表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/455

第十九話:適切な要領と的確な用法を守ってお使いください。

「これでやっと、ケセランパサラン達の住処を作れますね。」

 ミサキちゃんが嬉しそうに言った。

 灰も手に入って、これから始まる話も彼女の領分だからテンション上がりマックスなのだろう。

 今なんて?


「でも、それってどうすればいいの?」

「パサパサ?」

「ケセ?」

 私の声のトーンを真似るように呟くケセパサ達。

「そうですね…この子達は暗くて狭い場所を好む傾向はあります。別に明るい場所でも、今見てわかるように弱ったり死んだりはしないんですが…。」

「有機物ならなんでも食べるって聞いたんだけど?」

「カナコさんが食べるなって言ったものは食べないんじゃないですか?この子達は理性もありますし、それだけ懐いていれば…。」

「ほんとに?」

 と、ミサキちゃんとケセランパサラン達を交互に見ながら聞いてみる。


「ケセ?」

「パサ!」

「パサパサ!」

 なんだか肯定しているように見えるけど。

「そうですね。…というか、カナコの理解力が高すぎて、私いらなくないですか?」

「確かに…。」

「素直に肯定しないでくださいよぅ!」

 その「よぅ」っていう可愛い語尾すごく久々に聴いた気がするな…。

「あぁあぁ、もう!」

「あのぅ、お二人さん?」

 という定番の流れもしつつ。


「ということは、割となんでもいい?」

「そうかもしれませんね…。」

「もしかしてダンボールでもいい?」

「…確かに…?」

 じゃあなんで全部潰しちゃったんだって話だけども。

 段ボールならば、中は暗いし、大きさも調節できるし、加工も簡単だ。


「場所、どれくらい必要なんでしょうか?」

「これ、使えるんじゃないん?」

 とアカネちゃんが取り出したのは、数多ある段ボールの中でも、最も大きなもの。

「それだけ広さがあれば、確かにいいかもしれませんね!」

 ミサキちゃんが答えるやいなや、アカネちゃんはそれを即座に組み立て直す。


「こない大きな段ボールで、何が送られてくんねん…。」

「ベットか何かですかね?うちのベット、組み立て式なんで…。」

「どんだけ前からゴミ捨ててないんですか…。」

「いやぁ、段ボールに関しては、何かに使えるかと思って?」

「…実際に今役に立ってしまっとるしせいで、なんも言えへんなぁ。」

 と言って笑うサトミさんと、項垂れるニコ。


「でも、これの中は暗いだろうけど、狭いっていうほどじゃないよね?」

「ううん…段ボールの中に、段ボールでも入れますか?」

「そんなんでいいの?」

「いや、うぅん…。確かに野生で必死に生きているならまだしも、安全が保障された環境で飼われるにしては退屈かもしれませんが…。」

 いつしか魚の水槽か、ハムスターのケージの中身でも相談しているような会話をしている私たち。

 理性とかなんとか言っていたが、そんな会話を聞いて彼らはどう思うのだろうか?

 と、ケセランパサランたちの方を見ると、アカネちゃんが組み立てた段ボールの方に早くも集合している。

 さらには足元で跳ね回ることで、彼女を困らせている。

「あ、あれれ?これはどうすればいいのん?」

「あんたのこういう幻獣とすぐ仲ようなるんを見とると、あんたがほんまは神使なんやないかって勘違いしそうになるわ…。」

「いや、実際神使なんだけどねん…。」


「だったら、私、何か作れるかもしれません!」

 と、段ボールに入れるものに困った私たちに、ニコが提案した。

「え?」

 と驚く私であったが、ミサキちゃんは納得したように頷くという。

「確かに、ニコは裁縫とか得意でしたし、こういう工作みたいなのもできそうですよね…。」

「はい、多分ある程度は!」

「へぇ…。」


「そうなんや、うちはてっきり不器用な子なんかとおもとったわ。」

 私は内心思ってても言わなかったのに、サトミさんが言ってしまった。

「お二人とも…ひどいですよぅ。」

「と、と、というか、すごい女子力だね?」

 白ゴスが似合って、裁縫できるなんて、いかにもメルヘン女子である。

 最強かな?


 この際急いで話を逸らそうとして吃っちゃったのはなかったことにしようと心に決めた。

「えぇ…。」

〜次回予告〜

ニコ:「なんだか、散々いじめ回されたような気がするのですよぅ…。」

アカネ:「災難だったねん!」

ニコ:「というか、アカネさんも動物に好かれるタチなんですね?」

アカネ:「なんだかそうみたい。ミサキちんみたいに意識したことはないけどねん!」

ニコ:「私なんていまだに警戒されてるんですけど…。」

アカネ:「なんか、心が読めるキャラが動物に好かれないって意外な感じがするねん。」

ニコ:「キャラとか言わないでくださいよぅ。個性ですよ、個性!」

アカネ:「カナコちんも言ってたけど、『よぅ』って、ここだとよく言ってるけど、向こうだと確かにあんまり言ってないかもねん。」

ニコ:「そうかもですね…。」

アカネ:「そんなこんなで次回は?」

ニコ:「え?え?その流れでタイトルコールじゃないんですね?次回は『第二十話:魔女が宅配便かっこ魔法かっこ閉じ。』をお送りします。」

アカネ:「意味わかないねん。おっ楽しみに!」

ニコ:「意味わかんないのに!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ