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オニヒメ 〜 忌み子への転生 〜  作者: まつたけ
鬼娘の幼少期
1/16

1話 我が愛娘よ!!

初めまして。まつたけと申します。

今作で投稿は2作目となるのですが、今作では数値ありのステータスを使った転生系を書いてみたいと思い作りました。まだまだ到らぬ点も多いと思いますが、「ここおかしくね?」など指摘がありましたら是非お願い申し上げます。

 

「おぎゃー!おぎゃー!」


 今日この日、この世に生を受けた赤ん坊が元気な産声を上げた。

 子宝に恵まれなかった夫婦の待望の初めての子供。

 父親は顔をくしゃくしゃにして、分娩室から出てきた母親に労いの言葉を掛けた。

 しかし、念願の子どもを授かったというのに母親の顔は浮かなかった。


「どうした?浮かない顔をして」

「テュール・・・」


 母親は目元には溢れんばかりの涙が溜まっていた。

 母親が出産後に浮かない顔をする理由など相場は決まっている。

 1つは胎児が死んでしまったこと。所謂、流産である。

 しかし、先程確かに聞こえた産声からしてそれは有り得ない。

 あと考えられる理由があるとすればそれは──


「テュールさん、おめでとうございます。元気な女の子ですよ。ただ・・・【忌み子】と呼ばれる身体的特徴が確認されました」

「・・・っ!そうですか。うちの娘が・・・」


 赤ん坊を抱いて治療室から出てきた看護師にそう言われ、父親テュールは一瞬言葉を詰まらせた。


 忌み子、それは人とは異なった身体部位や能力を持つ全世界共通の侮蔑対象である。

 まあ、そう言った感情を持たない人間も少なくない数居るのだが。


 ようやく生まれた初めての子どもが忌み子。

 このことが母親ラーナの心労の原因となっていたのであろう。

 現に父親のテュールも不安に押し潰されそうになっていた。

 しかし、忌み子であれ何であれ、今看護師に抱えられている赤ん坊は夢にまで見た愛しい我が子には相違無いのだ。


「顔を見せてもらっても良いですか?」

「どうぞ。優しく抱っこしてあげて下さいね」

「ええ。もちろんです」


 テュールは看護師に抱かれたままの我が子を包まれていた毛布ごと預かり、意を決してその顔を見た。


「・・・お、おお!!」


 その顔を見た途端、テュールの頭に雷でも流れたかの様な衝撃が走った。

 一瞬の硬直の後、すぐに顔を蕩けさせていく。

 その顔は贔屓目無しに実に愛らしい顔をしていたのだ。

 泣き疲れたのだろう、今はスースーと心地良さそうに寝息を立てている。


 成長したら間違いなく行き交う人が振り返る様な美人になるであろう、顔には思わず医師や看護師達も見蕩れてしまった程である。

 それもそうであろう。

 この子の両親もまた美男美女。

 中でも母親ラーナは美しさにおいて彼女の右に出る者はいないと誰もが噂をする程の完璧なプロポーションを誇っているのだから。


「可愛い娘じゃないか!ラーナにそっくりだ。目元は俺に似ているかな?」

「もうテュール、はしゃぎ過ぎよ!」


 娘を見て大声ではしゃぐ夫を見て、さっきまでの暗澹とした気持ちは吹き飛んでしまったラーナは恥ずかしさに顔を真っ赤にし、声を張り上げる。


「ふふふふ、仲が宜しいのですね。ああ、それとテュールさん。お子さんがどう言った忌み子かここでは判断しかねますので、出来るだけお早く教会の方へ足をお運び下さい」

「あ、はい」


 そう言われ、ようやく自身の子どもが忌み子だと思い出したテュール。

 よく見ると子どもの額の少し上から2つの黒い突起が生えているのが分かる。


「ふむ。これは【角】か?となると、考えられるのは

小鬼(ゴブリン)】か?いや、それなら肌の色が違うな。後は【子悪魔(デビル)】・・・は羽や尻尾があるハズだし・・・うーん、分からん」

「まあまあ、その辺は教会に行けば分かるのだし、詳しい事はその時に聞きましょう?」

「あ、ああ。そうだな。お前も早く体力戻してくれよ?じゃないと一緒に行けないからな?」

「分かってるわよ」


 ここは惑星ヨグ=ソトース。

 剣と魔法とステータスの世界。

 世には魔物が蔓延り、その魔物を統轄する王【魔王】が世界征服を目論む。

 これは、そんな世界に紛れ込んだ異世界の魂が赤ん坊へと姿を変えた時に始まる1人の忌み子の物語。


 ◇◆◇


 明けて翌週、テュールとラーナは生後1週間の子どもグレイスを連れて、看護師に言われていた教会に来ていた。

 別に参拝に来た訳でも、出産の報告に来た訳でもない。


 2人が住むのは二グラス王国べレル領にあるムシャナという村である。

 一言でその場所を言い表すとすれば『田舎』。

 そんな場所であるため、教会と言えど人の出入りは疎らである。

 皆無と言っても過言では無い程である。


「ようこそテュール様、ラーナ様。この度はご出産おめでとうございました。治療院の方からは既に連絡を承っており、準備が出来ております」


 神官服を身に纏った白髪白髭の仙人の様な男の名はロンリー・シリウス。

 この教会に常駐する神父である。


 この教会に来た理由は【ステータス】の閲覧である。

 基本的にステータスという物は他者が勝手に見ることは出来ない。

 しかし、何事にも例外が存在する。

 それがこの【幼児の儀式(おさなごのぎしき)】である。

 これは国の法にも明記されており、各町各村に必ず1つは教会がある理由でもある。

 幼児の儀式は5歳になると必ず受けることになり、この時に初めて自身の使うことの出来る魔法やスキルを知る。


 では、何故今テュールとラーナはここに来ているのかと言うと、それは幼児の儀式に書かれているもう1つの規約にある。

 それは《忌み子だと判断された子どもは1歳までに儀式を受けること》というものである。

 これは国が率先して忌み子を差別しているという訳では無く、寧ろ忌み子を守るために作られた規約である。

 というのも、忌み子の中には《特定の何かを食べたら死ぬ》だとか《特定の何かしか食べられない》など生死に関わる問題を抱えている場合があるのだ。

 それを発見するための儀式でもあるのだ。


「では、始めます。お子さんにこちらを」


 ロンリーは中に魔法陣が浮かび上がった水晶玉をテュールへと差し出す。

 それを受け取ったテュールはグレイスの手を取り水晶玉に触れさせた。


 その瞬間、中にあった魔法陣がグレイスを上から下へ、下から上へとまるでスキャンするかの様に動き回る。


「お、出てきたな。どれどれ?」


 2、3回それが繰り返されると、朧気ながらも水晶玉の中に何か文字のような物が浮かび上がってきて、それは次第に明確に読み取れる物へと変化していった。


 グレイス・ヴォルタール【鬼】


 Lv.1(レベル)

 HP 34/34(体力)

 MP 51/51(魔力)


 STR 37(攻撃力)

 DEF 17(防御力)

 AGL 16(素早さ)

 INT 24(賢さ)

 DEX 4(器用度)


 EXP 0 (合計獲得経験値)

 NEXT 24 (次回レベルアップ)


 《スキル》

 狂暴化(バーサーク)


 《魔法》

 雷魔法(サンダーボルト)Lv1


 《称号》

 転生者(他者からの閲覧不可) 避雷針 忌み子


 名前の横にあるのはその人物が就いている職業だ。

 この職業によりレベルアップ時のステータスの上昇率は変動し、それぞれがその職業にあったステータスへと変化していく。

 例えば、【剣士】ならばSTRとAGLが育ちやすくなり、【小鬼(ゴブリン)】ならばAGLとDEXが育ちやすくなるという感じだ。


「随分とステータスが高いな・・・。分類は【鬼】か・・・ラーナ、聞いたことあるか?」

「いいえ。だけど、【鬼人(オーガ)】ならあるわね。でもそれは上級種だし・・・」

「だよな。それに【雷魔法】か?コレも初耳だ」

「もしかして固有魔法かしらね?」


 固有魔法とは、他の主属性魔法──火、水、土、風、光、闇──とは別の魔法で、その人にしか使う事が出来ない魔法の事だ。


「その可能性は十二分にあるな。少なくとも俺は聴いたことがない」

「ふむ。聞いたことのない分類に聞いたことのない魔法ですか・・・。何かの助けになれば良いかと思い、初めた儀式でしたが、残念ながら何も得られずですか・・・」


 少しでも不確定要素を潰しておこうと勧められた儀式だったが、まんまと不発に終わってしまう。

 今はまだ良い。

 だが、大きくなってから知らずに口にしたものが【鬼】にとって有害な物だとしたら・・・。当初不安を払拭するために行われた儀式だったが、結果的に儀式はテュールとラーナの不安を煽るだけに終わってしまった。

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