第二十七話:隣の主はよく穢れ纏う主じゃ。
何そのご都合主義的なテンポの速さ!?
と思ったけれども考えてみれば、穢れと土地の神の話はサトミさんたちと先ほど別れた時からすでに出ていた…。
シノブと私たちが合流したあと、サトミさんがその調べ物をしていたんだとすると、確かに調べ終わっていてもおかしくはない…のか?
この情報がどれだけの得難いものなのかはよくわからないけれに。
というかそう考えると、いくら近所とはいえ、サトミさんこのアパートと神社を往復しまくってるな…。
傍から見ればわりと不審者だっただろうな。
そりゃ件のコラおじにも目をつけられるわけである。
そもそも引っ越してきたシノブたちならまだしも、これまでドアが広くことすら稀だった私の部屋がドタバタしていることも異常なわけだし…。
「この土地の神はヨドミノヌシと呼ばれとる。元々神社の境内にあった池が埋立られて公用地になったんが、この一帯らしいんよな。」
「そうか、元々流れない水のある場所…だから汚れも溜まりやすい…でも、祠も社も建てずに?」
サトミさんの言葉に、シノブが尋ねる。
「この辺は戦中に空襲があったからねん。復興の時に復元不可能な状態だったのかもしれないし…。」
「かもしれないって、あんたその時にはもうおったやろ?」
「いやぁあ…どうだったかなぁ…。」
「どうだったかなぁって…。」
「これやからおばぁちゃんは…。」
「おばぁちゃんいうなやい!アカネちゃんは永遠の10歳なのだよ!?」
サトミさんにもシノブにも呆れられているアカネちゃん。
「というか、戦時中ってまだ覚えてるおばぁちゃんいますよ多分。」
「ニコちーなぜゆえアカネちゃんに追い打ちをかけるのかな!?この場に味方はいないのかー!?」
「まぁ、わからないでもないけどね?」
とハクア。よかったね味方がいて…ってあれ?
そういえば、ハクアの年齢って聞いてないけど、もしかして私また年齢詐欺されてたりする?
「人生の密度は時期によって違うのん!みんなもすっごく覚えてる時期と、何してたのか覚えてない時期とかあるでしょーが!?」
アカネちゃんがキレている。
まぁそう言われるとわからなくもない…?
400年も生きてきた人が何を考えているかなんて、わかるはずもない。
というか、人間は二十歳までに体感時間で人生の半分を過ごしているなんていうけれど、アカネちゃんのような場合はどうなのだろうか。
もしかして今という時間は私たちからすると一瞬くらいの感じだったり…?
いや、それは星の寿命と比較した場合の話か。
「…それはさておき。」
「さておくなー!」
「そのヨドミノヌシには、どこに行けば会える?」
「完全スルーですか…ってん?」
アカネちゃんは、抗議していた相手の二人ではなく、その向こうを見て、不思議そうな顔で固まっている。
「それならば、私が案内してしんぜましょう!」
おぉ、すでに私の新たな交流関係の中に敬語キャラは数いれど、その敬語のパターンは初だな。
そう思って声のした、先ほどチサトたちが去っていったのと同じ階段側の廊下を見る。
するとそこには、ここ数日で出会った中で最年少の少年が立っていた。
って違うわ!
いや違わないけど納得いかないわ!
もう何度も繰り返されるチャイムといい、あのマコトとかいってた子といい、このパターンにもいい加減飽きてきたんだが?
合縁奇縁もいい加減にしなさい!
コストカットかこのやろう!
おそらくシノブたちがいうところの「神」ではなく、より広い意味の、慣用句的に用いられる「神」に向かって、私は文句を言いたかった。
〜次回予告〜
カナコ:「あぁぁぁぁぁぁ増える!これ以上増えないでくれたのむ!」
ニコ:「あはは…まぁでも交流関係が増えること自体はいいことじゃないですか?」
カナコ:「でも交流関係が増えれば増えるほど、しがらみも増えるんだよ?」
ニコ:「まぁ確かに…?…カナコは引きこもりってよく自分のこと言ってますけど、そんなしがらみに困るほど人間関係複雑になったことあるんですか?」
カナコ:「え?めっちゃ純粋な質問で私の心抉りにくるじゃん…。」
ニコ:「えぇ…。」
カナコ:「まぁ、私にだって知り合いいっぱいいるし?二次元に?」
ニコ:「2時…?」
カナコ:「わぁお本当に何にも通じてないタイプの顔だねそれは!」
ニコ:「え?あえ?…あはは?」
カナコ:「まぁニコのオタク英才教育はまた今度として、次回は『第二十八話:ヌシの使いと池のヌシ!』をお送りするよ。」
ニコ:「お楽しみに!」
幕
カナコ:「…あれ?このタイミングで次回予告に入ってこないってことは、最後のあのキャラモブなん?」




