き♪」
エリーが肌で風を感じながら一言。
ミーフェもつられてほんわか呟いた。
「本当・・・なんかこのまま眠ってしまいそう。」
「・・・あ、そういえばミーフェさ、舞踏会の時誰かと踊ってたよね?あの人誰なの??」
エリーは急に思い出してミーフェの方を見た。
その途端ミーフェは顔を赤らめた。
「な、何で知ってるのよ!?」
「えー・・・だって私ダンスの音楽一回止まった瞬間すぐに抜けてあなたを探したもの。そしたら・・・ねえ♪」
エリーは嫌らしい目つきでミーフェを睨んだ。
ミーフェの顔はいまや赤カブの如く真っ赤だった。
「だって・・・バースが踊ろうって言うから・・・!」
「バースゥ?それは、もしかしなくてもカレの名前ね?まあ、すごいわ、ミーフェったら。恋もプロフェッショナルねえ!」
「!!!ちょっと意味分かんないわよ!バースとはただの―――」
ミーフェは思わず馬から落ちそうになった。
エリーはふふふと笑ってミーフェの肩をポンポン叩いた。
「大丈夫よ、私誰にも話さないから。お昼時に詳しく聞かせてもらうわ♪」
「・・・・・・・・」
ミーフェは悪魔という存在を、たった今確認したのだった。
「ふう、ここね!始めて来たけれど凄く綺麗な湖!」
エリーは馬から下りてうーんと伸びをした。ミーフェもおりて馬についている手綱や蔵を外すと、馬に草を食べさせた。
「あそこに魚が居るわ。見物しながらお昼をいただきましょ」
(そしてミーフェとバースの情報もいただくわ!)
ミーフェの言葉に、エリーは密かに付け足した。
お昼ご飯は小麦のずっしりとした美味しいパンと、麻布にくるまれたチーズ、それにありとあらゆる林檎や桃などのフルーツだった。
きっとエリーがいきなり厨房に駆け込む勢いで『弁当!!』なんていったから、すぐさま準備したのだろう。
しかしエリーはこういう味が村人の時を思い出させて懐かしく思った。このパンは大好きだ。
エリーはパンの欠片を口に放り込むと、ウーンと舌をうならせた。
「もいしいい!もてえ、もいひいよ、ヒーへ!」
口の中はパンでいっぱいなので何を話しているのか分からない。
「うんうん、分かるわ〜。もっちもちで美味しいのよね」
ミーフェは事も無げにエリーの言葉を理解してのけた。
エリーは嬉しそうにブンブン首を振ると、ミーフェにもパンを勧めた。
ミーフェはパンを一口ちぎっていると、急に何かを思い出したようにうつむいた。それをエリーは見逃さなかった。
「ミーフェ、そういえば・・・バースとの関係は???」
ミーフェは急に普通の口調に戻ったエリーを睨みつけて、それから深くため息をついた。
「・・・ただの幼馴染よ。小さい頃、私は騎士だった父に武術を教えてもらってたんだけど・・・そこにいつの間にかバースもやってきてバースも武術を習得したの。
当然女の私より体力とかあるわけだからバースはすぐ騎士になった。確か―――12歳だったかな。」
「!?12才!すごい・・・もしかしなくても最年少よね」
エリーは感嘆した。もしかして、ミーフェも騎士になれるのかな―――
ミーフェは湖の水面を進む鴨の群れを見つめながら苦笑した。
「ええ。バースは才能をかわれてドンドン出世の階段を駆け上って、今じゃ地方の立派な騎士団長よ。」
「ええ!?バースって人本当に才能があるのね!ミーフェは騎士にならないの?」
エリーはバースの凄さに感嘆した。そしてミーフェも騎士団長くらい出来るんじゃないかと思った。
ミーフェはその言葉を笑い飛ばした。
「あはははは!私はもう騎士よ?だって、貴女の専属騎士じゃない!」
「あ、そっか。」
そういわれれば、確かに確かに・・・
エリーは気づいた。
「で、ミーフェはバースと両思いなんだ〜☆」
「は!?なんでそうなんのよ!バースとはただのライバル!騎士団長も舞踏会に招かれてたからバースがいて、 たまたまあったから一緒に踊っただけ!」
ミーフェはカンカンになって叫んだ。が、エリーの様子を見て驚いたようになった。
エリーは口をあんぐりあけて、今にも泣きそうにしていた。
「・・・騎士団長・・・」
・・・お父さん・・・・来ていたのかしら。
「エリー?どうしたのよ、そんな萎れた菜っ葉みたくへこんじゃって」
ミーフェはポンポンとエリーの背中を軽く叩く。
エリーは目を少しだけ閉じて、また開いた。そこには、もう前の父を思う気持ちは少しも見当たらなかった。
「ううん、なんでもないわ。さあ!また乗馬しましょっ」
「そうね。コースは?」
エリーはミーフェにこっそりと小声で何かを伝えた。ミーフェは小声で「いいわよ、行きましょ」と言いながら頷いた。
そして、二人は空のバスケットを持って再び馬に跨ると、もときた道を戻った。
話がうまく進みません〜。
読んでくれた方、御免なさい・・・。




